2017年11月16日(木)・17日(金)、山口県下関市の山口県国際総合センター海峡メッセ下関にて第62回日本生殖医学会学術講演会が開催されました。
本記事では日本生殖医学会学術講演会内で行われた、第20回男性不妊フォーラムの湯村寧先生(横浜市立大学附属市民総合医療センター生殖医療センター泌尿器科)による「本邦での精子凍結保存の実態調査」の講演内容をレポートします。
がんの治療法は日々進歩しており、若年のがん患者さんの予後は飛躍的に向上しているといえます。一方で化学療法や放射線療法など、がん治療の内容によっては妊孕性に影響を及ぼすと考えられています。そのため、このようながん患者さんに対しては、妊孕性温存のための唯一の方法として精子凍結が行われています。しかし、卵子や胚とは異なり、精子凍結は登録制ではないため、現状把握が難しいという課題がありました。そこで私たちは、厚生労働省の支援を受けて聖マリアンナ医科大学産婦人科学講座 教授 鈴木直先生のもと、本邦における精子凍結保存に関する実態を調査しました。
精子凍結保存の実態を調査するため、全国695施設に無記名のアンケート調査を実施しました。
アンケートの実施期間は2016年11月9日から12月18日までです。
施設形態、年間の精子凍結の依頼件数、凍結精子の使用数、精子凍結保存の更新を行う患者さんの割合や更新に来なかった患者さんへの対応などを質問しました。
アンケートの回答率は47.3パーセントで、329施設から回答がありました。
日本では1990年より精子凍結が始まり、実施している施設数は年々増加しています。2017年の段階では141施設で精子凍結が行われていることがわかりました。さらに施設の分類では、大学病院や一般病院よりも、私立診療所で実施されている割合が高く、診療科別では泌尿器科よりも産婦人科で精子凍結を行っている施設が多いことがわかりました。
精子凍結の依頼件数については、147施設から回答がありました。
回答結果からほとんどの施設で、精子凍結を行う年間の患者数は、1〜10人未満であることがわかりました。また、もっとも多い施設では年間100件以上の精子凍結を行っていることが明らかになりました。
凍結精子の使用数については、144施設から回答がありました。
144施設で精子凍結を行う患者数の年間平均は675人で、そのうち実際に凍結精子を使用した人数の年間平均は、約17パーセントにあたる120人でした。また、そのうち43件の妊娠が確認されています。
精子凍結保存の期限の更新を行う患者の割合について、回答があった114施設のうち75施設は半数以上の患者が更新にくると回答しました。しかし、39施設においては更新にくる患者は半数以下であると回答しました。
さらに、患者が更新に来なかった場合の対応について、回答があった149施設のうち62施設は患者に連絡し、破棄していることがわかりました。その他の55施設については保存期間を決めて破棄すると回答、また32施設では保管期限を決めていないという回答があり、患者が更新に来なかった場合の対応は施設によって異なることがわかりました。
2015年度の年間の疾患別精子凍結依頼件数は、802件でした。そのうち血液悪性疾患の患者さんが383人ともっとも多く、続いて精巣腫瘍(237人)、骨・軟部組織腫瘍(46人)、脳腫瘍(20人)、その他の悪性腫瘍(134人)という結果でした。
凍結保存前に化学療法を受けた患者数は、血液悪性疾患では105人、精巣腫瘍では15人、骨・軟部組織腫瘍において11人、脳腫瘍は4人、その他の悪性腫瘍は23人でした。
精子凍結を行う施設は年々増加しています。今回の調査では、精子凍結保存を行っている施設の約60パーセントが私立診療所で、約75パーセントが産婦人科であることがわかりました。また、大多数の施設で、精子凍結の依頼件数は年間平均10件以下であることも明らかになりました。
精巣腫瘍以外のがん患者は、その疾患数に比べると精子凍結保存の依頼件数は少なく、保存前に化学療法を受ける割合は10〜20パーセントほどです。今後、がん治療施設と精子凍結保存施設の連携が強化されることで、がん患者の妊孕性温存が適切に行われることが期待されます。
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