妊婦はそうでない人と比較すると、インフルエンザにかかった場合に重症化しやすいという報告があります。今回は、妊娠初期にインフルエンザにかかったときの胎児への影響や対処法を詳しくお伝えします。
妊婦はそうでない一般の人と比較すると、インフルエンザにかかった際の重症化リスクが高いと考えられています。たとえば、妊娠中にインフルエンザに罹患し、心肺機能の悪化によって入院するリスクは、産後と比べて、妊娠14~20週で1.4倍、妊娠27~31週で2.6倍、妊娠37~42週で4.7倍とされるデータもあります。
また一部の報告によれば、妊婦がインフルエンザに感染することによって、流産や死産の確率が増加するといわれています。そのため、妊娠を希望する方やすでに妊娠している方はインフルエンザに感染しないよう、インフルエンザワクチンの接種など感染対策を行うことがすすめられています。
妊娠初期にインフルエンザにかかった場合、胎盤を通じて胎児に感染してしまう確率はとても低いと考えられています。その一方で、妊婦が妊娠初期にインフルエンザに罹患すると、胎児の神経管閉鎖不全や心奇形など生まれつきの異常が増加するという報告もあります。しかし、このような異常の増加はインフルエンザに感染したことによる直接的な影響というよりも、妊婦の高熱などに伴う副次的な影響との報告もありますので、インフルエンザの直接的な影響についてはまだ分からないといえます。
妊娠中にインフルエンザにかかった可能性がある場合には、かかりつけの産婦人科か発熱外来のある内科などに電話で相談するのがよいでしょう。内科を受診する場合には妊娠中であることを必ず告げ、母子手帳を持参することが必要です。
婦人科もしくは内科のどちらを受診する場合でも、感染拡大防止のためにマスクを着けましょう。また、症状が現れてから48時間以内の早い時期に受診し、治療を受けることが発熱期間の短縮などにつながるといわれています。
妊娠中にインフルエンザになったときの治療法としては、通常の治療と同じくザナミビル、オセルタミビルなどの抗インフルエンザ薬が用いられます。
インフルエンザの場合は、症状出現後48時間以内に抗インフルエンザ薬を使うことが発熱期間の短縮などに有効とされています。
抗インフルエンザウイルス薬を投与された妊婦、胎児への悪影響は報告されていないとされています。
インフルエンザワクチン接種後の一般的な副反応(副作用)として、接種箇所の赤み・腫れ・痛み、発熱・頭痛・だるさなど起こることがあります。しかし、日本で使用されるインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊婦や胎児に重篤な副作用が起こる可能性は低いと考えられています。また欧米では、妊娠時期を問わず、インフルエンザの予防接種をすることが推奨されています。そのため一般的に妊娠中の全ての時期において、妊婦が希望する場合にはインフルエンザの予防接種が実施されています。
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