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連載特集

国に届出された再生医療の確認は「再生医療ポータル」で~澤芳樹・日本再生医療学会理事長に聞く

公開日

2020年01月31日

更新日

2020年01月31日

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2020年01月31日

掲載しました。
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日本再生医療学会 理事長
澤 芳樹先生

生物のあらゆる細胞に成長できるiPS細胞を世界で初めて作成した山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所長が2012年にノーベル医学生理学賞を受賞したことも追い風となり、再生医療への期待が高まっています。一方で、そうした期待を逆手にとって根拠が定かではない“再生医療”を施す医療機関も一部にあり、期待に水を差す結果となっています。再生医療の現在、受けてもいい再生医療の見分け方などを、日本再生医療学会の澤芳樹理事長に聞きました。

リスクに応じ法律で規制、学会は医師の“質”管理も

がん治療やアンチエイジングなどを目的に、他人の臍帯血(さいたいけつ=出生した赤ちゃんのへその緒や胎盤に含まれる血液)を使った再生医療を国に無届で行ったとして、2017年に医師や、臍帯血を販売した業者らが逮捕される事件がありました。

この事件に先立つ2013年11月に「再生医療等安全性確保法」が成立。再生医療等の提供には「再生医療等提供計画」の届出が必要とされ、提供する医療のリスクに応じて手続きが3種類に分かれ、それぞれに対応する委員会が計画を審査し国の定める基準との適合性を確認することとされています。

「第1種」は他人の細胞に由来するiPS細胞やES細胞などを使用するハイリスクの医療。「第2種」は自分の細胞から一部を抜き出して培養して投与するなどの中リスクのもの。そして「第3種」は自分の血液を遠心分離器にかけて一部の成分を濃縮して取り出し、移植するといったような低リスクのもの。「第3種」には例えば二刀流大リーガーの大谷翔平選手らが受けた「多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう=PRP)療法」なども含まれます。

第1種が最も厳しく、国の審査を受けて承認される必要があり、問題がある申請は却下されたりすることもしばしば見られます。一方の第3種は審査が緩く、お金を出せば適合性を認めるといわれている委員会も中にはあります。それでも、水面下で行われるよりはましです。

そもそもこの法律ができる以前、日本では「臨床研究」であれば届け出る必要がありませんでした。一説にはアンダーグラウンドに「2000憶円ビジネス」と言われていて、脱毛症が治るとか糖尿病や脳梗塞がよくなるとか、アンチエイジングといったエビデンス(科学的根拠)のない“再生医療”を施すクリニックがたくさんありました。

ただ、再生医療に関してはまだ新しい治療ですから、これから症例を重ねてエビデンスを確立していくという過程のものもあります。ですから、厳しく制限するのではなく、少なくとも安全にやらなければいけないということで、この法律ができたという経緯があります。さらに、2015年からは再生医療に携わる医師などの学識・経験を評価する「再生医療認定医制度」を設け、医師のクオリティコントロール(品質管理)にも努めてきました。認定医は、美容整形の医師にも門戸を開いています。そうしたうえで、きちんと法律に従って安全にやってもらうことを目指していたわけです。

そういう立て付けが始まったにもかかわらず「臍帯血治療」の事件が発生。逮捕されたうちの医師5人は日本再生医療学会会員でした。

この事態を重く見て、会員になるときには「法律を完全に遵守(じゅんしゅ)する」という誓約書にサインをしてもらい、日本再生医療学会が推進している安全な再生医療の提供を守ることを求めてきました。

今後は施設の認定も

ですから立て付けとしては、計画を届け出て受理された施設であれば、一定の安全性は担保されています。そして、そうした施設に関しては、日本再生医療学会が開設している「再生医療ポータル」で確認することができます。ただ、それでも無届の“再生医療”を完全になくすことができないのは、大きな問題と認識し、次の手も考えています。

再生医療ポータル

そうした安全性確保の努力をしている中で昨年10月、関西地区の元大学講師らが無届けで脂肪幹細胞を人に投与する再生医療を行った疑いで大学が家宅捜索を受け、今年1月に再生医療安全性確保法違反の疑いで逮捕されるという事件が起こりました。この元講師も日本再生医療学会の会員だったので法律や学会による法令遵守の精神について熟知していたはずです。

学会としては17年の事件以降、会員の再教育や、法令遵守の直筆の誓約書を提出しないと会員を継続できないようにするなど再発防止に努めてきましたが、このような“確信犯”が現れたことに非常にショックを受け、問題の大きさを痛感しています。

こうした事件で誤解してほしくないのですが、多くの人は再生医療の研究を進めて新しい医療を開発しようという動機に基づいて治療にあたっています。ただ、ごく一部に1件何百万円もとって“ビジネス”としてやっている人がいるのも事実です。

“治療”内容の評価はいろいろあるかもしれませんが、きちんと届出をしてから実施するというのが日本再生医療学会としての姿勢です。これまで、法整備による規制ができ、人を認定する「認定医」の制度を作ってきました。この次に、学会として「適格」とした施設の認定ということもしようと思っています。

「再生医療ポータル」「認定医」から適切な医療選択を

澤先生

ただ、まだそこには至っていないので、現時点で再生医療を受けようとするときにどうやって選べばいいかわからないという方も多いのではないかと思います。

まずは、患者さんご自身が調べるという姿勢を持ってください。最低限の条件として、先ほどお話しした「再生医療ポータル」に登録されている施設の中から探してください。ただし、厚生労働省への届出からデータベースへの反映まで一定の時間を要します。また、目的や治療効果について再生医療ポータルからリンクされている説明文などの資料に目を通し、かかりつけ医の意見など「信頼できる情報」を参考にして、ある程度科学的根拠があるもの、安全性や有効性をある程度推定できるような治療を選んでください。エビデンスを確立していく過程という治療もまだまだ多くあります。そうしたものは保険が効かない「自由診療」として提供されることが多くあります。ですから、「自由診療だから信用できない」というものではありません。

例えば、先に紹介したPRP療法も今のところ自由診療で、先進医療や高額療養費制度の対象にはなっていませんが、多くの症例があり、ある程度の割合で効果がみられる患者さんもいますので、このような治療は受けてもいいのかな、といったような考え方をしていただければいいかと思います。

病気になった時に、患者さんや家族はわらにもすがる思いで再生医療を受けようとするかもしれません。そんな時には再生医療ポータルや認定医というものがあることを思い出して、適切な医療を選択してください。

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