青木クリニック 院長/青木 順 先生
便に血が付いていた。トイレットペーパーに血が付いた。こうした症状があっても、痔だろうと考えて市販薬で様子を見る人は少なくなく、実際に痔が原因のことも多い。しかし、肛門(こうもん)からの出血は、大腸などの別の病気によって生じることもあるため、自己判断で放置するのはおすすめしない。
江戸川区の青木クリニック院長で、消化器内視鏡と消化器外科の両方の専門医である青木 順(あおき じゅん)先生に、肛門からの出血をどのように受け止め、なぜ医療機関への相談が大切なのかを伺った。
外科医として診療に携わる中で、がんなどの重大な病気の発見が遅れ、進行した状態で受診される患者さんを何人も診てきました。中には、排便時に出血があったものの、「痔だろう」と自己判断して受診せず、時間が経過していた方もいます。こうした方に、症状や年齢などを踏まえ、念のため大腸内視鏡検査を受けていただいた結果、大腸がんが見つかることがあるのです。
早い段階で病気を発見できれば、体への負担が比較的小さい方法を含め、複数の治療方法を検討できる可能性があります。肛門から出血があった場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、まずは医療機関に相談してください。
もう1つ知っておいていただきたいのは、診察で痔が見つかったとしても、出血の理由が全て痔によるものとは限らないということです。大腸に病変がある方に、たまたま痔が併存していることも大いにありえます。
以前に痔と診断されたことがある方も、出血を全て痔によるものと判断せず、医療機関に相談することが大切です。
では、肛門からの出血で医療機関を受診した場合、実際にどのような診察が行われるのでしょう。「何をされるのか分からない」という不安が、受診をためらう理由になっている方もいらっしゃると思いますので、診察の流れをお伝えします。
まず、肛門周囲に腫れや傷、出血などがないかを視診で確認します。
内痔核(ないじかく)を確認する際は、必要に応じて肛門鏡を挿入し、肛門の内側や痔核の状態を観察します。
視診や肛門鏡による診察だけでは出血の原因を十分に確認できない場合や、肛門の所見があっても、年齢、症状、既往歴などから大腸の病気が疑われる場合には、可能な限り内視鏡検査を検討します。
肛門はデリケートな部分です。受診のハードルが高い領域であることは、診療する側も十分に理解しています。
たとえば、妊娠や出産をきっかけに痔が生じる女性も少なくありません。こうした背景から、診察に女性スタッフが立ち会う体制をとったり、口頭では伝えにくいことをウェブ上の問診票で記入できるようにしたりといった配慮をしている医療機関もあります。不安がある方は、そうした対応をしているかどうかを事前に調べてみるのもよいでしょう。
肛門からの出血は、体の変化に気付くためのサインの1つです 。それを「痔だから」と自分で結論づけてしまう前に、ぜひ一度、専門医に相談してみてください。
見過ごさずに検査を受けることが、早く安心できることにつながると思います。
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