東京八丁堀皮膚科・形成外科/平山 真奈 先生
処方された塗り薬をちゃんと使っているのに、なかなか治らない。よくなってもすぐにぶり返す。その原因は、薬そのものではなく、塗り方にあるかもしれない。塗る量やタイミング、使う期間を正しく理解していないことが、治りにくさを生んでいる可能性があるのだ。
東京・中央区にある東京八丁堀皮膚科・形成外科の平山 真奈(ひらやま まな)先生に、正しく効果的な塗り薬の使い方について、お話を伺った。
処方された塗り薬を使っても症状がよくならないと、「この薬は自分に合わないのでは」と感じる方は少なくありません。
しかし、実際には薬が合わないのではなく、塗り方が適切でないために、本来の効果が十分に発揮されていないことがあります。
塗り薬は、飲み薬のように「決められた量を飲む」という分かりやすさがない分、量やタイミングが人によってばらつきやすい薬です。
塗る量、塗る回数、塗る期間。この基本が少しずれるだけで、効き方は大きく変わります。効果を感じられないときは、薬を疑う前に、まず塗り方を見直してみることが大切です。
塗り薬の量には、2つの落とし穴があります。
1つは「薄く塗りすぎる」こと。薬をもったいなく感じたり、「ステロイドはこわい」といった不安から、ごく少量をのばして使う方がいます。しかし、薄すぎると効果が十分に出ず、かえって治りが遅れてしまうことがあります。
もう1つはその逆で、塗りすぎてしまうことです。早く治したい一心で、必要以上に厚く塗り重ねても、効果がそれに比例して高まるわけではありません。
大切なのは、多くも少なくもない「適量」です。薬によっても違いますが、目安として皮膚の表面が軽くテカる程度が、ちょうどよい量とされています。
塗るときは、すり込むのではなく、やさしくのせて広げるのがコツです。ご自身の塗った量が適切かどうか、意識してみるとよいでしょう。
見落とされがちなのが、塗り薬を「いつまで使うか」です。
症状がよくなってくると、「もう治った」と感じて、自己判断で塗るのをやめてしまう方が多くいらっしゃいます。
しかし、見た目にはよくなったように見えても、皮膚の内側ではまだ炎症がくすぶっていることがあります。この段階で急に薬をやめてしまうと、再びぶり返してしまうことが少なくありません。
どのくらいの期間塗り続けるのか、どう減らしていくのかは、症状によって異なります。
よくなってきたときこそ自己判断でやめずに、医師の指示に沿って続けることがぶり返しを防ぐ鍵になります。
塗る量や使用期間、塗るタイミングや順番は、薬の種類や部位、症状によって変わります。ただ、多くの方は「何が分かっていないのか自分で認識できていない」まま、なんとなく塗り薬を使っているのが実際のところではないでしょうか。そのまま自己流の塗り方を続け、それが治りにくさにつながっていることもあります。
だからこそ、処方する側が、塗る量や回数、続ける期間をできるだけ具体的にお伝えすることが大切だと考えています。「手のひら何枚分くらいに、これくらいの量を」「よくなっても何日間は続けて」といった具合です。
患者さんも、少しでも気になることがあれば、遠慮なくその場で尋ねてみてください。うまく質問できなくても、「塗り方に自信がない」と伝えるだけで十分です。
塗り薬は、正しく使えば頼りになる治療薬です。治りにくい、症状を繰り返してしまうと感じるときは我慢せず、一度、皮膚科に相談してみてください。
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