表参道ARTクリニック 院長/小川 達之
体外受精を検討する際、「何回くらい通院するのか」「仕事と両立できるのか」などが気がかりだという声は多い。通院回数などの見通しが立たないことが、受診をためらう理由になることもある。
通院回数の目安について、WFCグループ・表参道ARTクリニックの院長であり、日本生殖医学会の生殖医療専門医・指導医など複数の専門医資格を持つ小川 達之(おがわ たつゆき)先生に、治療の流れに沿ってお話を伺った。
体外受精は、タイミング法や人工授精を続けてもなかなか妊娠に至らない方や、年齢などの条件から早めにステップアップを検討したほうがよい方などに選択される治療です。
一般的には、「卵巣刺激→採卵→受精・培養→胚移植→妊娠判定」という複数の段階を経て進みます。採卵した周期に胚移植を行う場合は、採卵から妊娠判定まで2〜3週間程度ですが、胚を凍結して別の周期に胚移植する場合などは、2〜3か月かかります。
この間、全期間にわたって均等に通院が必要になるわけではありません。段階によって通院の頻度は大きく変わります。
また、保険診療の範囲でピルなどを用いることで、月経周期をある程度調整することも可能です。そのため、治療を開始するタイミングはご自身の仕事の状況などに合わせて計画を立てられます。
採卵に向けた卵巣刺激の時期には、卵胞の発育を確認するため、複数回の通院が必要です。卵胞の発育とホルモンの状態を細かく確認しながら、採卵の適切なタイミングを見極める必要があります。
たとえば、当クリニックの場合なら卵巣刺激の開始から採卵日を含めた約2週間のうちに、3〜4回程度受診いただくことになります。
採卵当日は、麻酔の方法によって所要時間が変わります。局所麻酔ではおよそ1時間程度、静脈麻酔では2~3時間程度が目安で、どちらかをご自身の希望で選択できる医療機関も増えてきました。
また、採卵後は、卵巣過剰刺激症候群などの合併症が起こる可能性があります。特に、採卵後の少なくとも1週間は、体調の変化に注意する必要があります。お腹の張りなど気になる症状があれば早めに受診できるよう、この期間は遠出を控え、何かあったらすぐ受診できる環境で過ごすと安心です。
現在では、採卵と胚移植は実施時期が分かれることが多いです(凍結融解胚移植)。
胚移植の周期には、自然な排卵に合わせて移植する方法と、ホルモン剤で周期を調整する方法があります。
自然な排卵に合わせる方法は薬剤の使用が少ない一方、排卵の時期を見極めるための受診が必要になります。ホルモン剤で調整する方法は、前もって移植日のスケジューリングが可能です。どちらが適しているかは排卵や体の状態によって変わるため、主治医とよく相談して決めていきます。
月経開始後から胚移植日を含めて診察や採血のために2〜3回程度受診し、胚移植後は7~10日を目安に妊娠判定のため、再度受診いただきます。これらの通院回数は、自然な排卵に合わせて移植する方法か、ホルモン剤で子宮内膜を整えて移植する方法かによって異なるほか、子宮内膜の厚さやホルモンの状態によっても前後します。
それでも採卵のための準備期間と比べると、胚移植は通院の見通しが立ちやすく、仕事やプライベートとの両立を図りやすい局面だといえるでしょう。
体外受精は一定の期間にわたって通院を続ける治療になることから、通院回数そのものに加えて、日常生活に合った通いやすさも継続するモチベーションを下げないために大切です。
都心部では、駅前の立地はもちろん、通勤前後に受診できる時間帯を設けるなど、働く人がライフスタイルに合わせて通いやすいよう工夫している医療機関が増えています。
また、不妊治療の初診は、問診や検査と治療の説明など、今後のスケジュールを立てる場になることが多いです。必ずしもその場で検査や処置を行うわけではないため、生理周期などの体調を気にせず、いつでも受けられます。まずは一度、気軽に足を運んでみてください。
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