インタビュー

全県域のデータを集約する滋賀脳卒中データセンター

全県域のデータを集約する滋賀脳卒中データセンター
野崎 和彦 先生

滋賀医科大学 医学部脳神経外科学講座 教授

野崎 和彦 先生

この記事の最終更新は2016年04月08日です。

滋賀医科大学医学部附属病院の滋賀脳卒中データセンターでは全国でも例を見ない全県下の脳卒中患者データを毎年集積しています。滋賀脳卒中データセンターの狙いと取り組みの内容について、同病院脳神経外科教授の野崎和彦先生に説明をしていただきました。

戦後、日本の平均寿命は飛躍的に伸びました。しかし、今なお65才未満で死亡する確率は11%以上あります。また、亡くなる前に寝たきり状態で過ごす人の割合も少なくないのが現状です。亡くなるまでいかに質の高い生活を楽しむことができるかが多くの人の願いだと思います。

2014年の死因別でみると「脳血管疾患」が原因で亡くなった人は11万4,207人で低下傾向であり、全体の死因の9.0%(厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」)で、「がん」「心疾患」「肺炎」に次いで4番目となりました。しかし、脳血管疾患はその後遺症のために、寝たきりの主要な要因となっており、死亡率だけでなく罹患率の改善が重要なテーマとなっています。

私が滋賀医科大学附属病院に赴任し、滋賀県における脳卒中診療を進めていくにあたり、まず全県的なデータを把握することが重要と考え、滋賀県に働きかけを行い、2012~13年度の滋賀県地域医療再生計画(三次医療圏)において「脳卒中診療連携体制整備事業」が採用され、その取り組みの拠点として「滋賀県脳卒中データセンター」が設置されました。センターでは、滋賀県の脳卒中に関する医療データの収集と解析を行っています。また本整備事業において、滋賀県内の基幹病院をつなぐ情報ネットおよび急性期医療を支援する超急性期脳卒中診療体制を構築しながら県内の脳卒中診療動向を把握しています。発症後の追跡を続けることで個々の患者の再発、社会復帰などの状況を評価し、急性期・回復期病院から慢性期病院、老人介護施設、自宅へのスムーズな連携体制構築を全県下に過不足なく整備することを目指しています。

滋賀脳卒中データセンター滋賀医科大学内に設置されています。滋賀県内の脳卒中医療の現状を評価・分析するためのデータとして、全医療機関を対象とし脳卒中発症例を登録し、県内の脳卒中の発症件数、治療内容、亡くなられた人の割合、後遺症の程度と後遺症が残った人の割合、社会復帰率(自宅、介護施設など)などの医療情報を集約しています。その結果は、「滋賀脳卒中ネット」のホームページで公開されています。また、これらの取り組みを通じ脳卒中に関する情報提供を行いながら市民啓発活動を行っています。

 

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