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もしも脳卒中になったら―私たちにできること
カテーテル治療の対象としてもっとも多い病気は脳卒中です。脳卒中には、血管が破れるくも膜下出血、血管が詰まる脳梗塞などいろいろな病気があります。もし、自分や家族が脳卒中を起こしたら、その時私たちは...
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もしも脳卒中になったら―私たちにできること

公開日 2016 年 02 月 14 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

もしも脳卒中になったら―私たちにできること
坂井 信幸 先生

地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科部長 脳卒中センター長/先端医療センター 脳血管内治療科部長、脳神経領域研究グループディレクター

坂井 信幸 先生

カテーテル治療の対象としてもっとも多い病気は脳卒中です。脳卒中には、血管が破れるくも膜下出血、血管が詰まる脳梗塞などいろいろな病気があります。もし、自分や家族が脳卒中を起こしたら、その時私たちは何ができるのでしょうか。神戸市立医療センター中央市民病院の坂井信幸先生にお話をうかがいました。

未破裂動脈瘤が見つかった場合

動脈瘤が破裂する前の段階で見つけられた未破裂動脈瘤は、じっくり考えられる時間があるからこそ、患者さんがもっとも悩むことになるでしょう。ドック・頭痛・めまいなどで病気が見つかった場合、「様子を見る」「開頭手術を受ける」「血管内治療を受ける」という3つの選択肢を迫られます。ひとくちに「脳動脈瘤」といっても、場所・形・大きさ、患者さんそれぞれによって治療リスクに違いがあり、これは専門家でなければ見分けられません。そのため、専門医にご自身の動脈瘤を評価してもらうことが重要です。

血管内治療(カテーテル治療)を選択するべきかどうかを患者さん自身が考えるとき、大事にしていただきたいことは、「どうしたらいいか」を教えてくれる医師を探すということです。専門家であれば病気の一般的な説明はできます。患者さんもインターネットなどである程度のことは自分で調べることができます。ですから、医師に教えてもらうべきことは「あなたに見つかった動脈瘤」「ご家族に見つかった動脈瘤」に対する個別具体的な説明と対処法です。もちろん患者さん自身もしっかりと情報を収集し、専門医の話をよく聞き、患者さん本位に考えてくれる「自分の医師」に出会ってください。

よい医師とは、「あなたに見つかった動脈瘤を最終的にどうしたらいいか」を判断してくれる人です。医師は迷ったら「自分の家族ならどうするか?」と考えて最終判断をしています。自分の意見を言ってくれない医師に出会ったら「あなたなら、あなたの家族ならどうしますか?」と尋ねて下さい。答えを言ってくれない医師がいたら、その医師にはもう相談しても意味がありません。まして治療をお願いすることは避けるべきです。

治療がうまく行かないことは必ず起こりえます。その時に「あなたが選択した結果だから、自分には責任はない」とその医師は答えるでしょう。一緒になって決断してくれた医師は、万一残念な結果になった時でも、一緒に次の治療に取り組んでくれます。

脳卒中を発症してしまった場合(くも膜下出血や脳梗塞など)

脳動脈瘤が破れてくも膜下出血を起こした場合は、再出血をできるだけ早く防ぐために、脳神経外科手術とカテーテル治療の両方ができる脳卒中センターに運ばれるのが理想です。脳梗塞の急激な発症で病院に運ばれた場合、治療が行えるのは発症から4時間~8時間以内(※)が原則です。手術の技術の進歩に関係なく、早ければ早いほど予後がよくなります。ですから、症状が見られた場合はすぐに脳卒中センターに行くようにしてください。

※TPA(血栓溶解剤)が投与できるのが4時間以内、カテーテル治療は8時間以内というルールがあるため時間に開きがあります。

発症した場合、ご本人が話せない場合がありますから、脳卒中が発症するとどのような状態になるのか(以下に述べます)をより多くの方に知っていただくため、健康な方が脳卒中を見分けるためのキャンペーンも行われています。

キーワードは「突然の症状」です。話せない、目が見えない、手が動かない、顔がゆがむ、歩けない、ふらふらするなど、それまでできていたことが突然できなくなった場合、脳卒中の可能性があります。その場合は「空振り」でもかまいませんので、躊躇せず救急車を呼んでください。繰り返しますが、本人はものも言えないし手も動かせない可能性があります。その場合、まわりにいる人が「あっ! 脳卒中になっているかもしれない」と気づいていただく必要があります。そのために、もっともっとキャンペーンを広げる必要性を感じています。

また、脳卒中を起こした場合でも、詰まっているのではなく血管が狭かったというケースもあります。頚動脈、椎骨動脈など頭の外側の血管も治療の対象になり、内科治療、外科治療も重要です。つまり、カテーテル治療の専門医だけでなく、それ以外の専門医の意見も聞く必要があるかもしれないのです。繰り返しとなりますが、こうした観点からも、持っている知識をわかりやすく簡潔に説明してくれる、「あなたの」病気に対してどうしたらいいかを明確に教えてくれる医師に出会うことが重要です。

脳卒中で病院へ運ばれたら最初に行われること

出血していない急性脳梗塞に対しては、原則としてTPA(※)をすぐに投与します。それに加え、太い血管が詰まった脳梗塞には初期段階で血栓回収療法を追加すると、患者さんの回復がより期待できることがわかりました。

※TPA…血栓溶解剤。できた血栓を溶かす薬。新鮮な血栓を溶かして血流を再開させることで機能障害を残さずに回復することが期待できるため、脳梗塞などで使用されることが多い。

ですから、発症時間や脳のダメージの状態などの条件(※)はあるものの、急性脳卒中ならば、TPA投与ができるだけではなく、カテーテル治療ができる病院に運ばれた方がよいはずです。現在日本には、カテーテル治療の専門医が1000人以上います。治療ができるドクターは増えていますから、大きな都市の病院ならばカテーテル治療が受けられると考えていいでしょう。

※カテーテル治療の適応条件…内頚動脈、中大脳動脈閉塞であること、発症が原則6時間以内であること(早ければ早いほど尚可)、CTスキャンで脳のダメージが最小限にとどまっている、重症度が中程度(NIHストロークスケール20点)など

重要なことは、365日24時間対応してくれるかどうかです。複数の専門医が常に病院にいて患者さんを待ち受けていてくれること、患者さんや家族に診断と方針を説明する医師と、治療を準備する医師がいてすぐに取りかかってくれることです。脳卒中は夜中にもたくさん発症します。複数の専門医が交代で勤務していて、レントゲン技師や看護師も常時院内にいる大きなチームでなければ常に患者さんを引き受けること、まして同時に複数の患者さんを治療することは難しいのです。患者さんが運ばれてから担当医が病院に来るような専門医が数名しかいない病院では、間に合いません。そのような小さな病院では看護師やレントゲン技師も不慣れなことが多く、一刻を争っている脳卒中の急性期医療のクオリティは、10名以上の専門医が勤務する総合脳卒中センターに比べて明らかに成績が劣っていることがすでに報告されています。患者さんや市民に「早く」とキャンペーンをはっても、専門医が2、3人しかいない救急病院ではよい結果を得ることは難しいのです。

 

脳卒中の急性期治療、脳動脈瘤治療のエキスパート。脳血管内治療が始まり当初から難治性の病気にも果敢にチャレンジし、ステント治療を日本で初めて導入するなど脳卒中治療の技術を飛躍的に発展させる。専門技術が分かれてしまいやすい日本において、血管内治療、外科開頭手術の両方を年間300例以上おこなう数少ないドクター。一般向けの脳卒中に関する講演やセカンドオピニオンをおこなうほか、カテーテル専門医の認定や技術指導など後進育成にも力を入れる。

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