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インタビュー

公開日 : 2016 年 07 月 27 日
更新日 : 2017 年 09 月 22 日

新しい脳卒中リハビリテーション「rTMS治療」による上肢の片麻痺の治療

脳卒中を発症すると、多くの患者さんには、「片麻痺」と呼ばれる、片側の手足の麻痺が現れます。この片麻痺が長期間にわたって残存することも珍しくはありません。

これに対して日本では2008年から、片麻痺を改善させて脳卒中リハビリテーションをスムーズに進めるために“rTMS治療”が用いられるようになっており、すでに良好な治療成績がもたらされています。安全性が非常に高いといわれるrTMS治療とはどのような治療法なのでしょうか。国際医療福祉大学三田病院リハビリテーション科教授の角田亘先生にお伺いしました。

脳卒中リハビリテーションにおける上肢の「片麻痺」改善の必要性

医療の進歩により脳卒中の死亡率は軽減し、現在では脳卒中発症後の運動障害や日常生活動作障害に対するリハビリテーションが広く行われています。脳卒中リハビリテーションは一般的に発症直後からベッドサイドで開始され、慢性期、維持期にわたり一貫した流れで行われます。

しかし、脳卒中の後遺症として高頻度でみられる片麻痺、特に上肢麻痺や、手足の筋肉がつっぱる「痙縮(けいしゅく)」が、あらゆる時期における円滑なリハビリテーションの妨げとなることも少なくはありません。

たとえば、脳が障害を受けた部分とは反対側の上肢に麻痺が出現している場合(上肢麻痺の場合)には、両腕で行っていた動作を片手で行うなど、「代償的アプローチ」が必要となることも多々ありました。

このような脳卒中後の上肢麻痺に対し有意な機能改善効果をもたらすとして、2008年以降日本でも用いられるようになった最新の治療が、本記事でご紹介するrTMS(反復性経頭蓋磁気刺激)治療です。

上肢の片麻痺に有効なrTMS(反復経頭蓋磁気刺激法)治療とは? 

磁気により大脳を刺激する機械装置を「TMS(経頭蓋磁気刺激)」といい、繰り返し磁気刺激を与えることで脳組織の活動性を高め、片麻痺の改善を目指す治療法を「rTMS(反復性経頭蓋磁気刺激)治療」と呼びます。

rTMS治療は2005年から海外において脳卒中後の治療に対して使用されるようになり、日本では2008年から、私の前任地である東京慈恵会医科大学(以下、慈恵医大)のグループ施設13か所で共同研究が始まった極めて新しい治療法です。

rTMS治療の治療対象となる主な機能障害は、

●片麻痺(特に上肢麻痺)

●失語症

●嚥下障害(飲み込みの障害)

であり、特に上肢麻痺が多くなっています。

rTMS治療は元々うつ病に対する治療法としてアメリカなどで使用されていましたが、脳卒中の後遺症に対する治療法としては、現在日本が先頭に立つ形で研究を進めています。日本では既にrTMS治療を受けられた患者さんが2000人以上にものぼり、医師の経験も豊富に蓄積されています。2015年にはアジア・オセアニアに向けた学会で、慈恵医大グループの医師がrTMS治療についての講義を行い、今年2016年には、同グループから海外向けの英訳テキストが出版されました。

私たちがこのように力を入れてrTMS治療の研究を進め、また自信を持って患者さんにおすすめしている理由のひとつはその「安全性」にあります。

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