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脳の可塑性―リハビリで期待できること
脳卒中が起きると、脳の血管に障害が起きて脳にダメージを与え、脳の神経細胞が死んでしまいます。死んでしまった脳細胞の働きがもとに戻ることは二度とありません。しかし、脳卒中のリハビリテーションは、機...
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脳の可塑性―リハビリで期待できること

公開日 2016 年 02 月 19 日 | 更新日 2017 年 12 月 05 日

脳の可塑性―リハビリで期待できること
二瓶 太志 さん

大泉学園複合施設 ねりま健育会病院 リハビリテーション部

二瓶 太志 さん

脳卒中が起きると、脳の血管に障害が起きて脳にダメージを与え、脳の神経細胞が死んでしまいます。死んでしまった脳細胞の働きがもとに戻ることは二度とありません。しかし、脳卒中のリハビリテーションは、機能回復を目指すための治療が重要です。脳の神経細胞の働きが失われたのに、機能回復を目指すとはどういうことなのでしょうか。大泉学園複合施設 ねりま健育会病院 リハビリテーション部 作業療法士の二瓶太志先生に脳の可塑性のメカニズムについてうかがいます。

脳の可塑性

脳の神経細胞は、一度死んでしまうと、もとに戻ることは残念ながら二度とありません。その神経細胞の働きによる脳機能も失われてしまいます。つまり、記憶を司る脳の領域が損なわれると記憶することができなくなってしまい、運動を司る領域が損なわれると手足を動かすこともできなくなってしまうということです。ですから、以前のリハビリは、麻痺した側の機能はあきらめて、ほかの動く部分を強化することを重点的に行う傾向がありました。

しかし、最近の脳科学の研究において、リハビリテーションによって損傷した脳領域周辺の細胞など新たな神経回路ができることが明らかになりました。学習や経験で脳細胞のシナプス結合が変わり、運動や行動に変化が現れるという神経可塑性が提唱されています。たとえば、脳梗塞で指を動かす神経細胞が死亡しても、訓練によって通常「手首」を動かす指令を出す神経細胞が「指」を動かす指令を発することができるようになります。再び指を動かすことが可能になるのです。このような脳の運動学習メカニズムが、麻痺した筋肉を動かすことによる麻痺した筋肉の治療を可能にするのです。

また、脳は脳梁を介して左右相互に抑制しあい、均等に働けるように調整し合うという特徴があります。たとえば、どちらかの脳が損傷を受けた場合、損傷を受けていないほうの脳による損傷を受けた脳への抑制が強くなってしまい、活動性が低下してしまいます。損傷を受けていない脳が余計にがんばってしまい、損傷を受けた脳の本来の力を抑制してしまうのです。したがって、左右の脳を調整するようなリハビリテーションも重要です。

このように脳は、損傷を受けても回復する力を持っています。特定の領域が損傷を受けてもその損傷を自らカバーしようとする機能がもともと備わっているのです。ですから、脳機能が失われても、適切なリハビリテーションによって機能回復することは可能なのです。

脳科学の進歩とともに発展する脳卒中のリハビリ機器

このような脳のしくみが明らかになったことによって、リハビリで使用される電気機器などにも大きな変化がもたらされました。以前は、使える部分を強化することを目的とし、動く部分を「筋トレする」ようなイメージでリハビリを行っていました。しかし、現在脳卒中のリハビリで使用される最新の電気機器は、患者さんの腕などに装着すると腕の筋肉の筋電を察知し、筋肉の収縮を促す刺激を送るというつくりになっています。私たち人間の身体は、動く時にわずかな電気信号を発しています。その電気信号を機器が察知してよりよい筋活動を促し、それによって生まれる感覚が脳の運動の学習を強化します。結果、腕をもっと大きくスムーズに動かせるように、脳の「腕を動かす」という指令を改善するようなしくみになっているのです。

また、電気機器以外にも、互いに抑制しあっている左右の大脳の神経活動のバランスを調整する機器もあります。磁気による刺激です。リハビリで目的としたいことは「損傷した脳の機能や信号をいかに適切に回復するか」ですから、損傷した脳にがんばってもらわなければなりません。その場合、大脳への磁気刺激の与え方によって、損傷していない脳の過剰な信号を少しだけ抑制し、両方の脳がより適切に働いてもらうように調整することもできます。損傷していない側と損傷した側、両方のリハビリをバランスよくすすめていくことが非常に重要なのです。

 

脳卒中の後遺症ー復職はできるのか

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独立行政法人労働者健康安全機構・関東労災病院リハビリテーション科部長

小山 浩永 先生

脳の血管に何らかの障害が起こり、ある日突然に発症する脳卒中。手足の麻痺症状や筋肉の硬直などの後遺症に直面し、「もう自分は職場に戻れないのではないか」と悩んでしまう就業中の患者さんも多数おられます。 関東労災病院の勤労者リハビリセンターでは、仕事を持つ脳卒中患者さんの心身に寄り添い、後遺症の治療と共に元の職場に戻れるよう復職支援を行っています。実際に多くの患者さんの社会復帰を後押ししてき...

この記事の目次

  • はじめに-脳卒中の後遺症は改善できる

  • 記憶障害などの高次脳機能障害も脳卒中の後遺症のひとつ

  • 脳卒中後の復職-精神的な疲れやすさ「易疲労性」の克服が重要

脳卒中後の復職を目指してーリハビリ・ボツリヌス療法・動機付けなど

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独立行政法人労働者健康安全機構・関東労災病院リハビリテーション科部長

小山 浩永 先生

仕事を持つ社会人の方が脳卒中を発症し、休職しながらリハビリテーションを行なうことは決して少なくはありません。職場復帰したいという意志を持つ患者さんは非常に多いのです。復職を目標としたリハビリテーションでは、足以上に手の機能の改善が重要になると、関東労災病院リハビリテーション科部長の小山浩永先生はおっしゃいます。麻痺などが起きた手指の機能を回復させる専門的な治療の方法と、脳卒中後の復職率を小山...

この記事の目次

  • 脳卒中後の復職率・離職率-復職率は4割台にのぼる

  • 仕事に戻るための脳卒中リハビリテーション-機能回復に有効な治療

  • 手の機能回復を目的としたボツリヌス療法とは

脳卒中の予防−生活習慣の見直しと定期的な脳ドッグ受診の必要性

脳卒中の予防−生活習慣の見直しと定期的な脳ドッグ受診の必要性

医療法人財団 健貢会 総合東京病院 副院長 脳神経外科統括部長

沼澤 真一 先生

脳卒中は高齢化や食生活の変化などが原因で年々増加傾向にある疾患です。脳卒中は発症直後から命にかかわる危険性があります。またその多くは突如に発症し、前兆となる症状が起きることはあまり多くありません。 脳卒中の患者さんが増えている中、その予防が現在注目されています。脳卒中を予防するためにはいったい何をすればよいのでしょうか。少数ながら生じることのある脳卒中の前兆や、脳卒中にならないための予...

この記事の目次

  • 脳卒中とは

  • 脳卒中の前兆はほとんどないが一部生じることも

  • 脳卒中の予防

「人が人を治療する」をモットーに、リハビリは生活機能だけでなく脳卒中患者とそのご家族が人生を取り戻すものととらえ、日々現場臨床に携わる。急性期、回復期、生活期と幅広い領域での臨床経験と総合リハビリ病院開設の経験も生かし、脳卒中障害の理解やリハビリテーションの重要性を広めるべく、地域の講演会などにも積極的に参加している。

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