インタビュー

脳卒中における回復期のリハビリテーション

脳卒中における回復期のリハビリテーション
荒井 好範 先生

社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院 理事長

荒井 好範 先生

この記事の最終更新は2016年04月03日です。

脳卒中のリハビリテーションにおいては、急性期の治療直後から早期にリハビリテーションを開始することが重要です。しかし、多くの患者さんはその後もさらに継続的な治療とリハビリテーションが必要となります。牧田総合病院は脳卒中の患者さんに対する急性期の治療だけでなく、その後のリハビリテーションや再発予防まで含めたトータルケア・システムで注目を集めています。牧田総合病院の理事長であり脳神経外科部長の荒井好範先生に、蒲田分院で行っている回復期リハビリテーションのお話を中心にうかがいました。

牧田総合病院では、蒲田にある分院で回復期リハビリテーションを行っています。脳卒中で大森の本院に運ばれた患者さんは、早ければ2週間前後で蒲田分院に移っていただくことができます。患者さんの状態によって1~3ヶ月、回復期リハビリテーション病棟でじっくりとリハビリテーションに取り組んでいきます。

医師は大森本院と蒲田分院を行き来していますし、リハビリテーションのスタッフも情報を共有化しています。回復期リハビリテーション病棟で3ヶ月ほどリハビリテーションを行なった後、患者さんが在宅で外来に通っていただくようにセッティングしていきます。これらが一連の流れの中で行なえるということが大切です。

蒲田分院では外来でのリハビリテーションは行っていないため、外来でのリハビリテーションでは、患者さんに大森の本院へ来ていただいています。また、訪問リハビリテーションや訪問診療も実施していますので、外来でのリハビリテーションに通院できないほど後遺症が重い方は、訪問リハビリテーションのチームに引き継いでいきます。

たとえば、訪問診療を行なう在宅療養支援病院「牧田総合病院 蒲田分院 訪問診療室」では、神経内科の医師が看護師と一緒にご自宅にうかがい、そこで血圧コントロールなどを行ないます。また、訪問看護をおこなう「牧田訪問看護ステーション(大森本院)」では訪問リハビリテーションを受けることが可能です。

このほか、蒲田分院のデイケア部門である通所リハビリテーション施設「牧田デイケアリハビリセンター」もあります。もう少し継続してリハビリをしたいという方は「牧田デイケアリハビリセンター」に通ってデイケアを受けていただくか、大森本院の外来のリハビリテーションを受けていただくことになります。

多くの患者さんには、継続した治療とリハビリテーションが必要となります。それはなぜかというと、やはり後遺症のためにひとりで生活できない、あるいはある程度はひとりでできても補助が必要になるという状況があるからです。ご家族だけでは介助しきれない場合もありますし、患者さんの置かれている状況は人それぞれですので、どのような形であれば家で生活できるかという、それぞれの方に応じたサポートが必要となります。

たとえばがんなどであれば、手術を行いある程度元気になればサポートがなくても生活できるかもしれませんが、脳卒中の場合は多くの方に後遺症が残ります。そのため、ハンディキャップを持った方がいかに社会で生活していくかということを、病院が中心となってフォローしていくということが求められます。

介護保険のサービスを受けるにも申請が必要ですし、退院したからといって何もかも自力でやっていただくというのは難しいでしょう。そういったサポートも病院が主導で行い、患者さんが自宅に戻るときにはしっかりとバックアップのプランを立てて、いわゆる在宅設定をしてさしあげるということが大切です。

急性期病院の役割は本来、急性期の治療だけなのですが、そこで終わってしまうと患者さんがその後どうされているかということがわかりません。我々の医療はそこで終わるのではなく、その後もサポートしていくという「トータルケア・システム」です。地域に根づくためには急性期にとどまらない治療の継続が求められますし、介護との融合も必要となります。我々はそういうスタンスで地域医療に取り組み、それが牧田総合病院を中心としたグループ全体の基本方針として貫かれています。

 

みなさんは、「作業療法士」という職業をご存知でしょうか。作業療法士とは、身体に起きた機能障害を回復する手助けをする職業ですが、その仕事内容は幅広く、障害の起きた原因の数だけさまざまなアプローチや治療法が存在します。

この記事の目次

  1. 作業療法士の役割
  2. 脳卒中専門の作業療法の難しさ
  3. リハビリがうまくいかない理由

よりよいリハビリを受けたい、より自分に合う作業療法士と出会いたいと望むのは、治療に取り組む患者さんやご家族にとって当然のことでしょう。現在のところ、どんな病院が自分に合っていてどんな作業療法士を探せばよいのか、その基準となるはっきりした指標がないためリハビリに課題を抱えていらっしゃる方も多いかもしれません。

この記事の目次

  1. 自分にとってよい作業療法士やリハビリ施設を探すことは可能なのか
  2. 評価指標の例
  3. 回復期リハビリテーションのその後
  4. リハビリテーションの未来

脳卒中は高齢になるほどリスクが高くなるとされています。しかしその内訳をみると、脳梗塞を発症する方が高齢者中心であるのに対して、脳出血は30代、40代の方が発症する例も珍しくありません。

この記事の目次

  1. 個人に合わせたリハビリテーション
  2. 高次脳機能障害
  3. 職業復帰をサポートする就労支援コーディネーター

脳の血管に何らかの障害が起こり、ある日突然に発症する脳卒中。手足の麻痺症状や筋肉の硬直などの後遺症に直面し、「もう自分は職場に戻れないのではないか」と悩んでしまう就業中の患者さんも多数おられます。

この記事の目次

  1. はじめに-脳卒中の後遺症は改善できる
  2. 記憶障害などの高次脳機能障害も脳卒中の後遺症のひとつ
  3. 脳卒中後の復職-精神的な疲れやすさ「易疲労性」の克服が重要
  4. 復職後に精神障害をきたす脳卒中患者さんを減らしたい
  5. その他の代表的な脳卒中の後遺症
  6. 脳卒中後の復職のカギは後遺症の有無だけではない
  7. 脳卒中の後遺症により仕事を辞めるか悩んでいる方へ

最近ではカテーテル治療などが発達し、もし脳卒中を発症してもすぐに亡くなってしまうことが少なくなりました。しかしその代わりに、後遺症に苦しむ患者さんも少なくありません。

この記事の目次

  1. 後遺症を発症しやすい脳卒中
  2. 脳卒中を発症したら必ずリハビリをするの?
  3. リハビリが必要なのはどんな症状?

脳卒中における障害をいち早く回復させるためには、リハビリテーションの方法が非常に重要なポイントとなります。リハビリテーションには急性期のリハビリと回復期のリハビリがあり、患者さんがどの段階に該当するかによってリハビリの内容も異なってきます。

この記事の目次

  1. 急性期の脳卒中リハビリテーション―迅速なリハビリへの着手が重要不可欠
  2. 急性期リハビリテーションへのタイムリミットは「2週間」
  3. リハビリテーション制度の遷移―回復期リハビリテーション医療制度ができるまで

脳卒中における障害をいち早く回復させるためには、リハビリテーションが非常に重要なポイントとなってきます。リハビリテーションには急性期のリハビリと回復期のリハビリがあり、患者さんがどの段階に該当するかによってリハビリの内容も異なってきます。

この記事の目次

  1. 回復期のリハビリテーション
  2. 退院後のリハビリテーション
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  • 社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院 理事長

    荒井 好範 先生

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