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インタビュー

滋賀県の脳卒中データからわかってきたこと

滋賀県の脳卒中データからわかってきたこと
野崎 和彦 先生

滋賀医科大学 医学部脳神経外科学講座 教授

野崎 和彦 先生

脳卒中をめぐる症状、対処法、最近の治療法を踏まえたうえで、あらためて滋賀脳卒中データベースから判明した脳卒中の最新の傾向について滋賀医科大学附属病院脳神経外科教授の野崎和彦先生に解説をしていただきました。

脳卒中は1960年には日本において死因の第1位を占めていました。その当時は、脳卒中全体のうち脳出血が8割近くを占め、脳梗塞は約1割強に過ぎませんでした。これは、食事における塩分のとり過ぎにより高血圧になり、脳出血を起こすことが多かったからです。その後、薬や減塩などにより血圧のコントロールができるようになり、脳出血は減少の一途をたどりました。ただ現在は脳梗塞がそれにかわって増えています。

2011年の調査による滋賀県の脳卒中データを見ると、脳卒中発症として登録した症例は3120例で、人口10万人当たりの粗発症率は男性が241.5人、女性が204.5人でした。詳細なデータがないDCO(Death Certificate Notification Only)症例を除くと、脳卒中発症数は2956例で、女性が46.6%、平均年齢が74.1歳で、うち初発脳卒中は74%の2176例でした。病型別では、初発脳梗塞が1398例、初発脳出血が551例、初発くも膜下出血が201例で、脳梗塞が3分の2を占めています。また、脳梗塞のうち病型別の発症数はアテローム血栓性が約3分の1、心原性脳塞栓症とラクナ梗塞が約4分の1ずつでした。

季節別の発症例を見ると、脳梗塞は年間を通してあまり変わらない一方で、脳出血は寒い季節で多く、またくも膜下出血は3~4月、10~11月で増える傾向がわかりました。くも膜下出血は、気温の変化が激しいときは起こりやすい傾向がここでも示されています。

脳梗塞のうち「rt-PA静脈療法」を使用した症例は79例(4.3%)でした。ということはそれ以外の人はこの薬の適応外であったか、適応があっても時間的に間に合わなかったということです。救急搬送により投薬を受けることができる4.5時間以内に専門病院に運ぶことが大事ですが、一方、「rt-PA静脈療法」を受けた人のうち、ほとんど後遺症なく歩いて帰れるまでに元気になった人は2割程度で、残りはなんらかの後遺症が残っています。やはり改めて予防が重要であることがよくわかると思います。

2011年1月1日から2011年6月30日に発症した1569例(脳梗塞1040例、脳内出血402例、くも膜下出血112例;DCO症例を除く)を用いて発症後180日以内の生命予後について検討を行ったところ、180日以内の死亡率は21%で、発症から半年の間に5人に1人の方が亡くなっていることがわかります。病型別では脳梗塞では17%、脳内出血では24%、くも膜下出血では41%で、くも膜下出血では4割の方が亡くなっています。また年齢が高いほど亡くなられる割合も高くなっています。

全国を見渡してもこのように全県域で調べた悉皆調査(しっかいちょうさ:調査対象の全てを調査すること)のデータはありません。滋賀県は面積の約6分の1を琵琶湖が占め、四方を山で囲まれています。また北は冬になると雪が積もり、南は温暖な気候で、今回の医療圏別のデータでも、北では脳卒中発症率が高いことがわかっています。つまり、滋賀県は日本の縮図のような地域で、人口も140万人と全国の100分の1を占めます。100分の1県といわれるゆえんです。おおよそ滋賀県のデータを100倍すれば日本全体の姿を現せると思っています。

 

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