
脳卒中は高齢になるほどリスクが高くなるとされています。しかしその内訳をみると、脳梗塞を発症する方が高齢者中心であるのに対して、脳出血は30代、40代の方が発症する例も珍しくありません。働きざかりの方が社会復帰するためには、日常生活のリハビリテーションだけでなく、その先にある職業復帰が大きな壁となっています。牧田総合病院の理事長であり脳神経外科部長の荒井好範先生にお話をうかがいました。
脳卒中による脳の損傷や障害の程度は人それぞれですが、リハビリテーションの内容は一人ひとりの患者さんでまったく違うというわけではありません。ただし、障害された脳の部位が右か左かによって、失語があるかないかなどの違いがあります。
麻痺の程度にも個人差はありますが、重要なのはその方のADL(日常生活動作)がどれくらい良いのか、それとも悪いのかという点です。どの程度動けるのか、たとえば膝立ちができるなど、その度合いによって負荷をどれくらいかけていくかということを個人に合わせて判断していきます。
そのプランを作っていくのは理学療法士・作業療法士・言語療法士などのセラピストの役割となります。リハビリテーションの専門医も交えて行ってはいますが、あくまでも中心はセラピストであり、我々医師は主にリハビリ中のリスクや血圧の管理などに関わっています。
もちろん、歩いたり訓練したりすることだけがリハビリではありません。着替えやトイレの動作など、日常のちょっとしたことがすべてリハビリの一環です。そういった場面では看護師の役割も非常に大切です。また、服薬指導においては薬剤師もかかわってきます。リハビリテーションはまさに「チーム医療」の最たるものかもしれません。
脳卒中の後遺症では、麻痺など目に見えるものだけでなく、高次脳機能障害も大きな問題です。麻痺は頑張ってある程度改善しても、高次脳機能障害が社会復帰するうえで問題になる場合は少なくありません。外見上わかりにくい部分であるだけに、早めに察知するよう注意を払っています。
高次脳機能障害は脳卒中だけではなく、交通事故や外傷で起こることもあります。現在、社会的にも大きな問題になりつつあり、「高次脳機能障害を考える会」など、家族会の活動も活発になっています。牧田総合病院でも私が「高次脳機能外来」を実施しており、企業の産業医から高次脳機能障害の状態を診断してほしいといった依頼が来ることもあります。
家庭での日常生活もひとつの社会復帰ですが、その一歩先には職業復帰という課題があります。特に脳出血は脳梗塞に比べて若い方の発症が多いため、職業復帰は重要な問題です。血圧が高い状態で治療をせず放置した結果、30代や40代で脳出血を起こす方もいるのです。
それまで働いていた方が職場に復帰するためには、どのような働き方であればその方が復帰できるかという、会社側との細かい調整や折衝も必要になります。雇用する企業側にもそれぞれ事情があり、職場復帰に消極的な場合も当然考えられます。そこで牧田総合病院ではトータルケアの一環として、就労支援コーディネーターによるサポートを行っています。
リハビリテーション部門の職員が就労支援コーディネーターとして行政の各部署との橋渡しをするほか、患者さんご本人が何をどうすれば復帰できるかといった部分に関わってサポートしています。これは牧田総合病院が民間病院として独自で行っているサービスですので、行政からの補助などは受けていません。ですから、患者さんと時間をかけて就労支援のためにお話し合いをしても、診療報酬の加算などはしていません。無償のサポートとして行っています。
また、元の職場への復帰だけでなく、新規に身障者枠で就職するためのサポートとして、東京都の就労支援窓口に行き、就職するためのレクチャーなども行っています。たとえば片麻痺(かたまひ:体の片側だけで麻痺が発生する症状)だけならばパソコン入力はできるなど、障害の種類や程度によってできる仕事が異なります。その内容に応じて東京都に仕事を斡旋してもらうという役割もあります。
脳卒中は決して急性期だけでは終わらない病気です。脳がどの程度損傷を受けるかによって、本当にその方の人生が変わってしまうのです。そういったところまでしっかりとサポートしていくことがトータルケア・システムの役割なのです。
脳卒中のリハビリテーションにおいては、急性期の治療直後から早期にリハビリテーションを開始することが重要です。しかし、多くの患者さんはその後もさらに継続的な治療とリハビリテーションが必要となります。
脳の血管に何らかの障害が起こり、ある日突然に発症する脳卒中。手足の麻痺症状や筋肉の硬直などの後遺症に直面し、「もう自分は職場に戻れないのではないか」と悩んでしまう就業中の患者さんも多数おられます。
最近ではカテーテル治療などが発達し、もし脳卒中を発症してもすぐに亡くなってしまうことが少なくなりました。しかしその代わりに、後遺症に苦しむ患者さんも少なくありません。
社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院 理事長
周辺で脳卒中の実績がある医師
国際医療福祉大学三田病院 予防医学センター長/神経内科、国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター教授
内科、血液内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、脳神経内科、血管外科、脊椎脊髄外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科、病理診断科
東京都港区三田1丁目4-3
都営大江戸線「赤羽橋」赤羽橋口出口または中之橋出口 徒歩5分、東京メトロ南北線「麻布十番」3番出口 徒歩8分、都営三田線「芝公園」A2番出口 徒歩10分、JR山手線「田町」三田口出口 車5分 徒歩20分
国立健康危機管理研究機構国立国際医療センター 元副院長・元脳卒中センター長・非常勤、順天堂大学大学院 医学研究科客員教授
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
国立国際医療研究センター 脳神経内科 科長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
東京警察病院 脳神経外科 部長、脳卒中センター副センター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器科、消化器科、腎臓内科、循環器科、小児科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、総合診療科、病理診断科
東京都中野区中野4丁目22-1
JR中央線(快速)「中野」北口 バスも利用可(関東バス 東京警察病院正門前下車すぐ) 徒歩10分
東京警察病院 副院長/脳血管内治療科 部長/脳卒中センター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器科、消化器科、腎臓内科、循環器科、小児科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、総合診療科、病理診断科
東京都中野区中野4丁目22-1
JR中央線(快速)「中野」北口 バスも利用可(関東バス 東京警察病院正門前下車すぐ) 徒歩10分
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