インタビュー

脳卒中とは

脳卒中とは
野崎 和彦 先生

滋賀医科大学 医学部脳神経外科学講座 教授

野崎 和彦 先生

この記事の最終更新は2016年04月08日です。

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳が損傷を受ける病気です。脳卒中は手足のまひ、歩行障害、言語障害などの後遺症が残ることが多く、寝たきりを引き起こす原因となっています。脳卒中の具体的な種類と原因について滋賀医科大学附属病院脳神経外科教授の野崎和彦先生にお話を伺いました。

血管が詰まってしまうことによってその先の脳細胞に血液が行き届かなくなり、酸素や栄養分を送ることができなくなって、脳組織に障害が生じます。脳梗塞の中にも、いくつかの種類があります。

・ラクナ梗塞

脳の血管は、太い血管から細い動脈へと枝分かれしています。その細い動脈である「穿通枝 (せんつうし)」に直径 1.5cm 未満の小さな梗塞が起きた状態です。主に高血圧が原因となることが多く、従来から日本人に多いタイプです。症状は軽いことが多く、病巣が小さい場合は、自覚症状が全くないこともあります。これを「無症候性ラクナ梗塞」と呼びます。

・ アテローム血栓性脳梗塞

比較的太い脳の血管が詰まって梗塞が起こるもので、主に動脈硬化が原因となることが多く、食生活の変化とともに患者数が増えてきています。特に、糖尿病脂質異常症、肥満などと併発することが多いため、これらの疾患を持っている人は注意が必要です。

・心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)

心臓の中でできた血液のかたまり(血栓)が脳に流れて、脳の太い血管を詰まらせてしまうものです。原因の多くが不整脈のひとつである心房細動です。心臓でできた血栓は大きくて溶けにくいため、脳梗塞の中では重症になりやすい病気です。心房細動は高齢者に多く、本邦では増加傾向にあります。

症状が続かないため軽く考えてしまいがちですが、治療せずに放置すると、10%の人が90日以内に脳梗塞を、20~30%の方が数年以内に脳梗塞を起こしています。特に、一過性脳虚血発作を何度も繰り返している、発作のたびに症状が強くなる、持続時間が長くなるといった場合は脳梗塞を起こす可能性が高く、要注意です。適切な治療を受けることで脳梗塞の発症を予防することができます。

高血圧の状態が長年にわたって続くと血管の壁が傷つき出血しやすくなるために起こります。

くも膜下出血は、脳の表面の動脈のコブ(動脈瘤)が破れて、脳とくも膜(脳の表面を覆っている薄い膜)のすき間に出血する病気です。激しく殴打したような強烈な頭痛が起こることが特徴で、初回の出血では致命傷にならなくても、24時間以内に再出血することが多く、注意が必要です。高齢者だけでなく、40-50歳代の働き盛りでも発症することが多くあります。いきんだときなど急に血圧が変動したときや、気温が大きく変化するときなどに発症することが多いです。

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