インタビュー

肺がんのレーザー治療とは

肺がんのレーザー治療とは
宮澤 輝臣 先生

聖マリアンナ医科大学呼吸器内科 特任教授

宮澤 輝臣 先生

気管支鏡(気管支ファイバースコープ)は気管支の中の状態を観察して病気を診断するだけではなく、さまざまな治療を行えるように進化しています。気管支鏡を使った肺がんのレーザー治療について、呼吸器インターベンションのパイオニアである聖マリアンナ医科大学呼吸器内科特任教授の宮澤輝臣先生にお話をうかがいました。

肺がんのレーザー治療とは

肺がんの治療で用いられるレーザー療法は2種類あります。ひとつは「腫瘍焼灼法(しゅようしょうしゃくほう)」で、もうひとつは「光線力学的治療法(PDT)」です。

腫瘍焼灼法

高出力レーザー治療とも呼ばれます。気管支鏡を使ってレーザー照射装置を病変部まで誘導し、高出力のレーザーを照射して大きくなったがんを消滅させるか、小さくすることを目的として使用します。がんが大きくなって気管や気管支が狭くなっている場合に、気道を拡げる目的で行います。文字通りがんを焼灼する(焼き切る)ことから腫瘍焼灼法と呼ばれます。

光線力学的治療法(PDT)

PDTはPhotodynamic Therapyの略です。低出力のレーザーと光感受性物質を組み合わせてがんに作用させることから、低出力レーザー治療とも呼ばれます。

まず、がん細胞に集まりやすい性質を持つ光感受性物質を静脈に注射します。この物質は特定のレーザーが当たると化学反応を起こしてがん細胞を破壊します。使用するレーザーは低出力なため、それ自体は正常な組織に照射しても害はありませんが、がんに集まった光感受性物質に作用することによりピンポイントでがんだけを治療できます。

どのような肺がんがレーザー治療の対象になるか

腫瘍焼灼法(高出力レーザー療法)の対象となるのは気管支の比較的太いところから発生した肺がんです。がんが大きくなって気管や気管支が狭まり、呼吸困難・せき・喘鳴(ぜいめい・呼吸に伴うゼーゼー音)・喀血(かっけつ・気管からの出血)などの症状がある場合、気道を拡げるために行います。

PDT(低出力レーザー療法)はステージ0の早期肺門型肺がんが対象となります。大きさ1cm以下のがんに対しては治癒率85%という高い治療効果があります。

他の治療と比較してメリット、デメリットは?

レーザー治療のメリット

開胸手術に比べ低浸襲な治療なので、患者さんの負担が少なく、回復も早いというメリットがあります。
高出力レーザーによる焼灼では呼吸困難が短期間のうちに解消でき、PDT(低出力レーザー療法)では正常な組織へのダメージがきわめて少ないという特徴があります。

レーザー治療のデメリット

腫瘍焼灼法(高出力レーザー療法)の場合には、レーザーが強力すぎるため正常な組織まで破壊してしまい、出血や穿孔(穴が空くこと)がみられる場合があります。

また、PDT(低出力レーザー療法)特有の問題として、体内に入れた光感受性物質が全身に行き渡り皮膚にも残るため、治療の直後に紫外線を浴びると日光過敏症による火ぶくれや炎症を起こすというデメリットがあります。治療後2〜3週間は直射日光を避ける必要があります。しかし、最近の光感受性物質は日光過敏症の副作用がずいぶん少なくなりました。

記事1:気管支鏡とは―呼吸器インターベンションに用いる内視鏡
記事2:気管支鏡による肺がんの検査
記事3:肺がんのレーザー治療とは
記事4:肺がんのステント治療とは
記事5:肺がんの名医が語る肺がん治療法「呼吸器インターベンション」とは

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