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インタビュー

肺がんの早期発見のために肺がん検診が重要。X線検査、喀痰検査のススメ

肺がんの早期発見のために肺がん検診が重要。X線検査、喀痰検査のススメ
奥仲 哲弥 先生

山王病院 副院長/呼吸器センター長

奥仲 哲弥 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年08月01日です。

肺がんは2015年現在、日本人(特に男性)のがんによる死亡数のトップとなっており、がんの中でも生存率が低い病気であると言われています。しかし、それと同時に、早期のうちにがんを発見し、治療の選択肢を多く持つことができれば、約8割の患者さんが治る病気であるということを強調しなくてはなりません。この“早期発見”のために重要となってくるのが「肺がん検診」です。
しかし、残念ながら“肺がん検診”の認知度は極めて低いのが現状です。

例えば、胃がんの検診としてバリウム検査または胃カメラ検査を受けたことがある割合は50代であれば100%に近い数字になる一方で、肺がん検診として喀痰細胞診を受けたことがある人の割合は10%程度です。今回お話を伺う山王病院副院長の奥仲哲弥先生はこれを「国策の失敗である。」とおっしゃいます。また、それと同時に「国民の肺がん検診が徹底されれば肺がんの生存率が飛躍的に伸びる。」とも断言されています。なぜ“肺がん検診”が重要であるのか、奥仲先生にじっくりお話を伺いました。

まずは、日本における肺がんの事情について整理しておきましょう。
がんの中で死因のトップは、男性では肺がん、女性では大腸がんです。肺がんを死因とする患者数は、1993年に胃がんを抜いてトップになりました。女性の肺がん患者も死者が増え続けています。
また、肺がん患者の5年生存率(がんの治療開始から5年間生存している人の割合)は10〜30%と他のがんに比べて著しく低くなっています。

肺がんを治すことが難しいとされている理由としては、以下が挙げられます。

  • 肺がん検診の受診率が低く、内容が不十分である
  • 肺という臓器が生命維持装置である
  • 肺は外気(外の空気)と常に接しており感染やタバコなどのダメージを受けやすい
  • 高齢者に多く、肺がん以外にも他の疾患を抱えている場合が多い
  • 様々な組織型(腺がん、扁平上皮がんなど)があり、また発生する場所(中心型、末梢型)によって診断、治療法が異なる

肺がんは、現代の医療技術を持ってしてもまだまだ治療は難しいというのが現状です。ただし、冒頭でも述べましたが、早期発見さえすれば治る確率の高い病気です。したがって肺がん早期発見のためにも、最低年に1回、肺がん検診を定期的に受けることをおすすめします。喫煙者、あるいは喫煙者だった方は出来るなら年に2回の検診をおすすめします。

肺がん検診の対象者は40歳以上、受診間隔は年に1度と推奨されています。
肺がん検診は、各種の医療機関はもちろん、地方自治体や保健所などでも受けることができます。検査結果は施設にもよりますが検査後7〜10日間程で明らかになります。
後で詳しく説明していきますが、主な検診内容は“問診”“胸部X線検査”“喀痰細胞診”の3つです。

肺がん検診の流れ

※ハイリスク群とは、喫煙指数(1日に吸うタバコの平均本数×喫煙年数)が400以上の場合を指します。例えば、1日に40本、喫煙年数20年 →喫煙指数は800となります。

胸部X線検査、喀痰検査は、ともに肺がんのスクリーニング検査(簡便な検査で肺がんの可能性があるかどうか選別・選抜をする検査)に過ぎず、絶対的な検査ではありません。したがって、この検査で陰性であっても絶対に肺がんではないという保証にはなりませんが、このスクリーニング検査を1年に1度行うだけでも大きく違います。しかし、残念ながら胸部X線検査では肺全体の70%程度しか網羅出来ず、またがんがある程度の大きさ、厚みがないと“影”として反映されません。胃がん検診に比べるとはるかに精度の低い検査であり、早期で発見するにはCT検診の必要性が問われています。

いわゆるレントゲンです。身体の負担もほぼなく、一般的な検査です。肺にあやしい影がないかチェックします。

前述のハイリスク群に入る人は、胸部X線検査とともにこの検査を行います。この検査は、3日間にわたり早朝に採取した痰を検査するというものです。がん細胞が肺から剥がれ落ち、痰に混ざることがあるので、それを狙って痰を採取し、検出します。

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