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インタビュー

肺がんのステント治療とは

肺がんのステント治療とは
宮澤 輝臣 先生

宮澤内科・呼吸器クリニック 院長

宮澤 輝臣 先生

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この記事の最終更新は2015年09月15日です。

気管支鏡(気管支ファイバースコープ)は気管支の中の状態を観察して病気を診断するだけではなく、さまざまな治療を行えるように進化しています。気管支鏡を使った肺がん治療について、呼吸器インターベンションのパイオニアである聖マリアンナ医科大学呼吸器内科特任教授の宮澤輝臣先生にお話をうかがいました。今回はステント治療についてのお話です。

ステント治療は「気道ステント留置術」といい、がんや炎症などのために気管や気管支が狭くなってしまった場合に行います。狭くなったところを押し拡げ、そのまま維持するために筒状のもの(ステント)を挿入して気道(空気の通り道)を確保します。

ステントの材質はシリコンと金属の2種類があり、それぞれ用途などによってさらにいくつかの種類に分かれます。最近ではシリコンと金属(形状記憶合金)の両方の長所を持つハイブリッドステントもあります。

デューモンステント、TMステント

全身麻酔下で硬性気管支鏡(関連記事「気管支鏡とは」参照)を使って気道を拡げ、専用のアプリケーターで挿入。X線で位置を見ながら留置する場所でアプリケーターを抜き取る。脱落防止の突起があるため、目的の場所にとどめることができる。

Zステント、ウルトラフレックスステント

金属ステントは形状記憶合金やステンレスでできた網状の素材を筒の形にしてあります。細く折りたたんで挿入し、気管内で展開して押し拡げるように固定します。ステントが肉芽で埋まるため時間が経つと抜き取ることはできなくなります。

AEROステント

レーザーカットされた形状記憶合金を透明なポリウレタンフィルムで挟んだサンドイッチ構造になっています。フルカバーなので金属ステントのように網目のすき間から肉芽組織が盛り上がって抜き取れなくなるという心配がありませんので、再留置も可能です。内側は親水性のコーティングが施されていて、たんなどの粘液が付着しにくくなっています。適度な拡張力を持っていて、気管にぴったりとフィットします。

肺がんが大きくなって気管や気管支の内側が膨れ上がったり、外から押しつぶされたりすることで気道が狭くなっている場合に用います。がんの根治(根本的な治療)が見込めないとき、または治療効果が現れるまでの間、呼吸困難で命にかかわる事態(窒息)を回避するためにステント留置を行います。化学療法や放射線治療によってがんが小さくなれば、再びステントを抜くことが可能な場合もあります。

がん以外の良性の疾患でも気道が狭くなっているときにはステントを留置することがあります。十分に気道が拡がったら再びステントを抜くこともあります。

がん治療を行うなかで、気管や気管支が食道と穴でつながってしまう場合があります。これを食道気管支瘻といいます。食べたものや唾液が気管や気管支に入って肺炎を引き起こすのを防ぐため、ステントを留置して穴をふさぎます。

呼吸困難な状況が短期間のうちに改善されるというメリットがあります。

  • ステントそのものが原因となって気道がふさがってしまうことがあります。また、内側に飛び出している腫瘍がステント留置の際にはがれ落ちて、気道をふさいでしまうこともありえます。
  • ステント挿入の際にはどうしても気管の内側の表面を傷つけてしまうため、出血が起こります。
  • たんがからみやすくなり、自力でたんを吐き出すことが難しくなります。ただし、ステントによってはたんが付着しにくいようにコーティングを施すなど工夫されています。
  • ステントを留置してもなお、病変部が盛り上がって再狭窄する場合があります。
  • からだになじむまでの間、せきや違和感が続くことがあります。
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