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喫煙者における肺がんに対するCT-必要なとき、必要でないとき
低線量スパイラルCT(通称cat、以下、CT)は、肺がんの初期徴候を見つけるために用いられる医学検査のひとつです。検査でがんが発見されれば、速やかに治療が始められます。しかし、タバコを少ししか吸...
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喫煙者における肺がんに対するCT-必要なとき、必要でないとき

公開日 2016 年 02 月 22 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

喫煙者における肺がんに対するCT-必要なとき、必要でないとき

筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター  茨城県厚生連総合病院水戸協同病院

梶 有貴 先生

Choosing Wisely

徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター長 筑波大学客員教授 獨協大学特任教授 東邦大学客員教授 聖マリアンナ医大客員教授 慶應義塾大学非常勤講師 総合診療医学教育研究所代表取締役 Choosing Wisely Japan副代表

徳田 安春 [監修]

低線量スパイラルCT(通称cat、以下、CT)は、肺がんの初期徴候を見つけるために用いられる医学検査のひとつです。検査でがんが発見されれば、速やかに治療が始められます。しかし、タバコを少ししか吸わない方や、15年以上前にタバコをやめた方に対しては、CTは役に立たちません。また、55歳以下や80歳以上の人には一般的に勧められず、ヘビースモーカーの人でも検査により恩恵を受けることができる方はわずかです。そのため、検査を受ける前に、本当に受けるべきかを十分に考えるべきでしょう。その理由を以下に示します。

有用かもしれないのは高リスクの人

いくつかの研究により、以下に示すリスクを持っている人には、わずかではありますがCTを受けるメリットがあることが示されています。

・1日2箱以上の喫煙を15年以上している55歳から80歳の人

・1日1箱以上の喫煙を30年以上している人

1000人の高リスクの人にCTをすると、約3人は早期に肺がんが見つかり、治療により死を免れることができます。また、13人は肺がんが見つかり治療をしても死は免れないとされています。

低リスクの人にとっては有用ではない

低リスクの人にとっては、CTは有用ではありません。低リスクの人に対するCTが延命につながったということを証明した研究は報告されていないのです。

CTにより誤解を生むような結果が生じる

高リスクの人に対してCTを行っても、誤解を生むような結果が出てしまうことがあります。仮に、高リスクの人100人にCTを実施したとすれば、約40人に何らかの異常が見られることになります。しかし、実際に肺がんだと診断されるのはそのうちの2、3人程度なのです。肺がんではない、症状を来さない病気の発見により、さらなる検査が実施されることになります。多くの場合、何回ものCTの追加が必要になり、生検や手術まで必要となることもあります。これらは、出血や肺虚脱などの合併症を引き起こす可能性もあります。

また、低リスクの人にとっても、CTが誤った警告を出してしまうことがあり、不必要な懸念を引き起こしかねないのです。

CTによる放射線被曝

低線量CTの放射線被爆量は、一般的な胸部X線検査の20倍にものぼります。放射線にあたればあたるほど、がんになるリスクは上昇するので、放射線にあたらないに越したことはないのです。

CTは高価である

米国では、CTは1回につき100ドル~300ドル以上もの費用がかかります。CTの検査費用を保険でまかなうことができるのは、進行性肺がんになる危険性が非常に高いと認定された場合のみです(★日本では異なります)。さらに、CTを実施すると特段意味をなさない追加検査や処置までも実施され、費用がよりかさむこともありえます。

リスクをとってもCTを行うべきときは?

以下の場合にはCTを検討しましょう

・55歳から80歳で、30年間1日1箱以上の喫煙がある場合

・1日2箱以上の喫煙を15年間続けたことがあり、現在も喫煙しているか、最近15年以内に禁煙した場合

これらの高リスクの人にとっては、CTによる利益はCTに伴うリスクを上回るでしょう。しかし、これは高リスクでない人にはあてはまりません。高リスクでない人に対するCTの有益性は証明されていません。

肺がんを予防するための最善の方法

肺がんを予防するためには、まず禁煙をしましょう。禁煙はCTよりもよい予防策となります。

コンシューマーレポートからのアドバイス

がんの危険性を減らす方法

スクリーニング検査は、がんの早期発見に役立ちます。しかし、多くのがんは完治できません。生活習慣を改めることによって、わずかかもしれませんががんになる危険性を減らせます

喫煙しない

死に至る肺がんの原因として最も多いのは、喫煙です。100人の肺がん患者のうち、90人は喫煙が原因でがんになっています。さらに、喫煙は喉頭がん、口腔がん、咽頭がん、膀胱がん、腎がん、膵がんといった他のがんの危険性も高めます。喫煙によって、これらのがんによる死亡率が60~70%上昇します。しかし、一度禁煙すれば、がんの危険性はその時点から低下していくので、15年以上禁煙できている人にとってはスクリーニングの検査は薦められていません。禁煙の補助として、ニコチンパッチや他の薬剤などの医療資源を利用することができるので、医師に相談するとよいでしょう。

体重を適正に維持する

女性の場合100人の新規がん患者のうち7人、男性の場合100人の新規がん患者のうち4人には、肥満が関係しているとされます。肥満はがんによる死亡率を40%上昇させるとされ、特に子宮がんや咽頭がんといった特定のがんで顕著です。

体を動かす

体を動かすことは、大腸がんになる危険性を30~40%低下させます。より長時間、より高負荷で、頻度を上げて運動をすることで、危険性をより減らすことができます。加えて、女性であれば乳がんになる危険性を20%かそれ以上に低下させることができるとされています。

自宅のラドン濃度検査をする

ラドンとは目には見えずにおいもない気体ですが、放射能があります。ラドンによって肺がんの危険性が高まるとされ、喫煙者であればさらに高まるとされています。もし自宅のラドン濃度が高ければ、認定された業者に依頼して、建物の外にラドンを排出する装置を取り付けてもらうとよいでしょう。

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

 

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能

監修:梶有貴、徳田安春先生

翻訳監修 梶有貴

日本における総合診療の第一人者・オピニオンリーダーであり多数の著書で知られる。これからの適切な医療のためには従来のEvidenceに基づくものだけではなく、医師が自律してリスク、ベネフィット、コストをすべて考えていくことが大切であるとし、「Value Based Medicine」の概念を推奨している。適切な診療を行っていくための指針であるChoosing Wiselyでは日本代表を務めるなど、国際的な活動も精力的に行っている。

初期診断能力、初期治療能力に加え入院患の急性期・亜急性期の診断・管理も請け負う「病院総合医」の能力をもった、「日本型病院総合医」を目指すべく筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター・水戸協同病院に勤務。若手医師をリーダー的立場から牽引している。Value Based Medicineを推進する立場から、この度Choosing Wisely翻訳プロジェクトに参画。

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