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インタビュー

喫煙者における肺がんに対するCT-必要なとき、必要でないとき

喫煙者における肺がんに対するCT-必要なとき、必要でないとき
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任...

徳田 安春 先生

筑波大学附属病院 水戸地域医療教育センター  

梶 有貴 先生

Choosing Wisely

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この記事の最終更新は2016年02月22日です。

低線量スパイラルCT(通称cat、以下、CT)は、肺がんの初期徴候を見つけるために用いられる医学検査のひとつです。検査でがんが発見されれば、速やかに治療が始められます。しかし、タバコを少ししか吸わない方や、15年以上前にタバコをやめた方に対しては、CTは役に立たちません。また、55歳以下や80歳以上の人には一般的に勧められず、ヘビースモーカーの人でも検査により恩恵を受けることができる方はわずかです。そのため、検査を受ける前に、本当に受けるべきかを十分に考えるべきでしょう。その理由を以下に示します。

いくつかの研究により、以下に示すリスクを持っている人には、わずかではありますがCTを受けるメリットがあることが示されています。

  • 1日2箱以上の喫煙を15年以上している55歳から80歳の人
  • 1日1箱以上の喫煙を30年以上している人

1000人の高リスクの人にCTをすると、約3人は早期に肺がんが見つかり、治療により死を免れることができます。また、13人は肺がんが見つかり治療をしても死は免れないとされています。

低リスクの人にとっては、CTは有用ではありません。低リスクの人に対するCTが延命につながったということを証明した研究は報告されていないのです。

高リスクの人に対してCTを行っても、誤解を生むような結果が出てしまうことがあります。仮に、高リスクの人100人にCTを実施したとすれば、約40人に何らかの異常が見られることになります。しかし、実際に肺がんだと診断されるのはそのうちの2、3人程度なのです。肺がんではない、症状を来さない病気の発見により、さらなる検査が実施されることになります。多くの場合、何回ものCTの追加が必要になり、生検や手術まで必要となることもあります。これらは、出血や肺虚脱などの合併症を引き起こす可能性もあります。

また、低リスクの人にとっても、CTが誤った警告を出してしまうことがあり、不必要な懸念を引き起こしかねないのです。

低線量CTの放射線被爆量は、一般的な胸部X線検査の20倍にものぼります。放射線にあたればあたるほど、がんになるリスクは上昇するので、放射線にあたらないに越したことはないのです。

米国では、CTは1回につき100ドル~300ドル以上もの費用がかかります。CTの検査費用を保険でまかなうことができるのは、進行性肺がんになる危険性が非常に高いと認定された場合のみです(★日本では異なります)。さらに、CTを実施すると特段意味をなさない追加検査や処置までも実施され、費用がよりかさむこともありえます。

以下の場合にはCTを検討しましょう

  • 55歳から80歳で、30年間1日1箱以上の喫煙がある場合
  • 1日2箱以上の喫煙を15年間続けたことがあり、現在も喫煙しているか、最近15年以内に禁煙した場合

これらの高リスクの人にとっては、CTによる利益はCTに伴うリスクを上回るでしょう。しかし、これは高リスクでない人にはあてはまりません。高リスクでない人に対するCTの有益性は証明されていません。

肺がんを予防するためには、まず禁煙をしましょう。禁煙はCTよりもよい予防策となります。

スクリーニング検査は、がんの早期発見に役立ちます。しかし、多くのがんは完治できません。生活習慣を改めることによって、わずかかもしれませんががんになる危険性を減らせます

死に至る肺がんの原因として最も多いのは、喫煙です。100人の肺がん患者のうち、90人は喫煙が原因でがんになっています。さらに、喫煙は喉頭がん口腔がん咽頭がん膀胱がん、腎がん、膵がんといった他のがんの危険性も高めます。喫煙によって、これらのがんによる死亡率が60~70%上昇します。しかし、一度禁煙すれば、がんの危険性はその時点から低下していくので、15年以上禁煙できている人にとってはスクリーニングの検査は薦められていません。禁煙の補助として、ニコチンパッチや他の薬剤などの医療資源を利用することができるので、医師に相談するとよいでしょう。

女性の場合100人の新規がん患者のうち7人、男性の場合100人の新規がん患者のうち4人には、肥満が関係しているとされます。肥満はがんによる死亡率を40%上昇させるとされ、特に子宮がんや咽頭がんといった特定のがんで顕著です。

体を動かすことは、大腸がんになる危険性を30~40%低下させます。より長時間、より高負荷で、頻度を上げて運動をすることで、危険性をより減らすことができます。加えて、女性であれば乳がんになる危険性を20%かそれ以上に低下させることができるとされています。

ラドンとは目には見えずにおいもない気体ですが、放射能があります。ラドンによって肺がんの危険性が高まるとされ、喫煙者であればさらに高まるとされています。もし自宅のラドン濃度が高ければ、認定された業者に依頼して、建物の外にラドンを排出する装置を取り付けてもらうとよいでしょう。

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能
監修:梶有貴、徳田安春先生
翻訳監修:梶有貴

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、琉球大学 客員教授、Journal of General and Family Medicine 編集長

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、琉球大学 客員教授、Journal of General and Family Medicine 編集長

    日本内科学会 総合内科専門医日本プライマリ・ケア連合学会 指導医・プライマリ・ケア認定医

    徳田 安春 先生

    徳田 安春 先生の所属医療機関

  • 筑波大学附属病院 水戸地域医療教育センター  

    日本内科学会 認定内科医日本感染症学会 会員

    梶 有貴 先生

    初期診断能力、初期治療能力に加え入院患の急性期・亜急性期の診断・管理も請け負う「病院総合医」の能力をもった、「日本型病院総合医」を目指すべく筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター・水戸協同病院に勤務。若手医師をリーダー的立場から牽引している。Value Based Medicineを推進する立場から、この度Choosing Wisely翻訳プロジェクトに参画。

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