【インタビュー】

肺がんの原因と症状。肺がんの早期発見につなげるために

公開日 2016 年 01 月 03 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

肺がんの原因と症状。肺がんの早期発見につなげるために
池田 徳彦 先生

東京医科大学 呼吸器・甲状腺外科 主任教授/東京医科大学 副学長(医学科長)

池田 徳彦 先生

肺がんは日本で一番死亡数が多いがんとして知られています。実際に多くの方が命を落としている病気であることは間違いありませんが、早期のうちに発見できた場合の治療成績は必ずしも悪いものではありません。肺がん治療の最先端チームを率いる、東京医科大学呼吸器・甲状腺外科主任教授の池田徳彦先生にお話をうかがいました。

肺がんとは

肺がんは顕微鏡で見た組織の特徴から、大きく4つの種類に分かれます。

  • 腺がん:肺の実質(辺縁部)にできやすいがんです。最も頻度が高く、女性や非喫煙者であっても発症することがあります。
  • 扁平上皮がん:太い気管支にできやすいがんです。扁平上皮細胞から発生するタイプのがんで、喫煙との関連が高いとされています。
  • 大細胞がん:がんの細胞自体が大きく、増殖のスピードが速いという特徴があります。
  • 小細胞がん:リンパ節や周囲の組織に拡がりやすく、離れた他の臓器への転移(遠隔転移)も多いがんです。

腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんの3つは、小細胞がんとは別のカテゴリーとして、「非小細胞がん」と分類されます。これら非小細胞がんは肺がん全体の80%を占めています。

小細胞がんは、肺がん全体の15〜20%と発生する頻度は高くありません。進行が早く遠隔転移しやすいタイプのがんですが、抗がん剤による化学療法や放射線療法が効きやすいがんでもあります。

 肺がんの原因

肺がんの発症リスクを高めるとされる要因には以下のものがあります。

  • 喫煙:発がんリスクは非喫煙者の約5倍とされ、欧米では喫煙している男性の発がんリスクは約10倍ともいわれています。過去にたばこを吸っていた人の発がんリスクも約2倍とされています。扁平上皮がん、小細胞がんは特に喫煙者との関連が高いといえます。
  • 受動喫煙:本人がたばこを吸わなくても、たばこから出る煙、いわゆる副流煙を吸い込むことで、発がんのリスクが約2倍になるとされています。
  • アスベスト:石綿とも呼ばれ、過去には建造物の断熱材として使用されていた物質で、中皮腫(ちゅうひしゅ)という病気の原因になります。中皮腫そのものは肺がんとは別の疾病ですが、中皮腫にかかった人が肺がんを併発した場合には死亡率が大幅に高くなることが知られています。
  • COPD(慢性閉塞性気管支炎)も、肺がんを併発した場合重症化しやすいことがわかっています。

肺がんの症状

肺がんの症状は、がんができる場所によって異なります。太い気管支にできた場合と肺の実質にがんができた場合のそれぞれに、次のような特徴があります。

太い気管支にがんができた場合

  • 痰(たん)に血が混じる(血痰)
  • 咳が出る

肺の実質にがんができた場合

  • 2〜3cm以下ではあまり症状が出ないことが多い
  •  肺がん検診で見つかることが多い

肺がんの患者数

国立研究開発法人国立がん研究センターのがん罹患数・死亡数予測では、2015年の肺がんの推計罹患数(肺がんにかかるであろう人の予測人数)は133,500人(男性90,700人、女性42,800人)、死亡数は77,200人(男性55,300人、女性21,900人)とされています。

  • 年齢別では40歳代から増え始め、高齢になるほど多くなる。
  • 男女別罹患数では男性に多く、女性の約2倍。
  • 死亡数:男性では1位、女性では大腸がんに次いで2位、男女合計では1位。

早期発見の重要性

肺がんは進行が早いがんであるとされていますが、早期に発見・治療できた場合の治療成績は非常に良好です。また、早期のうちであれば、身体の負担が少ない低侵襲な治療が可能です。このことからも、肺がん検診を受けて早期に発見することは非常に重要であるといえます。

40歳以上の人には自治体から肺がん検診の通知が届きます。肺がん検診は2種類の検査の組み合わせで行われます。ひとつは胸部X線検査、もうひとつは喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)です。

胸部X線検査は胸部単純X線撮影ともいい、肺の実質にできるがんを見つけるために行います。この検査で見つかるのは、主に腺がんです。

喀痰細胞診は、保存液の入った容器の中に朝起きたときに出る痰を3日分採取して顕微鏡で調べるものです。この検査では、気管や太い気管支にあるがんを見つけることができます。見つかる主ながんの種類としては、扁平上皮がんが大半を占めます。

喀痰細胞診はすべての人に対して行うわけではありません。喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上の方をハイリスク群として、喀痰細胞診を受けていただくようにしています。
 

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