肺がんは、日本におけるがんの死亡原因でもっとも多い病気です。肺がんは診断された時点で進行していることが多く、手術が困難なケースが多く見られます。肺がんの原因・症状・ステージごとの治療選択について、国際医療福祉大学三田病院の長瀬 清亮先生にお話を伺いました。
肺がんとは、肺の気管・気管支・肺胞における一部の細胞が何らかの原因でがん化したものを指します。肺がんは、病状の進行とともに周辺組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗って、あらゆる臓器に広がるリスクがあります。
肺がんは、日本における全てのがん死亡数のうちもっとも多い原因疾患です。その理由は、症状が少なく、無症状のまま進行するケースが多いためです(肺がんの症状については後述します)。
実際に、肺がんの多くを占める肺非小細胞がんの場合、初めて診断を受けた時点で、約30%の方がすでにステージ4であることが分かっています。最初の診断時のステージ4の割合が、胃がん、大腸がんで約15%前後、肝臓がんで約9%、乳がんで約5%と報告されていることからも、肺がんが、ほかのがんに比べていかに発見されづらいがんであるかが分かります。
環境因子によるものと、遺伝子変異によるものの2つが考えられます。
肺がんの原因には、喫煙やアスベストなど、さまざまな環境因子が存在します。一方で、肺がんに対する診断技術の進歩により、遺伝子変異が原因となる肺がんの存在も明らかになってきています。
喫煙は、肺がんのリスクファクターです。喫煙者が肺がんにかかるリスクは、非喫煙者に比べて、男性で約4倍、女性で約3倍であることが分かっています。
また、2018年のデータによると、日本人の喫煙率は男性29.0%、女性8.1%でした。これは日本人の男性の喫煙率が80%だった1960年ごろと比較すると圧倒的に減少しています。しかし喫煙者の内訳を見てみると、40歳代をピークに若い世代に多い傾向が見られます。
喫煙年数が長いほど、肺がんを発症するリスクが高くなるといわれているため、医学的観点において若い世代の喫煙を減らすことが課題になっています。
定期検診がきっかけで発見されることも多いです。
肺がんにはほぼ症状がありません。そのため定期検診の胸部レントゲン写真で異常が見つかり精密検査で肺がんと診断されるケースや、別部位の異常を指摘され精密検査で肺がんと分かるケースなどが、発見のきっかけになることが多いです。しかしながら、以下のような呼吸器症状や、全身症状が現れることもあります。ただし肺がんによる呼吸器症状は、ほかの呼吸器疾患の症状とほぼ区別がつかないため、肺がんの診断には精密検査を要します。
【肺がんの症状】
がんのステージ分類は、膨大な集積データにより細かい因子を組み合わせて構築されており、病気の進行度・広がりを正確に反映することで、適切な治療へとつなげるための指標となります。肺がんは、大まかに以下のようなステージ分類がなされます。
肺がんの治療では、外科的手術・放射線治療・薬物治療・緩和ケアを、がんのステージに応じ、さらに患者さんのケースごとに組み合わせ、段階的もしくは同時に行います。
【肺がんの主な治療】
肺がんの治療の中でも、薬物治療と緩和ケアは全てのステージを対象としています。先述のとおり、肺がんは比較的ステージが進行した状態で発見されることが多く、肺がんの治療において薬物治療はさまざまな場面で登場します。
薬物治療は、次の3種類を指します。
肺がんに対する薬物治療では、まず患者さんの病識(自身が病気であるという自覚)・治療への意欲が必要です。つまり、認知症などで一般的な物事への理解力が低下した状態、もしくは治療を拒否している状態では、治療は困難です。
また薬物治療を行うために患者さんの体力があるか(=PS:Performance Statusが良好であるか)と、基礎疾患による治療の制約がないかを調べます。これらの条件がそろうことで、薬物治療の実施が可能となります。
国際医療福祉大学医学部 呼吸器内科 准教授、国際医療福祉大学三田病院 腫瘍内科
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