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肺がんの原因・症状とは? ステージ分類・治療選択について
肺がんは、日本におけるがんの死亡原因でもっとも多い疾患です。肺がんは、発見された時点で進行あるいは転移のある割合がおよそ3分の2と、手術が困難なケースが多くみられます。肺がんの原因・症状・ステー...
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肺がんの原因・症状とは? ステージ分類・治療選択について

公開日 2017 年 09 月 04 日 | 更新日 2017 年 09 月 05 日

肺がんの原因・症状とは? ステージ分類・治療選択について
長瀬 清亮 先生

国際医療福祉大学医学部 呼吸器内科 准教授 三田病院 呼吸器センター

長瀬 清亮 先生

肺がんは、日本におけるがんの死亡原因でもっとも多い疾患です。肺がんは、発見された時点で進行あるいは転移のある割合がおよそ3分の2と、手術が困難なケースが多くみられます。肺がんの原因・症状・ステージごとの治療選択について、国際医療福祉大学三田病院の長瀬清亮(ながせ せいすけ)先生にお話を伺いました。

肺がんとはどのような疾患なのか

肺の気管・気管支・肺胞における一部の細胞ががん化したもの

肺がんとは、肺の気管・気管支・肺胞における一部の細胞が何らかの原因でがん化したものをさします。肺がんは、病状の進行とともに周辺組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって、あらゆる臓器に広がるリスクがあります。

がんの死亡原因の1位にあたる疾患

肺がんは、日本におけるすべてのがん死亡数のうちもっとも多い原因疾患です。その理由は、症状が少なく(肺がんの症状については後述します)、無症状のまま進行するケースが多いことがあるためです。日本の5大がん(肺がん・胃がん・大腸がん・肝臓がん・乳がん)において、がん診療連携拠点病院の最初のステージ診断で比較すると、肺がんはステージ4で発見される割合が30%以上であるのに対し、胃がん・大腸がん・肝臓がんはそれぞれ15%前後、乳がんは5%ほどです。

肺がんの原因・リスクファクター

1:環境因子によるもの 2:遺伝子変異によるもの

肺がんの原因には、喫煙やアスベストなど、さまざまな環境因子が存在します。一方で、肺がんに対する診断技術の進歩により、遺伝子変異が原因となる肺がんの存在が明らかになりました。

喫煙者の肺がん罹患リスクは非喫煙者のおよそ4倍に

喫煙は、肺がんのリスクファクターです。喫煙者が肺がんにかかるリスクは、非喫煙者に比べて、男性4倍、女性2倍弱になります。

また、2016年のデータによると、日本人の喫煙率は男性29.7%、女性9.7%でした。男性の喫煙率が80%だった1960年頃と比較すると、日本人の喫煙率は圧倒的に減少しています。しかし喫煙者の内訳をみてみると、40代をピークに若い世代に多い傾向がみられます。長期的な喫煙は20〜30年後に影響があらわれ、肺がんなどのリスクを高めるため、現在、医学的観点において若い世代の喫煙を減らすことが課題になっています。

タバコ

肺がんの症状とは

定期検診がきっかけで発見されることも多い

肺がんにはほぼ症状がありません。そのため定期検診の胸部レントゲン写真で異常陰影がみつかり精密検査で肺がんと診断されるケースや、別部位の異常を指摘され精密検査で肺がんとわかるケースなどが、発見のきっかけになることが多いです。しかしながら以下のような呼吸器症状や、全身症状があらわれることもあります。ただし肺がんによる呼吸器症状は、ほかの呼吸器疾患の症状とほぼ区別がつかないため、肺がんの診断には精密検査を要します。

【肺がんの症状】

・呼吸器症状:咳・血痰(血の混じった痰)・胸痛など

・全身症状:体重減少・発熱・倦怠感など

咳き込む患者さん

肺がんのステージ分類

がんのステージ分類は、膨大な集積データにより細かい因子を組み合わせて構築されており、病気の進行度・広がりを正確に反映することで、適切な治療へとつなげるための指標となります。肺がんは、大まかに以下のようなステージ分類がなされます。

肺がんのステージ分類

肺がんの治療はどのようにして行うのか

外科的手術・放射線治療・薬物治療・緩和ケアを組み合わせて行う

肺がんの治療では、外科的手術・放射線治療・薬物治療・緩和ケアを、がんのステージに応じ、さらに患者さんのケースごとに組み合わせ、段階的もしくは同時に行います。

【肺がんのおもな治療】

・外科的切除:がんを部分的または存在する肺葉全体を切除する

・放射線治療:X線、γ(ガンマ)線、電子線を用いてがん細胞を消滅・減少させる

・薬物治療:抗がん剤治療・分子標的薬・がん免疫療法などを含めた薬物投与治療

・緩和ケア:がんによる肉体的・精神的・社会的な負担を和らげる治療

ステージごとのがん治療

 

肺がん治療で広く活用される薬物療法

肺がんの治療のなかでも、薬物治療と緩和ケアはすべてのステージを対象としています。先述の通り、肺がんは比較的ステージが進行した状態で発見されることが多く、肺がんの治療において薬物治療はさまざまな場面で登場します。

薬物療法には、細胞障害性抗がん薬によってがん細胞を破壊する治療(従来、化学療法ともいわれています)、狙ったがん細胞だけを標的にして細胞死を誘導する分子標的薬を用いた治療、ブレーキがかかっていた免疫機能を解除し本来の免疫担当細胞の力でがん細胞を排除するがん免疫療法の3種類をさします。

薬物療法の実施には患者さんの治療への意欲・認識・体調など条件が必要です

肺がんに対する薬物療法では、まず患者さんの病識(自身が病気であるという自覚)・治療への意欲が必要です。つまり、認知症などで一般的な物事への理解力が低下した状態、もしくは治療を拒否している状態では、治療は困難です。

また薬物治療を行うために患者さんの体力があるか(=PS:Performance Statusが良好であるか)と、基礎疾患による治療の制約がないかを調べます。これらの条件がそろうことで、薬物療法の実施が可能となります。

記事2『肺がんの薬物療法(抗がん剤治療・分子標的薬治療・がん免疫療法)—適応や副作用について』では、肺がんの薬物治療について詳しくご説明します。

 

肺がんの薬物療法(長瀬 清亮先生)の連載記事

1993年に岐阜大学医学部を卒業。岐阜大学医学部第一内科、高山赤十字病院内科にて臨床研修医として勤務したのち、1999年に岐阜大学医学部大学院医学研究科博士課程を修了、医学博士を取得した。肺がん化学療法(抗がん剤治療)を専門とし、標準的な治療に留まらず、臨床試験や治験の豊富な経験を生かして、患者さんによって適切な薬剤を選択する治療に長ける。2017年より現職。

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