肺がんの症状とはどんなものでしょうか。他の呼吸器疾患との違いはあるのでしょうか。化学療法研究所附属病院副院長の小中千守先生はこれまで2,000例以上の肺がんと、1,000例以上の肺がん以外の呼吸器疾患の手術を執刀されています。今回は肺がんの症状についてお聞きしました。
肺がんは症状が出にくいため、初期の段階ではなかなか気づくことができません。また、症状が出ている場合でも、初期の場合は風邪の症状に似ているため見過ごされやすいのです。具体的には以下のような症状があります。
ほかにこれといって風邪の症状がないのに、空咳が長く続いて一向に治まらないような場合は要注意です。
肺がんが原因となっている咳は、がんが気管支や肺を刺激しているために反射として起こる症状です。がんによって気管支が傷つくと血痰が出ることもあります。また、気管支が閉塞するとぜんそくのような喘鳴(ぜいぜいした息)を引き起こし、さらに進めば肺炎や気管支炎にもつながります。
胸水(胸腔内にたまる液体)で肺が圧迫されれば呼吸困難を引き起こします。また、がんが声帯の働きを司る反回神経を冒すと声がかすれ、しわがれ声になります。胸の痛みはがんが肋骨や肋間神経を刺激することで起こります。
大きくなったがんが大静脈を圧迫すると血液の循環が悪くなり、首や顔が腫れます。これを上大静脈症候群といいます。がんがさらに進行して体力がなくなると、食欲減退・体重の減少・疲労感といった症状があらわれます。このような症状がいくつか当てはまるようであれば、一度医師の診断を受けてみましょう。
症状が出にくく、風邪などと混同されやすい肺がんを見つけるためには、症状がないうちから定期的に検査を受けることが大切です。肺がん検診は2種類の検査の組み合わせで行われます。ひとつは胸部X線検査、もうひとつは喀痰細胞診です。
胸部X線検査は胸部単純X線撮影ともいいますが、いわゆるレントゲン撮影のことです。肺の末梢(表面)にできるがんを見つけるために行います。この検査で見つかるのは主に腺がんです。
喀痰細胞診は、保存液の入った容器の中に朝起きたときに出るたんを3日分採取して顕微鏡で調べます。気管や気管支の太いところにあるがんを見つけることができます。がんの種類としては扁平上皮がんが大半を占めます。
喀痰細胞診はすべての人に対して行われるわけではありません。次の条件に当てはまる人を高危険群(ハイリスク群)として、喀痰細胞診を受けていただくようにしています。
企業などにお勤めの方であれば、定期的に検診を受ける機会があると思います。しかし、そうでない方もお住まいの自治体などで実施している肺がん検診を利用することで、比較的手軽に検査を受けることができます。行政機関からのお知らせやインターネットの情報をチェックしておくとよいでしょう。ただし、自治体によっては胸部X線検査のみ実施のところなどもありますので、受けたい検査が入っているかどうかよく確認してから受けるようにしましょう。
赤羽リハビリテーション病院 院長
日本外科学会 外科専門医・指導医日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医・終身指導医日本臨床細胞学会 細胞診専門医・細胞診指導医日本呼吸器学会 呼吸器専門医・呼吸器指導医国際細胞学会 国際細胞病理医
日本において肺がん治療の伝統がある東京医科大学外科第一講座で、長年にわたり指導的立場で診療に従事してきた。気管支鏡専門医、細胞診専門医として診断を行い、呼吸器外科指導医としては現在まで2,000例以上の肺がんの手術を執刀した。1980年より全国に先駆けて胸腔鏡を用いた診断・治療を行い、肺がんに対しても、より侵襲の少ない手術を行っている。肺がんの化学療法にも力を入れており、呼吸器疾患における最新の診断・治療の実施をめざしている。
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