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インタビュー

肺がんの症状――初期症状や自覚症状の解説

肺がんの症状――初期症状や自覚症状の解説
小中 千守 先生

(公財)化学療法研究所附属病院 副院長/呼吸器外科部長、国際医療福祉大学 教授

小中 千守 先生

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この記事の最終更新は2015年09月08日です。

肺がんの症状とはどんなものでしょうか。他の呼吸器疾患との違いはあるのでしょうか。化学療法研究所附属病院副院長の小中千守先生はこれまで2,000例以上の肺がんと、1,000例以上の肺がん以外の呼吸器疾患の手術を執刀されています。今回は肺がんの症状についてお聞きしました。

肺がんは症状が出にくいため、初期の段階ではなかなか気づくことができません。また、症状が出ている場合でも、初期の場合は風邪の症状に似ているため見過ごされやすいのです。具体的には以下のような症状があります。

  • 咳が長く続いてだんだんひどくなる
  • 声がかすれる
  • 呼吸がしづらい、ぜいぜいする

ほかにこれといって風邪の症状がないのに、空咳が長く続いて一向に治まらないような場合は要注意です。

肺がんが原因となっている咳は、がんが気管支や肺を刺激しているために反射として起こる症状です。がんによって気管支が傷つくと血痰(けったん)が出ることもあります。また、気管支が閉塞するとぜんそくのような喘鳴(ぜいめい)(ぜいぜいした息)を引き起こし、さらに進めば肺炎気管支炎にもつながります。

胸水(胸腔内にたまる液体)で肺が圧迫されれば呼吸困難を引き起こします。また、がんが声帯の働きを司る反回(はんかい)神経を冒すと声がかすれ、しわがれ声になります。胸の痛みはがんが肋骨や肋間神経を刺激することで起こります。

大きくなったがんが大静脈を圧迫すると血液の循環が悪くなり、首や顔が腫れます。これを上大(じょうだい)静脈症候群といいます。がんがさらに進行して体力がなくなると、食欲減退・体重の減少・疲労感といった症状があらわれます。このような症状がいくつか当てはまるようであれば、一度医師の診断を受けてみましょう。

症状が出にくく、風邪などと混同されやすい肺がんを見つけるためには、症状がないうちから定期的に検査を受けることが大切です。肺がん検診は2種類の検査の組み合わせで行われます。ひとつは胸部X線検査、もうひとつは喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)です。

胸部X線検査は胸部単純X線撮影ともいいますが、いわゆるレントゲン撮影のことです。肺の末梢(表面)にできるがんを見つけるために行います。この検査で見つかるのは主に腺がんです。

喀痰細胞診は、保存液の入った容器の中に朝起きたときに出るたんを3日分採取して顕微鏡で調べます。気管や気管支の太いところにあるがんを見つけることができます。がんの種類としては扁平上皮がんが大半を占めます。
喀痰細胞診はすべての人に対して行われるわけではありません。次の条件に当てはまる人を高危険群(ハイリスク群)として、喀痰細胞診を受けていただくようにしています。

  • 50歳以上で、喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上
  • 40歳以上で過去半年以内に血痰があった
喀痰細胞診で見つかった扁平上皮癌
喀痰細胞診で見つかった扁平上皮癌

企業などにお勤めの方であれば、定期的に検診を受ける機会があると思います。しかし、そうでない方もお住まいの自治体などで実施している肺がん検診を利用することで、比較的手軽に検査を受けることができます。行政機関からのお知らせやインターネットの情報をチェックしておくとよいでしょう。ただし、自治体によっては胸部X線検査のみ実施のところなどもありますので、受けたい検査が入っているかどうかよく確認してから受けるようにしましょう。

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