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胃がんの発症に深く関わる「ピロリ菌」――除菌と検査について知っておきたいこと

公開日

2026年11月05日

更新日

2026年11月05日

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2026年11月05日

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南條内科おなかクリニック 院長/南條 宗八 先生

胃がんの発症に関わる主な要因の1つが、「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」の感染だ。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症が起こり、その状態が長く続くことで胃がんの発症リスクが高まるとされている。一方、除菌によって、そのリスクを下げられることも分かっている。

ピロリ菌感染症や胃がんに関する研究・診療に携わってきた南條内科おなかクリニックの院長、南條 宗八(なんじょう そうはち)先生に、ピロリ菌と胃がんの関係、除菌治療、そして除菌後も検査を続けることの重要性について伺った。

胃がんとピロリ菌の深い関わり

胃がんの発症には、喫煙や高塩分食品の摂取など、さまざまな要因が関わっていますが、中でもピロリ菌の感染は重要な要因の1つです。

ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌です。感染すると胃の粘膜に炎症が起こり、その状態が長く続くことで、胃の粘膜が萎縮することがあります。こうした変化が進んだ方では、胃がんの発症リスクが高くなります。

たとえるなら、弱い火に長くさらされることで、フライパンが少しずつ傷んでいくような状態です。一度の炎症は小さくても、感染している間は胃の粘膜に新たなダメージが加わり続け、徐々に変化が生じていきます。 

ただし、ピロリ菌に感染した方が必ず胃がんになるわけではありません。まずは感染の有無を確認し、感染している場合は、胃の状態に応じた対応を医師と相談することが大切です。

症状がないまま感染していることも

ピロリ菌は、主に免疫機能が十分に発達していない幼少期に、口から感染すると考えられています。日本で高齢の世代に感染者が多いのは、幼少期に上下水道などの衛生環境が現在ほど整っていなかったためと考えられます。

現在は衛生環境の改善によって感染率が低下していますが、家庭内などで感染する可能性は残っています。

ピロリ菌に感染していても、必ずしも症状が現れるとは限りません。胃の不快感や胃もたれ、みぞおちの痛みなどがみられる方がいる一方で、症状がない方もいます。ですから、「症状がないから感染していない」とは判断できません。

感染の有無は、息や血液、尿、便を用いた検査などで確認します。検査方法は、胃の状態などに応じて医師が選びます。

近年は、感染の有無に加え、一部の抗菌薬が効きにくい菌かどうかも分かる検査があります。便、または胃内視鏡検査の際に採取する胃液を使うもので、胃の粘膜を採取する必要はありません。結果をもとに、一部の薬が効きにくいか分かった状態で薬を選べるため、最初の治療で除菌に成功しやすくなると期待されています。

胃の症状が続く場合、医師が必要性を判断したうえで胃内視鏡検査が行われ、結果に応じてピロリ菌の検査も実施されます。この場合はどちらも保険診療です。一方、ご家族に感染者や胃がんの方がいるといった理由だけで調べる場合は、原則として自費の検査となります。

除菌によってリスクは下がるものの、ゼロにはならない

ピロリ菌の除菌治療では、一般的に胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を、7日間服用します。

除菌に成功すると、胃がんになるリスクを半分程度にまで下げられるとされており、胃を守るうえで大きな意味があります。また、若いうちに除菌するほど、その効果は大きいと報告されています。

ただし、除菌をしてもリスクがゼロになるわけではありません。 長い間ピロリ菌にさらされてきた胃の粘膜は、菌がいなくなっても、すぐに元どおりの健康な状態に戻るわけではありません。

先ほどの例えでいえば、火を消しても、それまでについた焦げ跡は残る、ということです。除菌は「これ以上傷めない」ための大切な一歩ですが、それで安心しきってしまうのは危険です。

除菌後も大切な、定期的な胃の検査

ピロリ菌の除菌に成功した後こそ、胃の内視鏡検査などによる経過観察を続けることが大切です。特に、胃の粘膜に萎縮がみられる方は胃がんの発症リスクが高いことが知られており、除菌後も定期的な内視鏡検査を続けることが大切です。

除菌して安心し、検査から足が遠のいてしまう方もいます。しかし、除菌に成功しても、胃がんのリスクがなくなるわけではありません。せっかく除菌をされたのであれば、その効果を生かすためにも、定期的な検査でご自身の胃の状態を見守っていくことをおすすめします。 

胃がんは、早期に発見・治療できれば、高い確率で治癒が期待できます。ピロリ菌の感染が気になる方や胃の症状が続いている方、除菌後の検査を受けていない方は、ぜひ一度、検査の必要性について医療機関へ相談してみてください。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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