
お腹の調子が悪いと、「もしかして大腸の病気?」と不安に思われることもあるかもしれません。この記事では、大腸のはたらきから、危険な病気のサイン、日々の生活でできる病気の予防までを解説します。
👉 このパートをまとめると
大腸は水分を吸収して便を作る約1.5~2.0mの臓器で、結腸と直腸からなります。水分の吸収や便の形成に関わります。
大腸は、口から入った食物が最後に通過する臓器です。胃や小腸で栄養が消化・吸収された後にたどり着きます。全長は約1.5~2mほどで、お腹の中をぐるりと囲むように位置しています。
大腸は大きく分けて、大半を占める「結腸」と、肛門のすぐ手前にある「直腸」の2つで構成されています。
大腸には、私たちの健康を支える2つの重要なはたらきがあります。
1つ目は、水分の吸収と便の形成です。食物はその水分の多くを小腸で吸収されますが、小腸から大腸に送られてきた時点では、まだ水分を含んでいます。大腸では、さらに水分を吸収し、適度な硬さの便をつくります。この水分調整がうまくいかないと、便秘や下痢の原因になります。
2つ目は、腸内細菌のすみかとしての役割です。大腸の中には100兆個以上もの細菌が存在しています。腸内細菌の集まりのことを、「腸内細菌叢」と呼びます。「腸内フローラ」と呼ばれることもあります。腸内細菌は、食物繊維の分解、微量栄養素の産生、免疫機能の発達など、重要なはたらきを担っています。
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血便、長引く腹痛や便通異常には注意しましょう。大腸がんや炎症性腸疾患など、早期発見が重要な病気の可能性もあります。
大腸の病気では、初期には症状が出にくいことがあります。そのため、重要な変化や症状を見逃さないことが大切です。以下のような症状に気付いたら、注意深く観察し、必要に応じて医療機関の受診を検討するとよいでしょう。
これらの症状は、さまざまな原因で起こります。痔などの病気でも生じることがありますが、早期治療が必要な病気が背景となり生じている可能性もあります。
✍️一言アドバイス
「きっと一時的な症状だ」「痔ができただけだ」といった自己判断は、ときに病気の発見の遅れにつながることもあります。強い痛みや違和感がある場合だけでなく、様子を見ても症状が改善しない、少しずつ症状が悪化しているなどの場合にも、医療機関の受診を検討するとよいでしょう。
血便などの症状が生じる背景として、さまざまな病気が考えられます。痔などの病気が存在することもありますが、ここでは、特に治療が必要な病気、症状のコントロールが必要な病気について紹介します。
特に注意すべき病気の1つです。多くは、「大腸ポリープ」(良性のイボのようなもの)が時間をかけてがん化することで発生します。大腸がんは日本でのがん罹患数・死亡数共に多く、身近な病気といえます。
初期の大腸がんは無症状であることも多く、進行することで、血便、便通の異常などの症状がみられます。
免疫機能の異常により、大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。腹痛や下痢、血便などの症状が慢性的に続きます。国の難病にも指定されており、専門医による継続的な治療が必要です。
がんや炎症といった異常は見つからないにもかかわらず、腹痛や便通の異常(下痢、便秘)などが慢性的に続く病気です。身体的ストレス、精神的ストレスが発症に関与しているといわれています。
生活の質(QOL)の改善のため、食事・運動などの生活習慣の改善のほか、薬物療法が必要になることもあります。継続しての取り組みが重要です。
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腸内環境を整える食事(食物繊維、発酵食品)と十分な水分補給、適度な運動が、大腸の健康を保つために重要です。日々の生活習慣を見直すことで、大腸の健康を守るよう心がけましょう。
一般的に、体によい影響を及ぼす腸内細菌を「善玉菌」、増えすぎると悪い影響を及ぼす腸内細菌を「悪玉菌」と呼びます。腸内環境を整えるためには、悪玉菌よりも善玉菌が優位な状態を作ることが重要です。
日々の食事で積極的に取りたいのが、食物繊維と発酵食品です。食物繊維は善玉菌の活動を活発にします。また、スムーズな排便を促します。発酵食品には善玉菌そのものが含まれているものが多く、食べることで善玉菌を取ることができます。

食事と合わせて、以下の生活習慣も心がけましょう。
運動を行うと、腸内環境によい影響を与えるといわれています。まずはエスカレーターを階段に変えるなど、できることから始めてみましょう。
水分補給が不十分な場合、便秘の原因になることがあります。また、水分の不足が腸内環境に影響を与える可能性も示唆されています。
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気になるお腹の症状がある場合、医療機関の受診を検討しましょう。医療機関では、便潜血検査や大腸内視鏡検査で大腸の状態を調べます。
医療機関では、大腸の状態を調べるために、以下の検査が主に行われます。
便に目に見えない微量の血液が混じっていないかを調べる、体への負担がない検査です。健康診断などで行われ、大腸がんの一次スクリーニングとして広く用いられます。痔や粘膜の炎症、ポリープなどにより出血がある場合に陽性となることがあります。
肛門から細いカメラを挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。がんやポリープ、炎症などの有無を調べます。もしポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です。検査と治療を同時に行うことができる利点があります。
A.主な役割が違います。小腸は、食物から栄養素と水分を消化・吸収する場所です。一方、大腸は残った水分を吸収し、便をつくるのが主な役割です。
A.腸内環境は、栄養の吸収のほか、免疫機能や運動能力などと関連があるといわれています。また、大腸がん発症への腸内細菌の関与についても研究されています。
A.大腸がんは40代から罹患率が上昇し始めます。多くの自治体では40歳から便潜血検査を公費で受けられるので、まずはこの検査を受けるとよいでしょう。
ここまで、大腸という臓器の役割と、病気のサイン、その健康を守るための方法を説明してきました。
まずは健康に配慮した日常生活を心がけ、健康診断などで定期的な検査を受けましょう。気になる症状があり改善しない場合などは、医療機関の受診を検討し、病気の早期発見に努めるとよいでしょう。
大堀 晃裕 先生の所属医療機関
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