連載リーダーの視点 その病気の治療法とは

生涯で10人に1人が経験する尿路結石――激痛のサインから治療の選び方、病院選びまで

公開日

2026年11月04日

更新日

2026年11月04日

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2026年11月04日

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原泌尿器科病院 理事長 原勲先生(写真提供:原泌尿器科病院)

腎臓から尿道までの尿の通り道に石ができる尿路結石は、男性の約15%、女性の約7%が生涯に一度は経験する身近な病気だ。突然の激痛や血尿に直面し、強い不安を感じる人もいるだろう。

1988年に体外衝撃波結石破砕装置を導入し、患者の体への負担を抑えた治療を積み重ねてきた原泌尿器科病院理事長の原(はら) 勲(いさお)先生に、気になる症状から治療の選択肢、病院選びのポイントまでを詳しく伺った。

「人類の三大激痛」といわれる上部尿路結石

尿路結石と聞くと、とにかく痛い病気というイメージを持つ方がいらっしゃるのではないでしょうか。その激痛は「疝痛発作(せんつうほっさ)」と呼ばれています。

尿路というのは、腎臓で作られた尿が腎盂(じんう)、尿管、膀胱、尿道を通って体の外に排出されるまでの一連の臓器の総称です。そこにできた石が尿路結石です。腎臓と尿管にある結石を上部尿路結石、膀胱と尿道にある結石を下部尿路結石と呼びます。

日本人の尿路結石で大半を占めるのは上部尿路結石で、主に腎臓で石が作られます。腎臓の中にとどまっているうちは、激しい痛みは起こりません。その石が尿管という細い管に落ちてきて途中で詰まり、けいれんのような状態を起こしたときに初めて強い痛みが生じます。この上部尿路結石の痛みは、心筋梗塞(しんきんこうそく)や急性膵炎(きゅうせいすいえん)と並んで人類の三大激痛の1つといわれるほどつらいものです。

なお、なぜ腎臓に石が作られるのかという根本的な原因は、研究が進んだ今でも完全には解明されていません。

一方で下部尿路結石は、前立腺肥大症など先に尿の通り道が塞がってしまう別の病気があり、尿が滞留することで膀胱内などに石が作られる傾向にあります。

また、よく結石が大きければ大きいほど痛いのだろうといわれるのですが、痛みの強さは石の大きさとはあまり関係がありません。むしろ、小さい石のほうが激しく痛むこともよくあります。

尿路結石
尿路結石(画像提供:PIXTA)

夏に多く、生活習慣病のある人がなりやすい

2015年の全国疫学調査によると、上部尿路結石は人口10万人に対しておよそ138人の方が初発で罹患しています。男女比で見ると男性が192人、女性が87人と、男性のほうが発症しやすい傾向があります。また季節としては、夏場に増える病気です。汗をかいて脱水気味になり、尿の量が減ることで石ができやすくなると考えられています。近年では高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病がある方は尿路結石になりやすいことも分かってきました。ごく一部の代謝性疾患を除き、遺伝によって発症するケースはわずかです。

尿路結石は痛みが出て気付く方が多いのですが、まったく痛みがなくても病気に気付くケースがあります。たとえば人間ドックなどの超音波(エコー)検査やCT検査で偶然見つかる方もいらっしゃいますし、腎臓の中で結石が動いて粘膜とこすれ合い、そこから出血して血尿が出て気付くケースも少なくありません。

こんなときは泌尿器科へ。確定診断はCT検査

もしご自身の目で見てはっきりと分かる肉眼的血尿が出た場合は、必ず泌尿器科を受診してください。健診などで指摘される尿潜血は顕微鏡レベルのお話ですが、目で見て赤いと分かる血尿の背景には、膀胱がんなど別の重篤な病気が隠れていることがしばしばあります。

また、尿路結石が尿管で詰まって尿の流れが滞り、水腎症や腎盂腎炎を併発すると高熱が出ることがあります。この場合は救急受診が必要です。救急車を呼ぶべきか迷われたときは、ひとまず早めに医療機関へご相談いただくのが安心です。

泌尿器科を受診された際には、診断のためにまずは検査を行います。最初はエコーのようにほとんど負担のない検査から始め、段階を踏んで進めていきます。

尿路結石を疑ったときに欠かせないのがCT検査です。以前はKUBと呼ばれる単純X線検査で判断していましたが、それでは限界がありました。結石が骨盤と重なると陰影が確認しづらくなりますし、結石の種類によってはレントゲンに写らないもの(シスチン結石や尿酸結石)もあります。CTであればレントゲンに写らない結石も写すことが可能です。また、水腎症があるかどうか、炎症が起きていないかといった腎臓の状態までまとめて確認できます。

体への負担か、確実さか。患者さんの希望を聞きながら選ぶ治療法

検査で結石が見つかった場合、治療方針を決める目安となるのが石の大きさです。尿路結石の場合、石が小さいほど自然に排出されやすいことが分かっています。5mm未満であれば約75%が自然に出るといわれる一方、10mmを超えると自然排石はなかなか期待できません。5mmから10mmの間は、その境界の領域と考えてください。

治療に関しては、体への負担が小さいものほど効果は控えめになるという原則があります。
まず、10mm以下の石であれば、自然に出てくるのを待つ待機療法が選ばれます。ただし、確実に出てくるかどうかは分かりません。

体の外から石を砕く体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

その次の選択肢が、体の外から結石に焦点を合わせて衝撃波を当て、エネルギーを集中させて石を細かく砕く「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」です。麻酔は基本的に必要なく、パチンパチンという音とともに若干の痛みを伴う程度で済みます。

1回の破砕で結石が砕けない場合は2回目の破砕を行います。通常は3回までの治療で砕けることが多いですが、破砕効果が不十分な場合は後述する経尿道的尿管結石破砕術が必要になります。腎臓に近い上部の石を砕く際は腎臓に出血が起こるリスクがあるため、当院の場合ですと1泊入院していただき経過を見るようにしています。

ESWLはあくまで石を砕くだけで、取り出すことはできません。砕けた石は自分の尿の力で出していくことになるため、石が残ることもありますし、完全に排出されるまで時間がかかる場合もあります。

内視鏡で石を見ながら砕く経尿道的尿管結石破砕術(TUL)

より確実に石を取り除きたい場合は、「経尿道的尿管結石破砕術(TUL)」を検討します。内視鏡の進歩によって、尿道から膀胱を通り、尿管の中まで入れられる細い内視鏡が次々と登場しました。これを結石のある位置まで進め、石を直接見ながらレーザーで砕くのがTULです。砕いたかけらは金属のワイヤーでできたバスケットのような器具で絡め取ったり、吸引装置で吸い出したりして体の外へ取り出します。

ESWLが登場した頃は、みんながこぞってESWLに飛びついたものです。しかしその後、内視鏡やレーザーの技術が大きく向上し、より少ない回数で治療を終えられる見込みが高いことから、TULを選ぶ場面が増えてきました。ただしTULは手術ですので、腰椎麻酔(ようついますい)か全身麻酔が必要です。入院期間も当院では3泊4日から4泊5日ほどかかります。その意味で、体への負担の小ささと効果の高さは反比例するといえます。

大きな結石には背中からのアプローチも

尿道や尿管を通して行う治療は、細い管の中で全ての操作をするため、どうしても限界があります。たとえば、腎盂という袋を埋め尽くすほど大きく、サンゴのような形をしたサンゴ状結石。これを下から全部取り除こうとすると非常に時間がかかり、取りきること自体も困難です。

こうした場合には、背中側から腎盂を目がけてトンネルをつくり、そこに内視鏡を入れて石を見ながら砕き、外へ取り出す「経皮的腎結石破砕術(PNL)」を行います。この治療法は、尿管が完全に詰まって尿を出さなければならないときに背中から腎臓に管を入れる、腎瘻(じんろう)という技術を応用したものです。

また、石が極めて大きく複雑で、一方向からのアプローチだけでは全て取り切るのが困難なケースには、背中側からの治療と尿道側からの治療を同時に組み合わせるエシルス(ECIRS)という方法も行われています。

治療法は患者さんと相談して決める

昔はお腹を切って尿路結石を取り出していましたが、今ではそうした手術はほぼ行われていないと思っていただいてよいでしょう。複数の選択肢の中から治療法を決める際は、患者さんと一緒に話し合って決定する「シェアード・ディシジョン・メイキング(共同意思決定)」を大切にしています。医学的に選択肢が1つしかない場合もありますが、入院を避けたいという方や、とにかく1回で確実に終わらせてほしいという方など、患者さんのご希望をお聞きしながら一緒に治療法を選んでいきます。

再発は5年で4~5割。水分補給と食べ合わせが予防のカギ

無事に石を取り除けたとしても、尿路結石は非常に再発しやすい病気です。5年以内で約40%から50%、10年以内になると約60%から80%の方が再発するといわれています。

予防のための基本は、なんといっても水分補給です。1日の尿量が2L以上になるように、こまめに水分を取ることをおすすめします。お水だけでなく、麦茶やほうじ茶などを飲んでいただくのもよいでしょう。

食事の工夫も大切です。結石でよく見られるのは「シュウ酸カルシウム結石」という種類です。これを聞くとカルシウムを控えたほうがよいと誤解しがちですが、実はカルシウムは適度に取ったほうがよいとされています。問題になるのはシュウ酸で、これはほうれん草やタケノコ、チョコレート、紅茶などに含まれている成分です。シュウ酸にはカルシウムとくっつきやすい性質があるので、こうした食品を取るとき、たとえばほうれん草を食べるときはしらすやじゃこといった小魚を一緒に取る。紅茶を飲むならミルクティーにする。そうするとシュウ酸が腸内でカルシウムと結合し便として排出されやすくなるので、尿路結石の予防につながるといわれています。

なお、治療が終わった後でも、体に結石が残っている場合は半年に1回程度、完全になくなった方でも1年に1回程度は定期的な検査を、治療を受けた医療機関で受けてください。

病院選びのポイントは結石治療の実績

尿路結石は、治療の進め方や手術によって結果に差が出やすい病気です。たとえばTULは今では広く行われている治療ですが、合併症として尿管が狭くなる尿管狭窄(にょうかんきょうさく)が起こることがあり、そうなるとなかなか元に戻らない場合もあります。だからこそ医療機関を選ぶときには、結石の手術実績を確認していただきたいと思います。

気をつけたいのは、病院の規模が大きければ結石治療にも力を入れている、とは限らない点です。泌尿器科の中で結石はあくまで一分野で、病院によって重点を置く領域はさまざまです。現在は多くの医療機関が手術件数を公開しているので、ホームページなどで結石治療の件数を確かめて治療を受ける医療機関を選ぶとよいでしょう。

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