狭心症や心筋梗塞は、心臓に血液を供給する冠動脈が狭くなり、心臓を動かすために血液が不足することによって起こります。再び血流を回復させる治療法には、バルーンやステントで狭くなった部分を拡げるカテーテル治療と、病変部を迂回して血管をつなぐバイパス手術があります。東京都立多摩総合医療センター 副院長(前循環器内科部長)の田中博之先生に、カテーテル治療とバイパス手術についてお話をうかがいました。
一般にカテーテル治療と呼ばれている治療法は、専門的には経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention; PCI)といいます。開胸手術ではなく、カテーテルを用いて行う低侵襲(手術に伴う患者さんの負担が少ないこと)の手術で、バルーンやステントによって血管の狭くなっているところを拡張します。
●バルーン形成術
先端にバルーン(風船)が付いたカテーテルを鼠頚(そけい)部や腕、手首などの血管から挿入して冠動脈まで導き、バルーンを拡張させて、冠動脈の内側から狭窄部を押し広げる方法です。最近ではより細いカテーテルで治療できるように材質なども進歩しているため、手首の親指側、橈骨(とうこつ)動脈からカテーテルを挿入することが多くなっています。
●ステント留置術
ステントと呼ばれる直径2〜4mmの金属製の網状のチューブをカテーテルで狭窄部まで運び、バルーンで拡張させてステントを留置する治療法です。 バルーンは機械的に血管を拡げるものですが、一時的に拡げるだけなのでバルーンがしぼむと血管もやがて狭まってしまいます。また、無理やり拡げると血管に傷がつくため、傷口を修復する過程で血管の内腔がさらに狭くなってしまいます。それを解決したのがステントです。
●冠動脈バイパス治療
血管の病変部はそのままにして、きれいなところへ迂回して血管をつなぎ合わせる手術を行います。従来は脚の静脈を移植していましたが、最近では肋骨の裏側に左右1対ある動脈を、肋骨から剥がして使用しています。
●冠動脈カテーテル治療(PCI)
・局所麻酔で行う治療
・低侵襲、短時間で治療できる。入院日数も短い
・カテーテル検査に続いて治療を連続的に行うことができる
・再狭窄の可能性があり、ごくまれにステントに血栓が付着して閉塞することもある
●冠動脈バイパス治療(CABG)
・全身麻酔で行う外科的治療
・侵襲性は高い。ただし心停止下冠動脈バイパス手術(CCAB)より低侵襲な心拍動下冠動脈バイパス手術(OPCAB)が開発され、現在はこちら側が一般的に行われている
PCIとCABGのどちらが優れているか?
重症病変を対象とした大規模試験(SYNTAX trial)による術後5年の成績比較の結果では、心血管イベントの発生率についてはCAGBが優れているとされました。しかしどちらの治療でも生存率に差はありませんでした。
- 軽症例(病変部位が少ない、重要な部位に狭窄がない)では主にPCIを選択
- 重症例(病変部位が多い、重要な部位に狭窄がある)では状態に応じてPCIかCABGのどちらかを選択
冠動脈カテーテル治療(PCI)と冠動脈バイパス治療(CABG)のそれぞれに長所・短所があるため、患者さんや血管の状態を診たうえでディスカッションをし、最終的には患者さんに説明をしてご判断いただくことになります。
●薬剤溶出ステント(DES: Drug-Eluting Stent)
細胞増殖抑制剤など、細胞の増殖を抑制する働きのある薬剤を、溶出するポリマーでコーティングしているものです。傷口を修復しようとして細胞が増殖することを防ぎ、血管が再び狭くなることを予防します。
薬剤溶出ステントが使われる以前の従来型ステントは約15%の割合で再狭窄がみられましたが、薬剤溶出ステントでは再狭窄は5%程度になりました。その一方で、ステントの金属が露出したままになるため、ステント留置後に血栓ができることを防ぐ抗血小板薬を2剤併用で使用する期間は、従来のステントに比べてより長くなります。
●生体吸収性薬剤溶出スキャフォールド(BVS: Biodegradable Vascular Scaffold)
生体吸収性薬剤溶出スキャフォールドは血管内に留置されステントのように機能しますが、1年程度で溶けて生体内に吸収されます。海外ではすでに使われており、日本でも1~2年内には承認が取れ、使えるようになる見通しです。
東京都立多摩総合医療センター 副院長(前循環器内科部長)
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心臓の動悸
昨年11月に狭心症でカテーテル手術を行いステントを一本入れました。術後の経過は問題なく運動すると必ずといっていいほど胸の痛みも安全に収まりほっとしておりました。しかしごく最近になって夜が多いのですが動悸を覚えることがおおくなり、またみぞおちの少し下の心臓側あたりが違和感(なにか詰まっているような感じ)を覚えます。決して我慢できないとか辛いものではないのですが心配です。最近は多くはありませんがたまにお酒もいただきますがその辺が問題なのでしょうか? よろしくお願いいたします。
脱力感と動悸
狭心症の診断は3月の末にされて、それから毎日お薬を飲んでますが、7月の初めに喉の違和感で耳鼻科に通院し漢方薬を処方されましたが未だに症状は良くならず 今日は夕方に動悸と身体の脱力感があり 倒れるかと思いました。今は、胸焼けがして不快感です。しっかり薬も飲んでいるのに全然体調が良くならず毎日不安で気持ちも沈んでしまいます。心療内科等に受診して方がいいでしょうか?
喉の違和感
今 狭心症で服薬治療中なのですが、1週間位前から喉が詰まる様な違和感が出て困っています。胸焼けが酷かったので20日の日にお薬を処方してもらい24日の日にも狭心症のお薬が1つ追加で出されました。寝つきも悪く 疲労感もありどうしたらいいでしょうか?
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一週間前から左の首筋が痛く、寝違えたかと思って安静にしていたが良くならない。5日ほど前から左肩甲骨下の痛みとそのせいか息を吐くと心臓が痛い。 左後頭部からの頭痛があり、今朝起きると左目だけが腫れているような違和感、やや見えづらくなっているような感覚がある。 3日前に内科受診時は該当する病気がなく、疲れなどだろうと診断 昨日整形外科を受診し、肩こりが強いのでそれが原因の寝違えのようなものだろうとの診断。 実際に嘔吐はしないが、みぞおちあたりがムカムカとする、車酔いのような気持ち悪さがある。
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