インタビュー

靴の選び方次第で、傷の再発は大きく減らせる―糖尿病のフットウェアと二次予防

靴の選び方次第で、傷の再発は大きく減らせる―糖尿病のフットウェアと二次予防
大平 吉夫 さん

日本フットケアサービス株式会社 代表取締役社長

大平 吉夫 さん

この記事の最終更新は2015年03月20日です。

糖尿病治療において、「フットウェア」(靴・装具)は実はとても大切な要素です。適切な靴や装具を選べるかどうかというだけで、足の傷を予防できるかどうか、また足に傷ができた場合もその後の治り方や傷の再発の有無などが大きく左右されます。

糖尿病患者さんのフットウェアは「一次予防→治療→二次予防」と、シーンごとに役割が異なっています。(いわゆる一般的な一次予防〜三次予防の考え方とは異なるので、注意が必要です。)ここでは一度治療が終わった二次予防におけるフットウェアについて、お伝えしたいと思います。

二次予防とは、一度足に傷ができた糖尿病患者さんがその傷を治療によって治した後、再発を防ぐための予防をいいます。二次予防でも一次予防と同様に靴は大切ですが、足を切断した場合と切断していない場合で、使用するものが大きく異なります。

二次予防のポイントは、「傷のあった場所に圧力をかけないようにすること」です。圧力がかかってしまうと、そこからまた傷ができてしまうからです。

二次予防の場合、その前の治療の段階で足を切断した場合と、切断していない場合があるので、それぞれについて見ていきたいと思います。

まず、足の切断には2種類あります。ひとつは、踵(かかと)を残さず、膝(ひざ)のところで切断するメジャー切断と踵を残して切断するマイナー切断です。

足を切断した場合は、それに見合った装具が必要になります。例えば、足の指のみを切断した場合は靴型の装具になりますが、踵など、指以外の部分も切断した場合には靴型の装具では不十分です。

足を切断していない場合は、足の変形の程度によって、フルオーダーメイドの装具・靴になるのか、セミオーダーメイドの装具・靴になるのかが決まります。足底装具(靴底のことです)を用いて、足に圧力をかけないように上手く調整していくことが大切です。

糖尿病患者で足に傷のあった人が、治療により傷を治した後、普通の靴を履いていると、再発率が79%にも上るが、適切な靴を履くと、再発率が29%にまで落ちたというデータがあります。再発率を下げるために、適切な靴を履くことはとても大切なことなのです

病院や介護施設などで、介護用靴やリハビリシューズを利用されている方も多いかと思います。これらの靴は、「布で出来ていて柔らかい」という特徴を持つため、確かに足は痛くはないのですが、この靴で歩いていくうちに足が変形してしまうことがあります。糖尿病患者さんの靴としてはあまりお勧めできません。

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