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インタビュー

乳房の待期手術前のマンモグラフィ検査-必要な場合、そうでない場合

乳房の待期手術前のマンモグラフィ検査-必要な場合、そうでない場合
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任...

徳田 安春 先生

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この記事の最終更新は2016年03月27日です。

待期手術は、急病や怪我をしたときに行われる緊急手術とは異なります。待期手術とは、通常患者さんの希望に応じて行われるものです。女性が受ける乳房切除や乳房再建の手術も待機手術にあたります。

待期手術を受ける前に、医師はマンモグラフィ検査を受けるよう指示するでしょう。医師によっては、乳がんのリスクが低い場合や、マンモグラフィ検査を受けて間もない場合でも、検査を行おうとすることがあります。

しかし、乳房の待期手術前のマンモグラフィ検査は、ほとんどの場合必要がありません。これは、特に40歳以下の女性や、既にマンモグラフィ検査を受けている女性にいえることです。本記事では、その理由を解説します。

マンモグラフィ検査は、初期の乳がんを発見するために有用であり、特に50歳以上の方が検査を受けることは役に立ちます。しかし、それよりも若い女性、特に40歳以下の場合、検査の結果は正確性に欠ける傾向があります。というのも、若い女性は乳腺組織が発達しているからです。そのためマンモグラフィ検査は困難であり、検査結果が正確に出ないことがあるのです。

検査でなんらかの異常所見が発見された場合、つづいて画像検査や生検を受けることになります。生検では、組織の一部を採取して細胞を確認します。しかし、がんを発症することはあまりなく、若い女性の場合、生検の結果はたいてい正常となります。

このような2次検査は、侵襲性が高く体に大きな負担を与えることになります。後述する「アドバイス・コラム」に従うことで、これらの検査を受ける必要はほとんどなくなりますので参考にしてください。

マンモグラフィとは乳房X線写真のことで、放射線を用います。1回の検査では、被爆の危険性はほとんどありませんが、繰り返しX線検査をするとなれば、発がんのリスクを負うことにもなり得ます。しかし、1回目のマンモグラフィ検査の結果が正常でないと出た場合、同じ検査をもう一度受けるよう指示されることがあります。

下段の「アドバイス・コラム」で推奨されているマンモグラフィ検査は、米国では保険でカバーされますが、待機手術費用はカバーされず自己負担となります。

※日本では保険適用となります。

マンモグラフィ検査の費用は、一般的には約250ドル(日本円で約28.000円)ほどです。ただし、これに加えて超音波検査や乳房のMRI検査などの2次検査を受けると、さらに費用がかかります。上述した乳房の生検は、さらに高額になります。生検にかかる費用は、種類によって250ドルから2000ドル以上(日本円で約28.000円〜220.000円)にのぼるものもあります。また、仕事も休まねばならないでしょう。

以下の場合、マンモグラフィ検査が必要です。

  • 推奨されているマンモグラフィ検査を今までに一度も受けていない場合
  • 主治医が視触診で乳房に正常とはいえない所見や異常所見を発見した場合

米国予防医学専門委員会では、下記のように推奨しています。

  • 50歳から75歳の女性は、2年ごとにマンモグラフィ検査を受けること。
  • 40歳代、また75歳以上の女性は、医師と相談すること。それぞれの持つリスク要因に基づいて、検査が有益かどうかを尋ねてください。
  • 40歳以下の女性は、(乳がん)リスクが高い場合のみ検査を考えてください。乳がんは、この年代のグループでは一般的ではありません。

ご自身に乳がんのリスクとなるものがある場合は、ある程度頻繁に検査を受けたほうがよいこともあります。下記に挙げるリスクのうち当てはまるものがあれば、主治医に相談してください。

  • 乳がんの既往がある、もしくは乳がんになるおそれがある場合
  • 遺伝的リスクがある場合。例)BRCA遺伝子の変異、姉妹、母親、叔母が乳がんだったという場合。
  • 月経が12歳より前に始まった。あるいは55歳以降も月経がある場合。
  • 30歳までに出産していない場合。
  • 閉経後にホルモン補充療法を受けている場合。
  • 肥満の場合。
  • アルコール摂取量が多い場合。
受診について相談する
  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of General and Family Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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