2019年12月に中国湖北省・武漢市で発見された新型コロナウイルスの拡大からおよそ1年が経過し、2021年1月現在ではウイルスについて明らかになったことも増えたため、予防対策などがしやすくなってきました。そのため、今私たちにできることは、新型コロナウイルス感染症に関する情報を正しく理解し、感染拡大予防および感染予防に努めることです。
この記事では、新型コロナウイルス感染症の潜伏期間や症状、予防対策などについて解説します。
潜伏期間とは、ウイルスに感染してから実際に症状が現れるまでの期間のことをいいます。新型コロナウイルスの潜伏期間は1〜14日といわれており、多くの場合、感染から5~6日程度で発症します。そのため、WHO(世界保健機関)では感染者に対して14日間の健康状態の観察を推奨しています。
新型コロナウイルス感染症では通常のウイルス感染症とは異なり、まだ症状のない潜伏期間中の感染者からも他者へウイルスがうつる可能性があると考えられています。
感染者がほかの人に感染させてしまう可能性がある具体的な期間は、発症の2日前から発症後7〜10日間程度とされています。実際に発症直後がもっともウイルス排出量が高く、感染力も高いという報告もあるため、症状のない方から感染してしまう可能性を考慮して予防を講じることが重要です。
新型コロナウイルスの感染経路は、感染者のくしゃみ・咳・唾液などに含まれたウイルスを吸い込むことで感染する“飛沫感染”と、感染者が飛沫のついた手で物を触ることによって物にウイルスが付着し、その物を触った人が手で口・鼻などを触ることにより粘膜から感染する“接触感染”という2つが認められています。
新型コロナウイルス感染症の主な症状は発熱、咳、筋肉痛、だるさ、呼吸困難などです。頭痛や痰の絡み、下痢、嗅覚・味覚障害などを訴える人もいます。
また、咳や体のだるさなどの症状が現れても、発熱の症状が見られない方もいます。ただし重症化する確率は低く、発熱、咳などのかぜ症状が現れた場合でも、およそ80%の方は1週間程度で症状が軽快し、重症化には至らないと考えられています。
一方で重症化すると上気道炎、気管支炎、肺炎を発症し入院が必要となったり、重篤化して集中治療室での治療が必要になったりすることもあります。とりわけ高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患・慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満など)のある方は重症化しやすいことが分かっています。
また、新型コロナウイルス感染症に感染しても症状が現れない、いわゆる無症状病原体保有者の方もいます。このように症状が現れない方であっても、ほかの人に感染させてしまう恐れがあるといわれているため、症状がない方もウイルスを保持している可能性を考えて人にうつさない工夫をして生活に臨むことが大切です。
マスクを着用することにより、万一自分がウイルスを持っていた場合に拡散してしまうことを予防することができます。周囲の方への飛散を防ぐためにも、人と会うときにはマスクの着用を心がけましょう。また、自分がウイルスを吸入してしまう量を減少させる予防的な側面でも、室内・乗り物など人が多く換気の難しい場所へ行くときはマスクの着用が有効です。
マスクは素材によっても効果が異なり、一般的なマスクの中では不織布マスクの着用がもっとも効果的であり、次に布マスク、その次にウレタンマスクという順で効果があると考えられています。自分の顔の形にフィットしたものを選ぶようにしましょう。
また、万一マスクを着用していないときにくしゃみ、咳をする場合、口周りを手で押さえるのではなく、ハンカチ、ティッシュ、袖などを使用して押さえる、いわゆる“咳エチケット”を心がけましょう。咳エチケットを行うことで、ウイルスが手に付着することを予防できるため、接触感染を防ぐことにつながります。
新型コロナウイルス感染症の予防には手洗いが有効です。外出後や食事の前など、こまめに手洗いを行うようにしましょう。手洗いは石鹸を使用し、手のひら、手の甲、指の間や爪の先などを入念に洗い流水で流した後、清潔なハンカチ、ペーパータオルで水気を拭き取ります。また、新型コロナウイルス感染症にはアルコール消毒液が有効なことが分かっています。そのため、手洗いができない環境ではアルコール手指消毒液を擦り込むとよいでしょう。
なお、新型コロナウイルス感染症は換気が悪く(密閉)、多くの人が密集し(密集)、お互いの手が届く範囲で会話をする(密接)ような環境で感染が広がることが分かっています。このようないわゆる“3つの密”の環境を避けるために、大勢で集まらないこと、集団で1つの部屋にとどまるときはこまめに換気をすること、人と人との距離をとることなどを意識しましょう。
また、毎日の健康管理も非常に大切です。こまめに体温を測定し、体調に異常がないかどうかチェックすることのほか、十分な睡眠を取る、バランスの取れた食事をするなど、日頃から体を健康に保つよう心がけましょう。
今の私たちにできることは、マスクの着用や咳エチケットを意識し、手洗いを徹底することで感染の拡大を防ぐことです。なお、高熱や強い体のだるさ、息苦しさなどの症状がある場合や発熱、かぜなどの症状が4日以上続く場合には、自宅で安静にし、最寄りの保健所に設置されている“帰国者・接触者相談センター”へ相談しましょう。
また、高齢者や基礎疾患のある方など重症化しやすい特徴を持つ方、妊娠中の方などはかぜの症状があれば速やかに相談することを心がけましょう。
広島大学病院 感染症科教授
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