疾患ガイド

がんのステージとは?基準や検査、治療法

がんのステージとは?基準や検査、治療法
野村 浩介 先生

広尾クリニック 内科・消化器 院長

野村 浩介 先生

目次
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がんの「ステージ」について知ることは、不安を伴うこともありますが、患者さんが自身の状況を理解するうえで助けとなり得ます。この記事では、がんのステージが何を意味し、どのように決まるのか、治療法とどう関わるのかなどを解説します。

👉 このパートをまとめると
がんのステージとは、がんの進行度を示す分類で、多くの場合0期からIV期の5段階で判定されます。治療方針を決定するうえで重要な指標です。

がんのステージ(病期)は、がんの大きさや体内での広がりによって決定される分類です。多くのがんで、0期からIV期までの5段階に分けられており、一般的には、がんが進行するほど数字が大きくなります。

がんのステージは、国際的な基準である「TNM分類」により判断されます。TNM分類では、以下の3つの要素を組み合わせて、がんの進行度を評価します。

  • T(tumor):原発腫瘍(げんぱつしゅよう)(最初に発生したがん)の大きさや、周囲への広がりの程度
  • N(node):リンパ節への転移の有無や、その広がりの程度
  • M(metastasis):遠隔転移(がんが離れた別の臓器へ転移すること)の有無

TNM分類:国際的な基準であり、国内の学会が定める基準(癌取扱い規約)とは一部異なる場合もある。

👉 このパートをまとめると
ステージを判断するために、さまざまな検査が行われます。CTなどの画像検査でがんの広がりを確認するほか、組織診断も行われます。

ステージを決定するためには、まずがんの広がりを正確に把握する必要があります。そのために、CT検査やMRI検査などの画像検査が行われ、腫瘍の大きさやリンパ節への転移の可能性が評価されます。確定診断のために、体の組織を採取して顕微鏡で調べる、組織診断(生検)も行われます。

遠隔転移の有無を調べる際に、PET-CT検査と呼ばれる画像検査が行われることがあります。放射性同位元素を含んだ物質を投与し、がん細胞に取り込まれる様子をCTで確認する検査です。

全てのがんに対して行うわけではありませんが、転移の有無を確認する際や再発が疑われる際などに行われることがあります。

👉 このパートをまとめると
がんの治療にあたっては、がんの種類やステージにより、科学的根拠に基づいた推奨される治療法があります。

がんの治療法は、ステージなどに応じて推奨される方法が異なります。その推奨は、科学的な根拠に基づいて複数の専門家の合意を経て定められており、「標準治療」と呼ばれます。

なお、治療法の選択にあたっては、患者さんの希望も重要です。治療について不安なことや、治療後の生活の希望など、気になることは担当の医師に伝えるとよいでしょう。

具体的に行われる治療法は、がんの種類や患者さんの状態などによって異なります。行われることの多い治療法としては、手術治療、薬物療法(化学療法)、放射線療法が挙げられます。これらの治療法を、必要に応じて組み合わせて行います。

手術治療

手術によりがんがとり切れる場合などに、まず選択される治療法です。早期のがんでは、内視鏡手術などの低侵襲(ていしんしゅう)な手術(体への負担が少ない手術)が実施可能なこともあります。

薬物療法(化学療法)

手術の前にがんを小さくする目的で行われる場合や、手術の後に再発予防として行われる場合があります。また、手術が行えない場合や、手術でがんをとり切れない場合などにも行われます。

放射線療法

手術が難しい場所の治療として行われるほか、化学療法と同様に手術の前後に行われることがあります。がんによる症状を和らげるためにも行われます。

Q.ステージ0(ゼロ)のがんとは何ですか?

A.ステージ0はごく早期のがんを指します。たとえば大腸がんでは、がんが粘膜内にとどまり、リンパ節転移がない状態とされています。

Q.治療費に関する公的な支援制度はありますか?

A.はい、あります。医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、その超過分が払い戻される「高額療養費制度」が代表的です。上限額は所得などによって異なるため、まずは病院のがん相談支援センターや、市区町村の窓口に相談するとよいでしょう。

この記事では、がんのステージに関する基本的な知識から、行われる検査、標準治療までを解説しました。

実際の検査や治療は、がんの種類や患者さんの状態、また患者さんの希望によっても異なります。患者さん自身が、自分の状態や希望を把握し、医師とよくコミュニケーションをとったうえで、納得して検査や治療を受けることが大切です。

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