インタビュー

冠動脈バイパス手術とは 心筋梗塞・狭心症の手術

冠動脈バイパス手術とは 心筋梗塞・狭心症の手術
南雲 正士 先生

池上みなみ内科クリニック 院長、川崎市立川崎病院 心臓血管外科 元担当部長、医療法人社団健育会...

南雲 正士 先生

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この記事の最終更新は2015年09月04日です。

心臓の急所に起きた心筋梗塞狭心症、心臓の血管のうち多数が狭窄(狭くなること)や閉塞している場合に必要となる冠動脈バイパス術。心臓病の専門病院・石川島記念病院の院長であり心臓病(虚血性心疾患)の外科的治療のエキスパートである南雲正士先生に、その概要を伺いました。

心筋梗塞狭心症に対するバイパス手術とは、CABG(Coronary=冠動脈、Arterial=動脈、Bypass Grafting=バイパス手術)とも呼ばれ、道路のバイパスと同様に流れを良くする目的で作ります。心臓に血液を供給するための冠動脈が狭くなっていたり閉塞している場合に、問題がある血管にグラフトと呼ばれる別の血管をつなげ、血液を迂回させてあげる手術です。

これによって、血流が悪くなっている血管により多くの血液が流れるようになります(下図)。

冠動脈バイパス手術
冠動脈バイパス手術

冠動脈のバイパス手術はおおまかに分けると2つの方法があります。心臓の代わりに人工心肺装置という機械によって、血液を体外で循環させて行う方法と、オフポンプ(off-pump CABG)という、人工心肺装置(ポンプ)を使わず(オフ)、心臓を動かしたまま行う方法です。

オフポンプよりも以前から確立されていた方法が、人工心肺装置を使って体外で血液を循環させ、その間に手術を行う方法です。人工心肺の使用中は、心停止にする場合としない場合がありますが、心停止にするのが主流です。
最近では、より身体への負担の少ないオフポンプが増えています。しかし、今でも人工心肺を使うバイパス手術が行うことはあり、主に以下のような場合に行います。

  • 手術時までにショックで血圧が維持できない場合や致命的な不整脈に対して、全身の循環を補助する目的で、すでに人工心肺を使っている場合
  • 心筋梗塞の他に虚血性の僧帽弁逆流、弁膜症大動脈瘤などの疾患があり、バイパス手術に加えて人工心肺を使う手術を同時に行う場合

現在では、日本で行われるバイパス手術は約60%が人工心肺を使用しない、オフポンプでの手術になっています。また私自身はこの15年間近くオフポンプ手術を行ってきました。

前述のように今でも人工心肺を使用した手術が必要になる場合はあります。しかしオフポンプの方が心臓を動かしたまま、体外循環を使わないために、身体への負担が少なく、手術そのものも安全で、術後の経過も良いのです。また、血管の吻合(ふんごう)(つなぐこと)やバイパスのクオリティについては、オフポンプと人工心肺の場合で特に違いはないと考えています。

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