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がんに関するユーザー調査結果―がん治療選択の傾向と課題

公開日

2021年05月31日

更新日

2021年05月31日

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2021年05月31日

掲載しました。
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2020年11月に、メディカルノートでは本サイトの会員に対して、がんに関するオンラインアンケートを実施しました。以下に調査結果と、そこから見えてきた課題をご報告します。

メディカルノート会員の特徴

メディカルノート会員は医療に関する課題や関心が比較的高く、基本属性としては40~50歳代の女性がボリュームゾーンとなっています。

メディカルノートユーザー割合

がん患者さんの傾向

回答条件は、メディカルノート会員のうち「がんの治療をしている・したことがある本人または家族」で、回答が得られたのは440人(うち、有効回答が424件)でした。なお、以下全てのデータは「回答者」ではなく「がんと診断された方本人」の情報を指します。

有効回答が得られた424人のうち、「男性」が195人(46%)、「女性」が229人(54%)で、回答時点(2020年)の年齢の内訳は「1940~1949年生まれの70歳代」がもっとも多く、次いで「1950~1959年生まれの60歳代」、「1960~1969年生まれの50歳代」でした。

アンケート実施者の割合

同居家族構成では、「配偶者と同居」と「配偶者・子どもと同居」の方が大半を占めました。職業としては「無職」がもっとも多く、「会社員(正社員)」、「専業主婦(主夫)」、「アルバイト・パート」と続きます。

がん患者の家族構成

424人のがん患者さんの治療経過を見ると、「現在治療中」の人は166人(39%)、「治療を終えている」人は258人(61%)でした。がんの種類については「乳がん」が81人ともっとも多く、次いで「大腸がん」の50人、「肺がん」の41人。ステージ別では、「ステージ1」が最多の135人となっています。

また、治療内容について複数選択形式で質問したところ、「手術をした」人が289人と最多で、166人が「化学療法」を、122人が「放射線治療」を受けたとの回答を得ました。

治療の有無とがんの割合

がん患者さんの傾向

家族・そのほかに相談できたか

本アンケート調査では「家族に相談した」人が370人(87%)と多くの患者さんが家族に相談できていますが、一方で「(家族に)相談しなかった」人も54人(13%)いることが分かりました。また、家族に相談した人の中では「配偶者に相談した」人が281人ともっとも多く、次いで「子どもに相談した」人が162人と2番目に多い結果となりました。

誰かに相談したか

家族と主治医以外への相談については、「相談できた」または「相談したかったができなかった」という人は全体の6割を占め、家族や主治医以外にがんについて相談したい人が一定程度いることが分かりました。

また、「相談できた」人が192人で全回答者中45%でしたが、「相談したかったができなかった人」も63人(15%)いることが分かりました。

相談先割合

家族や主治医以外に「相談できた」人の相談先としては「友人」が最多で、2番目に「主治医以外の医師」が続きます。また、相談できなかった人が本来相談したかった相手としては、「主治医以外の医師」が多かったことから、セカンドオピニオンを受けたかったが受けられなかった人が一定数いることが読み取れます。

 

相談に関する結果

なお、「セカンドオピニオンを受診したか」という問いに対して「受けた」と答えた人は87人(21%)、「受けていない」と答えた人は337人(79%)でした。

セカンドオピニオン受診の割合

 

セカンドオピニオンを受けた理由として多かったのが「受けようとしている治療で問題ないという安心感を得るため」「ほかの治療法を知りたい」「治療方針に納得できなかったから」が多く、患者さんが治療を受けるにあたって「安心感・納得感」を重視していることが読み取れます。

また、受けなかった理由としては「確定診断を受けた病院・医師を信頼していた」という回答がもっとも多く、ここでも安心感や医師との信頼関係を重視していることが分かりました。一方で、「セカンドオピニオンを知らなかった」「十分な情報がなかった」など、情報や機会があればセカンドオピニオンを受けていたと思われる人も一定数見られました。

セカンドオピニオンを受けた理由

セカンドオピニオンを受けなかった理由

医療情報に関する課題

診断後に自分で症状に関する情報を調べたかについて質問したところ、「調べたことがある」と回答したのが336人(79%)でした。これらのうち、262人(78%)が主に「インターネット」を利用したという結果に。インターネットの手段としては、「医療情報サイト」が79.6%と圧倒的に多く、「体験者のブログ」を参考にしたという人も13%いました。

どのような情報を調べたかについては、「がんの基本的な情報」がもっとも多く、「基礎的な治療法」、「最近の治療法」と続きます。

 

診断後の検索の有無

情報収集の手段の割合

このように多くの人が自分のがんに対して気になる情報を調べており、「求めていた情報を全て得られた」人は14.7%、「全てではないが、一定の情報を得られた」人は82.4%となりました。

「求めていた情報を得られなかった」と回答した人の理由としては、(1)信憑性・信頼性が判断できなかった、(2)自分に適応する情報がなかった、(3)情報収集に時間がかかった、というコメントが目立ちました。

インターネットの普及によって情報を探しやすくはなりましたが、インターネット上には不確かな医療情報があるのも事実です。また、希少がんについては情報が少なく、インターネットコンテンツの品質については、まだまだ改善が求められる状況にあることが分かりました。

情報収集結果の感想

治療選択に関する課題

治療先については、262人(62%)が「確定診断を受けた病院での治療」を選択し、105人(25%)が「その紹介先での治療」を選択しています。

治療先の割合

しかし、治療先の選択には不安を感じている人が多く、262人(62%)が治療の選択に際して悩みがあると回答しました。

また、病院や医師に関する情報を調べた人は半数以上にのぼりました。病院や医師の情報を調べた理由としては「受ける治療で問題ないという安心感を得たかった」という理由がもっとも多く、ここからも受ける治療に対して不安を感じている患者さんは多いことが読み取れます。

 

病院や医師についての検索結果

病院や医師検索理由

調べた病院・医師を実際に受診した人は62%で、調べたものの受診はしなかった人は38%でした。受診に至らなかった理由としては、約半数が「すでに検討している病院・医師を信頼していたため」と回答。一方で、情報や手段が不足していることにより受診を諦めたケースもあることが分かりました。

検索結果と受診の結果

治療選択に何らかの弊害を感じる人も多く、その弊害としてもっとも多かったのが「情報不足」。治療にかかる「身体的負担」や「金銭的負担」と同等以上に、治療に関する情報が不足していることが治療選択の弊害となっていることが分かりました。

治療選択の弊害について

調査から読み取れること

今回の調査で、家族・主治医以外の相談先が限られることや、治療に関する情報が不足していることから、治療に対する不安を持つがん患者さんが一定数いることが分かりました。この調査結果を受けて、メディカルノートでは今後も適切な医療情報の発信、またニーズに沿ったサービスの提供に努めていきたいと考えております。最後に、ご協力いただいた会員ユーザー様に心よりお礼申し上げます。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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