メディカルノートは、2020年11月に会員を対象としたがん治療に関するアンケート調査を行いました。その結果、セカンドオピニオンに対して十分な情報が得られていない人や、間違った認識をしている人が見られました。納得して治療を行うためには自分の病気や治療に対する理解を深め、不安や疑問を払拭することが必要です。その手段の1つであるセカンドオピニオンとは、どのようなものなのでしょうか。
セカンドオピニオンとは、診断や治療選択などについて現在かかっている主治医以外の医師に“第2の意見”を求めることをいいます。
がんの診断や治療方針については基本的にガイドラインをもとに決定されるため、病院や医師によって意見が異なることは必ずしも多くはありません。しかし、主治医と十分に話し合っても主治医の話に納得がいかない部分が出てくることがあるかもしれません。また、「診断や治療について別の角度から意見を聞いてみたい」「ほかに選択肢がないか知りたい」といった考えが出てくることもあるでしょう。
このような場合に解決策の1つとなるのがセカンドオピニオンです。セカンドオピニオンを利用することで、主治医以外の別の視点からの情報が得られ、結果的に主治医とほかの医師の意見が同じであった場合でも自分の病気や治療に対する理解が深まり、より納得して治療に臨むことができます。
アンケート調査では、5人に1人がセカンドオピニオンを受けていました。その理由としては「安心感、納得感を得たかったから」がもっとも多く「ほかの治療を知りたかったから」「治療方針に納得できなかったから」と続きます。この結果から、多くの人が納得感を得るためにセカンドオピニオンを受けていることが分かります。
なお、“セカンドオピニオンを利用する=転院する”ことではなく、今後も現在の主治医と共に治療を行うことを前提に利用するものです。
セカンドオピニオンを利用する段階で、「セカンドオピニオン先であらためて診察をして欲しい」「治療を受けたい」と考える人がいますが、セカンドオピニオンはあくまで第三者として現在の診断や治療についての意見を述べるもので、すぐに診察や治療をすることはありません。
また、セカンドオピニオンを利用するためには、主治医にセカンドオピニオンを受けたい旨を伝え、紹介状(診療情報提供書)と検査結果データを用意してもらう必要があります。
セカンドオピニオンは、今後も現在の主治医と共に治療を行うことを前提に利用するものですが、セカンドオピニオンを受けた病院で治療を行うこともできます。
アンケート調査では、全回答者中「セカンドオピニオンを受けた病院」で治療を行った人は8%でした。
ただし、セカンドオピニオン先での治療を急ぐのではなく、セカンドオピニオンを踏まえてもう一度主治医の話を聞き、今後どうするかを決定することが大切です。
話し合いの結果、転院を決心した場合には、あらためて担当医に紹介状などを用意してもらい、転院先で通常の診療外来を受診して検査や治療を行うことになります。全てを引き継ぐ場合もありますし、治療は転院先の病院で行い治療後の経過観察は紹介元の病院で行うというケースもあります。
セカンドオピニオンは、納得のいく治療を選択するうえで有用な制度です。現在の主治医とほかの医師の意見が同じであった場合でも、自分の病気や治療に対する理解が深まることで、より納得して治療に臨むことができます。別の治療を提案された場合には、治療の選択肢の幅が広がることにもなります。自分らしく納得のいく選択をするために、不安や疑問があればセカンドオピニオンの利用を検討してみるとよいでしょう。
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