NPO法人日本視神経脊髄炎患者会(NMOJ)主催による「第2回国際NMOSDサミット」が2025年10月、東京・日本橋の中外製薬株式会社本社 日本橋三井タワーで開催されました(オンライン配信ありのハイブリッド形式)。昨年の福岡開催に続く第2回目となる本大会のテーマは「NMOSDの未来を語ろう!」です。会場参加63名、ライブ配信視聴者77名の合計140名が参加し、イベントは当初の想定を超えて大きく広がりました。NMOJ理事長の坂井田 真実子(さかいだ まみこ)さんは「多くの方がNMOJの輪に入ってきてくださった」と話します。多くの患者さん、ご家族、医療関係者らが集い、NMOSDの現状と未来について熱心なディスカッションや患者参加企画のファッションショーなどが行われました。当日の様子をレポートします。
坂井田さんによる主催挨拶と、大会長を務める中島 一郎(なかしま いちろう)先生(東北医科薬科大学 脳神経内科学 教授)による開会宣言に続き、第1部が始まりました。
第1部では、NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)を専門とする4名の医師がパネリストとして登壇し、中島先生と、NMOJ理事の北野 友梨(きたの ゆうり)さんの進行のもと、5つのテーマ「研究、治療薬、制度、再発、リハビリ」についてのパネルディスカッションが行われました。それぞれのテーマの現状と方向性に関して、分かりやすく解説され、各専門家による見解が示されました。

第1部終了後は、患者参加型企画として「NMOSDファッションショー」が開催されました。エムスリー株式会社が展開するプロジェクト「CaNoW(カナウ)」とのコラボレーション企画です。NMOSDは治療による影響などから、顔のむくみや体重の増加、手足のしびれなどが起こり、ファッションを楽しみにくい側面があるといわれています。こうした影響を実感しているという5人の患者さんがモデルとして登場しました。プロのスタイリストやヘアメイクアーティストのサポートを受け、それぞれの悩みをカバーする衣装やメイクを披露。アナウンサーの進行のもと、参加者はペンライトを振って応援し、会場は大きな手拍子に包まれました。

ファッションショーの後、モデルとして参加した5人が登壇して感想を語りました。大会長の中島先生も「今日のイベントはどんな薬よりもQOL(生活の質)を向上させる効果がありますね。私たち医師も、患者さんと共に明るい未来を作るために努めていきたいと思います」と話しました。

NMOSDのシンボルアートとして選ばれた岡部 志士(おかべ ゆきひと)さんの作品「Hoo!Hey!」が紹介されました。この作品は、中外製薬と株式会社ヘラルボニーのコラボレーションによる「NMOSDシンボルアートプロジェクト」で、患者会の協力のもと約3,000点の作品の中から選定されたものです。患者さん一人ひとりの症状が異なり、周囲の人に病気の経験を言葉で伝えることが難しいNMOSDの特徴を表現する作品として選ばれました。
第2部では、NMOJと関連する団体の関係者らが登壇し、日本の支援制度や海外との違いなどに関するパネルディスカッションを行いました。
初めに、RDDJapan事務局ならびにアイザックス症候群りんごの会代表の和久井さんから、日本の難病支援の活動についてのお話、相談支援専門員の久保さんからは障害福祉サービスの紹介がありました。
続いて特定社会保険労務士の近藤さんから、病気を抱えた方の就労支援をテーマに、社会保険制度の利用に関するお話がありました。
さらに今回は、台湾のNMOSD患者会「台湾汎視神経脊髄炎協会」の陳さんが会場に参加。現理事長の姚 秀康(ヤオ・ショーカン)さんと現監事の彭 依尹(イブ・ベン)さんからのメッセージを伝えるとともに、台湾では多くの患者さんが生物学的製剤以外での治療を余儀なくされている現状などを話しました。
NMOSDに関連する団体・患者会からは、研究助成や患者団体の支援に尽力されている日本多発性硬化症協会 理事長の田平さんと、事務局長の中島さんが登壇し、同会の歴史を振り返りつつNMOJへエールを送りました。
難病カフェアミーゴ代表ならびにMSいばらき会長の桑野さんは、難病の患者さんの災害時の備えについて話し、「難病患者のための防災ガイドブック」や、医療情報を記入できるカードの活用などを呼びかけました。
MOGADの患者会「MOGネットワーク」を立ち上げた樋口さんは、新団体の設立にかける思いや今後の展望を語りました。
Q&Aセッションでは、NMOJスペシャルアドバイザーの深川 華代(ふかがわ かよ)さんの進行のもと、事前に寄せられた質問や会場からの疑問に対し、パネリストらが丁寧な回答を行いました。
プログラムの終了後、パネリストから「患者さんの明るい表情が印象的でした」「患者会の熱量をもらえるような会でした」といった感想が寄せられました。
また、「第3回国際NMOSDサミット」が2026年10月に開催される「第38回日本神経免疫学会学術集会」の中で行われることが発表されました。同学会大会長の清水 優子(しみず ゆうこ)先生(東京女子医科大学 医療安全科 脳神経内科 教授)が登壇し、抱負を述べました。
最後に、坂井田さんが閉会の挨拶として「多くのサポートとご縁により啓発の輪を広げられていることに心からお礼を申し上げます。先生方やNMOSDを応援する人たちに囲まれて、幸せな未来が待っていると思いますが、まだ声を上げなければならない課題もあります。また来年、サミットでお会いしましょう」と話しました。

別室のブース展示も賑わい、あたたかい雰囲気のなかで第2回国際NMOSDサミットは幕を閉じました。
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