
肝臓は私たちのからだの中で唯一、再生する能力を備えています。それだけにさまざまな治療方法があり、各診療科にまたがった横断的な連携が必要とされます。慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器) 専任講師の板野理先生にお話をうかがいました。
肝臓は再生する唯一の臓器です。多少ダメージを受けていても、それなりに肝機能が良ければ、手術で大きく切除しても再生して元の機能に戻ることができます。「どれくらい機能が戻る肝臓か」ということを考えながら、たくさん取っても大丈夫か、なるべくギリギリのところで取るかを判断します。もし取らないほうが良いとすれば、根治性はやや低くなっても他の治療法を選択するということも考え、その症例ごとに治療方針を検討します。
C型肝炎は肝機能が悪くなればなるほど、発がん性が高くなりますが、B型肝炎はそうでもありません。ウイルスに感染しているというだけである程度発がん性はあるのですが、肝硬変がかなり悪くなっている場合とB型肝炎を発症していない場合を比べても、発がん率はさほど変わりません。
C型肝炎の場合は肝機能が悪ければ間違いなく再発してきますし、予後も悪いため、肝機能の温存という意味でも、次の治療が必要になる可能性においても、治療方針が大きく異なってきます。一回の治療では根治せず、おそらく再発するであろうという前提で次回の治療も視野に入れるとすれば、何度も開腹手術を行わずに済むほうがよいのです。
肝切除以外の治療法でよく行われているものとして、身体の外から肝臓に針を刺し、腫瘍とその周囲のみを熱で壊死させるラジオ波熱凝固療法(radiofrequency ablation; RFA)というものがあります。技術のある人が治療をすれば手術と同等の結果が得られるのですが、全国平均などで比較すると手術よりも成績が悪くなります。しかしそれはある意味当然のことで、手術というのは切除した組織を見ることができるので、がんを「取りきる」という点ではやりやすい方法なのです。
病巣の周囲には血管などが走っているため、必ずしも温度分布が一定ではありません。血流の速い部分が近くにあると、その部分の温度が下がってしまうからです。また、画像上焼灼できているように見えていても、焼灼したからといって腫瘍が死滅しているという保証はありません。そのため、ある一定の率で必ず再発というのは起きてしまいますし、再発してきているものは多くの場合、「たちが悪い」つまり悪性度の高いものです。
内科の考えとしては、再発したものに対してまた焼灼を試みるなど、内科でできる範囲内の治療を考えるのですが、そこに固執しすぎるのも問題であると考えます。内科と外科のコネクションが良くないと、外科は外科で肝切除の方がよいと考え、何度も肝切除を繰り返して結果として肝機能を損なってしまうこともありますし、一方で内科は何度もラジオ波焼灼をしようと考えます。また放射線科では、肝動脈にカテーテルを入れて薬剤を送り込むカテーテル治療を得意としていますから、手術の適応があるにもかかわらずカテーテル治療に固執してしまい、治療を繰り返すうちに腫瘍がコントロールできなくなるということもありえます。
慶應義塾大学病院でも以前は各診療科の連携が十分でないところがありましたが、今は非常に良くなっています。この領域では主に外科・内科・放射線科の3つの科が関わっています。施設によってはカテーテル治療を内科が行なっているところもありますが、関東ではカテーテル治療は放射線科が行なっていることが多いでしょう。
ラジオ波焼灼などのいわゆるアブレーションは一般的に内科で行いますが、慶應義塾大学病院はかつて外科でありながらアブレーションを積極的に行うことで有名でした。また当院でしか行っていない凍結治療(凍結融解壊死療法)というものがあります。これは当時、一躍有名になった治療法ですが、現在でも肝臓に対して行っているのは当院のみです。
しかし外科だけでアブレーションと両方をやっていくには時間もマンパワーもリソースが足りませんので、現在は当院でもアブレーションは基本的に内科で行い、開腹や腹腔鏡下で行うものについては外科で担当します。また、エコー(超音波)ガイド下ではなくCTガイド下であれば放射線科の得意領域ですので、それぞれ分担しています。当院では現在、毎週火曜日の朝にカンファレンスを行い、3科合同で全症例を検討しています。その場で各患者さんへの最良の治療法に合わせ各科の分担を決めていくので、比較的スムースに連携ができています。これはここ2年ほどで少しずつ変えてきた部分です。
国際医療福祉大学 教授
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医・消化器がん外科治療認定医日本肝胆膵外科学会 肝胆膵外科高度技能指導医・学会幹事日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域)日本肝臓学会 肝臓専門医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本移植学会 移植認定医日本消化器内視鏡学会 会員日本癌学会 会員日本癌治療学会 会員日本大腸肛門病学会 会員日本消化器病学会 会員日本胆道学会 評議員・認定指導医日本腹部救急医学会 会員
慶應義塾大学医学部卒業後、永寿総合病院外科 部長 内視鏡手術センター長、慶應義塾大学病院一般・消化器外科 専任講師を経て、2017年4月からは成田に開学する国際医療福祉大学医学部 消化器外科の主任教授を務める。應義塾大学病院では肝胆膵・移植グループのチーフとして診療に携わるとともに、同大学医学部内視鏡手術トレーニングセンターのディレクターとして、内視鏡手術のエキスパート育成に尽力してきた。今後は同病院の特任准教授として内視鏡手術トレーニングのプログラムに関わりつつ、国際医療福祉大学の特色を生かし同トレーニングプログラムの海外展開も視野にいれている。
板野 理 先生の所属医療機関
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フルオロメトロン点眼液は何日間使えばいいのか
左目の痒み、目ヤニ、涙が出る、目がジンジンする、腫れてる感じが治らないので眼科に行ったところ、上瞼の裏にぶつぶつがありアレルギーかなという診断で、エピナスチンLX点眼液とフルオロメトロン点眼液をもらいました。 目薬からアレルギー性結膜炎の診断なのかなと思っています。 先生からの指示(処方箋に書いてたこと)は1日2回朝夕、1回1、2滴、両目にさすでした。 いつまでとか何日間とか書いてなくて薬剤師さんにも言われなかったのでいつまで使えばいいのかわかりません。 エピナスチンはアレルギー用なので痒みがなくなればいつやめてもいいというのはわかるのですが、フルオロメトロンはステロイドなので勝手にやめない方がいいと思うのですが、指示がなく次の再診予定もないためどうしたらいいかわかりません。 指示がない場合には通常何日くらい使うものなのでしょうか? また、今回行った眼科はかかりつけがお盆休みで行けないため急遽行った眼科です。 もししばらくしてもよくならず再受診が必要となった時はかかりつけに行こうと思うのですが、それで大丈夫でしょうか?
パニック障害?甲状腺?常に息苦しさが吸えない
パニック障害と診断されていますが、現在、予期不安が強く、「また息苦しくなるのではないか」「倒れてしまうのではないか」という不安がよくあります。 症状としては、息苦しさ・呼吸が浅く感じる・喉の詰まりや異物感・あくびが多い・発汗しやすい・時々手が細かく震える・下痢気味などがあります。症状は急に強くなることがあり、呼吸や身体のことを意識すると悪化する感じがあります。一方、仕事など他のことに集中していると多少気にならなくなります。 喉の違和感は比較的常にありますが、食事や水分は普通に飲み込めています。咳、喘鳴(ゼーゼー)、声のかすれはありません。 安静時の頻脈はなく、現在は心拍60〜70回/分程度です。以前の心電図でも異常は指摘されていません。2026年4月の健診ではHb 15.5g/dLで、貧血はありませんでした。 一方で、甲状腺機能(TSH・FT4など)は検査したことがないと思います。汗をかきやすいことや手の震え、首の前側が少し腫れているように感じることもあるため、甲状腺機能について一度検査した方がよいでしょうか。 また、喉の違和感について、咽喉頭異常感症(いわゆるヒステリー球/globus sensation)の可能性は考えられますか。 パニック障害の薬を処方されていますが、副作用への不安が強く、まだ服用できていません。SSRIを開始することに抵抗があるため、まず半夏厚朴湯などの漢方薬を試す選択肢についても先生のご意見を伺いたいです。 ①現在の症状はパニック障害・予期不安によるものとして矛盾しないでしょうか。 ②甲状腺機能(TSH・FT4等)の検査は必要でしょうか。 ③喉の違和感について耳鼻科等での検査は必要でしょうか。 ④SSRIへの不安が強い場合、漢方薬から治療を始める選択肢はありますか。 よろしくお願いいたします。
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