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第113回日本泌尿器科学会総会の見どころを浮村理大会長が紹介―4月23(木)〜26(日)に京都国際会館で開催

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2026年04月21日

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2026年04月21日

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2026年04月21日

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一般社団法人 日本泌尿器科学会(以下、日本泌尿器科学会)と株式会社メディカルノートによる第3回連携ウェビナーが2026年3月23日に開催されました。今回は、4月に開催される第113回日本泌尿器科学会総会の大会長を務める浮村 理先生(京都府立医科大学大学院医学研究科 泌尿器外科学 教授)より、総会のテーマとそこに込められた思い、多角的な学術プログラム、革新的な産学連携ツールなどに関するお話がありました。当日の講演内容をダイジェストでお伝えします。

「患者さんを救う」という医学の原点と京都開催への思い

第113回日本泌尿器科学会総会が2026年4月23日(木)〜26日(日)にかけて国立京都国際会館で開催されます。本総会のテーマは「愛と叡智の結晶(Crystal of Love and Wisdom)」です。医学の叡智と人間愛を融合させ、患者さんを救うという医学本来の目標を完結したいという思いでこのテーマを描きました。学会の広報に用いるハートマークの中心には、私がかつて編集長を務めた日本泌尿器科学会の国際機関誌『International Journal of Urology』を据えました。叡智に基づくさまざまな医療技術の結晶化を象徴するハートは、愛の結晶を表現しています。

現在の日本泌尿器科学会は会員数が1万人を超え、毎年7,000人前後が総会に参加しています。8年ぶりの京都開催となる本総会では、約7,500人の参加者が見込まれ、これまでの3日間開催から4日間開催へと枠組みを拡大します。これは、土曜日の午前中まで臨床現場に立っている医師たちにも4日目の参加の機会を提供するためです。日曜日に参加証を発行し、指導医教育や専門医教育プログラムを実施することで、より多くの泌尿器科医が新たな知見を得られる環境を整えています。

また、京都開催にあたって懸念されたオーバーツーリズムの問題に対しても、解決策を講じました。全国の若い医師たちが経済的な負担を気にせず参加できるよう、京都駅から国際会館までの京都地下鉄沿線を中心にリーズナブルな価格の部屋を約1,000室確保しました。さらに、地下鉄が乗り放題となる1日乗車券もお付けしています。おもてなしの心をぜひお受け取りいただければと思います。

フォーカルセラピーが切り開く未来

本総会で学術的に深く議論すべき喫緊の課題の1つが、前立腺がんに対する治療のあり方です。現在、前立腺がんは日本および欧米において男性がん罹患率の第1位であり、日本では年間に9万数千人もの方が新たに前立腺がんと診断されています。前立腺がんは比較的予後がよいがんとして知られているものの、過半数の患者さんが前立腺全体を治療する手術や放射線治療を受けています。こうした治療は、それに伴う治療関連合併症が発生することもあり、過剰治療ではないかという声も一部で挙がっています。

私は米国生活12年のうち、ロサンゼルスの南カリフォルニア大学で6年間臨床医として、がんの病巣のみを狙い撃ちにする「病巣標的化治療(フォーカルセラピー)」の手術開発に尽力しました。その知見をもとに、性機能を温存し尿漏れも防ぐ新しい手術を開発し、日本で医師主導治験を実施してきました。この治療法の国際的な発展を目指し、本総会の後半4月25日〜26日に「2026年International Symposium on Focal Therapy and Imaging in Prostate and Kidney Cancer」を同時開催します。私が本会議を京都で7年前に開催したことに続き、今回はすでに世界各国から多数の参加者がエントリーしており、アブストラクトも含め、100演題を超える国際的な研究発表が予定されています。

注目のプログラムは――俳優・佐々木 蔵之介さんによる文化講演も

本総会の注目プログラムの1つが「Kyoto Crystal Culture Talk」です。京都の文化をご紹介する4つのプログラムを用意しています。陶芸家・鎌田 幸二さんには「天目の輝きとその歴史」で、素晴らしい輝きを放つ京焼・清水焼についてのお話をいただく予定です。また、菊乃井 代表取締役 村田 吉弘さんには「文化遺産になった日本料理とは何か」、妙心寺退蔵院 松山 大耕さんには「禅〜Zen〜」というテーマでお話しいただきます。

さらに今回は、京都府立大学の創立150周年を記念して私が製作総指揮を務めた映画『幕末ヒポクラテスたち』に関する特別講演も行います(5月8日から全国ロードショー)。主演で京都出身の佐々木 蔵之介さん、緒方 明監督、そして製作総指揮を務めた私が壇上に登り、講演する予定です。

Presidential Symposiumでは、泌尿器科領域における4大がん(腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がん)の病理に関するアップデートや、遺伝子治療という新たな治療の幕開けに向けて情報共有を行います。また、現在多くの大学病院において約6割のロボット手術を泌尿器科が担っている現状を踏まえ、最先端のデジタルイメージングガイダンスを用いて手術の質をさらに高めるための議論を展開します。加えて、医療AI(人工知能)が発展するなかで、その倫理的・法的・社会的貢献についても議論します。大学附属病院の病院長を経験した私の同期8人が登壇し、私を含めた3人がファシリテーターとなって現在の日本の医療・泌尿器科の課題とその未来について語り合う「病院長経験者激論」と題した講演も企画しています。

Plenary Sessionは「社会実装」を大きなテーマにしました。デジタルテクノロジーの進化によって実用化への道が近づく遠隔手術の研究、尿路や内分泌臓器における画像診断の重要性についても深く掘り下げます。基礎研究の分野では、これまでの免疫学の根幹を揺るがすほどのインパクトを持つ腸内細菌研究や、ゲノム医療のリアルワールド(実臨床)への展開など、次世代の医療パラダイムを形作るテーマがそろっています。さらに、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)や厚生労働省の幹部の方々にも登壇いただき、創薬や医療機器開発における薬事承認と実用化への具体的な道筋についてご指導いただきます。

若手・中堅の飛躍を促す「Meet the Expert」

次世代を担う若手や中堅の医師を対象とした「Meet the Expert」という少人数制の対話セッションも注目です。通常、セミナーはモーニングやランチ、イブニングと題されることが多いですが、より魅力的な機会になるよう願いを込めて「Meet the Expert with Brunch」「Meet the Expert with Afternoon Tea」「Meet the Expert in Twilight Happy Hour」と題しました。10〜12人程度の規模で各領域の中堅・若手、あるいはエキスパートのライバルを交えて熱いトークを繰り広げる空間を提供します。

各分野のサブスペシャリティ学会との本格的なジョイント開催(共催)を実現したことも本総会の大きな特徴です。日本泌尿器腫瘍学会や日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会、日本排尿機能学会といった学会にとどまらず、現在では参加人数が右肩上がりとは言いにくい学会も日本泌尿器科学会が強力にサポートします。泌尿器科学全体の未来を共に明るく輝くものにするため、各学会の理事会の承認を得て正式な共催体制を敷いています。

大会長開発のプロモーションツールにも注目

革新的な産学連携の仕組みとして、私が独自に開発した企業展示プロモーションツール「デジタルGPS(Get PerSonal access code)パネル」を導入します。会場に配置されたこのデジタルパネルでは、協賛企業の製品プロモーションビデオや添付文書の画像がループ再生されています。総会参加者は、関心のあるGPSパネルで自身の参加証のQRコードをリーダーに読み取らせることで、同意のうえで企業側にEメールアドレスが提供されるシステムです。参加者はその対価として、おもてなしコーナーにおいて京都名物の鯖寿司やラーメン、餃子、伏見のお酒などと引き換え可能なチケットを獲得できます。情報収集の効率化と参加者への還元を両立し、協賛企業と参加者の双方にとってメリットのある関係を実現する画期的なツールだと考えています。

若手医師から、これからの医療制度や社会実装の道筋を模索するベテラン医師まで、あらゆる年代の先生方にとって極めて有意義な機会となることを目指しています。この1000年の都、歴史ある京都の地で、泌尿器科学の新たな未来を皆さまと共に語り合い、切り開いていけることを願っています。1人でも多くの先生方のご参加を、心よりお待ちしています。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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