この記事の最終更新は2016年02月26日です。
胃がんの早期発見や正確な診断のために検査は重要です。胃がんの診断にはどのような検査が行われているのか、がん研有明病院 消化器センター 胃外科医長 熊谷厚志先生にお話しいただきました。
胃がんではCEAやCA19-9と呼ばれる腫瘍マーカー(がんがつくり出す特殊な物質で、血液中で測定できるもの)などを検査します。多くの腫瘍マーカーが、正常な状態や良性の腫瘍の場合にも数値が上昇することがあります。また早期がんでは正常値であることが多く、がんがあっても必ず数値が上昇するとは限らないため、腫瘍マーカーの結果だけではがんの有無を診断することはできません。
バリウムをのんで、胃の形や粘膜などの状態をX線写真で確認する検査です。検査の途中で発泡剤を飲んで胃をふくらませます。近年、胃がんの状態を詳しく診断する方法としては、内視鏡検査が中心になってきています。内視鏡治療を行う場合は、胃X線検査が省略される傾向にあります。
胃の内部をカメラで直接見て、がんが疑われる病変の場所や、その病変の広がり(範囲)と深さ(深達度)を調べる検査です。口または鼻から内視鏡を挿入して、食道・胃・十二指腸などを検査することを「上部内視鏡検査」といいます。口から挿入する場合は経口内視鏡検査、鼻から挿入する場合は経鼻内視鏡検査といいます。口から挿入する場合、「咽頭反射」と呼ばれる、物を喉から吐き出そうとする無意識な反応が起こりますが、経鼻内視鏡検査ではその反応が起こりにくいといえます。
治療前に病変の広がりや別の臓器への転移の有無を調べるために行う検査です。CT 検査は X線を、MRI 検査は磁気を使って体の内部を描き出します。
放射性ブドウ糖液と呼ばれる検査薬を体に投与し、その検査薬の取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出できます。ほかの検査で転移や再発の診断が確定できない場合に行うことがあります。
検査の前日に検査食を食べて腸内をきれいにして、肛門からバリウムと空気を注入し、X線で写真を撮影します。注腸検査はもともと大腸がんの有無を調べる検査ですが、胃のすぐ近くの大腸にがんが広がっていないか、腹膜播種(ふくまくはしゅ・腹膜にがんが転移していること)がないかなどを調べます。
治療法はステージ(病期)に基づいて決定されます。多くのがん同様、早期発見・早期治療により、治療効果が高まるということが示されつつあります。
北里大学医学部 上部消化管外科学 診療教授
北里大学医学部 上部消化管外科学 診療教授
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域)・ロボット支援手術認定プロクター(消化器・一般外科)
慶應義塾大学 一般・消化器外科、がん研有明病院で研鑽を積み、スウェーデンのカロリンスカ大学病院、ノルウェーのハウケランド大学病院での手術指導を経て、北里大学 上部消化管外科学診療教授を務める。胃がん手術のスペシャリストである。胃がんを治すためにはどのような治療法が適切であるか、患者さんへのわかりやすい説明を常に心がけ、日々の診療に尽力している。
熊谷 厚志 先生の所属医療機関
もっと見る
「胃がん」に関連する病院の紹介記事
特定の医療機関について紹介する情報が掲載されています。
関連の医療相談が30件あります
胃がんの手術
ピロリ菌感染による がん化で胃を全摘の可能性と言われました。セカンドオピニオンを受けるにはどうすれば良いでしょうか?
治療の状況の確認方法等
XELOX治療を受けているのですが、ここ二回白血球値をみて問題ないですね。と言われるだけで、状態がどのような状態なのか分からなくて不安です。今後のリスクについての説明も聞いて良いのやら、治療方針についても説明と変更の選択肢など本当は説明して欲しいのですが、どのような治療が選択肢があって適正治療を見出すなど相談したいです。
抗癌治療について
今年5月28日に胃癌により胃を3分2ほど切除しました。その後S-1抗癌治療を進められたのですが、B型肝炎キャリアの為S-1抗癌治療を行う事が出来ませんと言われて未だに抗癌治療が行われずにいます、S-1抗癌治療の他に抗癌治療はございませんか?B型肝炎キャリアでもできる抗がん治療が有りましたら教えていたたけませんか。よろしくお願いします
体重の復旧がみられません
4年程前に胃がんの手術を行いました。1/3の除去でした。63kgの体重が手術後50kgとなりました。その後、体重の増加は見られません。 現在も50kgです。胃カメラ・CT検査も定期的に行っていますが良好です。体重の事だけが気になります。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
胃がん