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第34回日本乳癌学会6月25日から京都で――1,900演題が集う大規模な学術総会に

公開日

2026年06月03日

更新日

2026年06月03日

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2026年06月03日

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第34回日本乳癌学会学術総会が6月25日~27日、国立京都国際会館(京都市左京区)で開催されます。 “Think globally, act locally”をテーマに、約1,900題の演題と多彩なプログラムが用意されています。会長を務める佐治 重衡(さじ しげひら)先生(福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 主任教授)に、テーマに込めた思いや注目のプログラム、これからの乳がん診療などについて伺いました。

テーマに込めた思いは

今回の学術総会のテーマは“Think globally, act locally”としました。乳がん診療・研究は絶えず進歩を続けており、新たな薬や技術、知見などが世界規模で次々と登場してきています。一方で、それを実際の診療に落とし込むには、単なる言葉の置換にとどまらない真の翻訳や工夫が必要です。「海外でやっているから何でも取り入れる」あるいは「海外のことだから自分たちには関係ない」といった考えではうまくいきません。国際的な動きを理解したうえで、それを日本に適用するにはどのようにすればよいのかを考えることが重要です。また同じ日本であっても、都市部と地方では医療資源も患者さんの年齢層・経済状況などは大きく異なるため、地域の特性も考慮する必要があります。グローバルな視野を持つと同時に、地域社会での実践的な取り組みを深めることで目の前にいる患者さんの治療について考える機会を学術総会で提供できればと考えています。

大規模かつ見どころ満載の3日間に

今回非常に数多くの演題が集まり、3日間にわたって1,500演題を超えるポスター発表が現地で行われます。ポスター発表だけのセッションを1時間用意しており、その時間は他のセッションは実施されません。各日500ほどのポスター発表を見て周り、議論することが可能です。大変貴重な機会なので、できるだけ現地に足を運んでいただきたいと思います。なお、現地参加が難しい方には、eポスターというWeb上のポスター発表もご用意しており、こちらも370演題ほどあります。

そのほか、会長特別企画が5演題、シンポジウムが13演題、パネルディスカッションが10演題とバラエティに富んだプログラムを多数準備しており、海外からも20名の招聘演者をお招きします。会長特別企画では、6月25日に私とキャスターの膳場 貴子さん、外科医で小説家の中山 祐次郎先生の3人で座談会を行います。中山先生はドラマにもなった「泣くな研修医」などの作品を生み出し、私が外科医だった頃の後輩医師でもあります。言葉を扱うお仕事をされている膳場さんと中山先生と共に「伝えるために何が重要か」をテーマにお話しする予定です。

また、私が所属する福島県立医科大学がある福島県にちなんだプログラムも用意しています。2026年は東日本大震災からちょうど15年になる年です。6月26日の会長特別企画では、南相馬市立総合病院で当時副病院長として対応にあたられていた及川 友好先生に「君たちに伝えたい事  2026;東日本大震災における原発最前線病院の混乱と苦悩」というテーマで、自らが経験された震災についてご講演をしていただきます。

患者・市民参画プログラム「BC-PAP」も開催

6月26日・27日には、BC-PAP(ビーシー・パップ:Breast Cancer Patients and Advocates Program)という患者・市民参画プログラムも開催します。これは、乳がんの体験者やご家族など一般の方々を対象に、乳がん治療の基本から最新情報までを分かりやすく提供するとともに、医療者と共に乳がん診療の課題を議論し交流する場として企画されたものです。参加のための資格は不要で、患者さんやそのご家族などどなたでも参加することができます。現地参加される方たちの交流を目的に、自由に集まることができるラウンジも開設予定です。

BC-PAPは国立京都国際会館の第8会場(1F Room E)にて開催予定で、参加費は3,000円です(学術総会のほかのプログラムにも参加する場合は5,000円)。なお、現地参加が難しい方は1,000円でWeb参加も可能です。患者さんやご家族など、乳がん診療について学びたい方はぜひお気軽にご参加ください。

新たな治療を生み出す情熱を持つと同時に、一人ひとりに適した治療を

私は外科医として10年、その後腫瘍内科医として20年近く乳がん診療に携わってきました。外科と内科の両方を経験した立場から強く感じているのは、治療成績を向上させて死亡率を下げるためには、新しい診断法や薬、手術手技といった「新しいもの」を常に創出し続けることが必要不可欠だということです。

私がキャリアをスタートした1990年代は拡大手術が主流の時代でした。しかし、どれだけ広範に切除をしても治せない現実に直面するなかで、外科的アプローチの限界を痛感するようになりました。「手術だけで救えないのであれば、薬物療法を進歩させるしかない」と考え、腫瘍内科医への転向を決意したのです。国内で腫瘍内科の専門医制度が発足した時期であり、私はその3期生として専門医を取得しました。

腫瘍内科医にはグローバルな視点で新しい治療を作り出していく役割が求められます。一方で、目の前の患者さんの状況は一人ひとり大きく異なります。特に私たちが扱う進行・再発乳がんは完治が困難なケースが多く、治療に一律の正解というものが存在しません。標準治療を基盤にしつつも、非常に複雑な要素の中からその方にとっての最善を模索していく必要があるのです。新しい治療を創出する情熱を持つと同時に、一人ひとりの患者さんにとって適した治療を自ら判断できる医師でありたいと思いますし、そうした医師を育てていきたいと思います。

現地に足を運んで、こだわりのプログラムを体感して

学術総会のように年に一度、数千人もの医療従事者が一堂に会するのは「患者さんの診療をよりよくしたい」「患者さんの負担を減らしたい」という願いがあるからに他なりません。乳がんは早期に治療をすれば治る時代になっています。だからこそ、私たちは治して終わりではなく、患者さんのその先の人生を見据える必要があります。学術総会は、そうした多方面にわたる研究の成果を共有し、明日からの診療に生かすための場です。患者さんやご家族の皆さんには、基礎研究から検診や診断、治療や治療後のサポートに向けて努力を続けている専門家が数多くいることをぜひ知っていただければと思います。

医療従事者の皆さんには、ぜひ会場となる初夏の京都へ足を運んでいただきたいと考えています。6月末の京都は大変な暑さが予想されますが、ぜひ現地にお越しいただき、自身のデータを示し議論する機会にしていただければと思います。現地に集まっていただくことを重視し、ポスター発表の形式なども決定しました。また、会長特別企画には「君たちに伝えたい事 2026」というテーマを所々に忍ばせています。私が今皆さんに語り継ぎたいメッセージを各企画に盛り込んでいます。

本来であれば東北の地で開催したいという思いもありましたが、会場の都合により今回は京都での開催となりました。その分、会場には私の日頃の拠点である福島の要素を随所に散りばめています。福島から取り寄せたお菓子や果物のジュースなども用意していますので、ぜひ会場で“福島”を見つけ、楽しんでいただければ幸いです。皆さんと京都でお会いできることを、心よりお待ちしております

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