第62回日本小児循環器学会総会・学術集会が2026年7月9日~11日の3日間、TAKANAWA GATEWAY Convention Center(東京都港区)で開催されます。大会テーマは「Academic for Social みんなの笑顔のために」。7月10日には子どもたちの応援団を招いて市民公開講座も同時開催。6月30日まで事前申込みを受け付けています。会長を務める山岸 敬幸(やまぎし ひろゆき)先生(東京都立小児総合医療センター 院長、慶應義塾大学医学部小児科 客員教授)に、イベントの詳細や学術集会の見どころ、そして小児循環器領域が抱える課題についてお話を伺いました。
今回の学術集会のテーマは「Academic for Social みんなの笑顔のために」としました。私は2021年から4年間、日本小児循環器学会の理事長を務めたのですが、今回のテーマはその際に掲げた理事会のキャッチフレーズ「Academic and Social」から生まれたものです。病気や病態を基礎から臨床まで専門的に科学し議論する学術(academic)は学会の礎です。そのうえで、その成果を広く社会(social)に還元し、医療や教育、そして福祉に寄与していくことが求められています。
また、新たに開発された薬剤や医療機器を、いち早く患者さんに届けるためには、産官学が共に手を携えて力を合わせていくことが大切です。今回の学術集会が患者さんやご家族はもとより、医療者や企業、行政など、社会の全ての方々の笑顔につながることを願い、副題は「みんなの笑顔のために」としました。
7月10日には、患者さんやご家族、一般市民の方々と、学術集会に参加する医療者や企業・団体、そして子どもたちの応援団が一堂に会する「市民公開講座」を開催します。
前半の「みんなが笑顔になる講座」では、子どもから成人まで先天性心疾患と共に生きる患者さんとご家族への思いを私からお話しします。社会には皆さまを支えるたくさんの応援団がいることをご紹介したいと思っています。また、『半沢直樹』『下町ロケット』など数々のヒット作を手がけ、この夏『VIVANT』続編の公開を控える福澤 克雄(ふくざわ かつお)さん(TBSドラマディレクター・映画監督)をゲストにお迎えし、ドラマ・映画製作の舞台裏、そして小児循環器学との接点などをお話しいただく予定です。
後半は「みんなを笑顔にする応援団」と題して、子どもたちやご家族のサポーターがたくさん集まります。入院中の子どものご家族の生活を支える「ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ」と「キープ・スマイリング」、入院中の子どもをサポートするホスピタル・ファシリティドッグを育成する「シャイン・オン・キッズ」、「幼稚舎ユニコーンズ」のチアリーディング、劇団四季・宝塚歌劇団出身の俳優を中心に構成される「心魂プロジェクト」の本格的なステージパフォーマンス、ファシリティドッグや東京都立小児総合医療センターの公式キャラクター「どんぐりくん」との触れ合いなど盛りだくさんのプログラムです。参加申込みは6月30日までです。多くの皆さまのお申込みをお待ちしています(https://www.congre.co.jp/jspccs62/contents/public.html)。

提供:日本小児循環器学会
「Academic for Social」というテーマは、学術集会の3日間だけで完結するものではありません。日本の小児循環器医療においては、少子化や医師不足、医療提供体制のあり方、成人期まで見据えた継続的な支援など、学会として向き合っていくべき課題はまだ多くあります。
少子化については、子どもが減少していくことを前提とした検討ではなく、子どもを安心して産み育てられる社会を支えるために、インフラとしての医療提供体制を整備するという視点が必要だと考えています。小児循環器医療を担う人材や提供体制を維持していくことは、今いる病気の子どもたちを支えるだけでなく、これから生まれてくる子どもや親となる子育て世代の人々の安心にもつながります。先天性心疾患の手術を行う施設に関しては、高度な医療を提供する拠点施設と患者さんの身近な地域の医療機関が連携し、患者さんやご家族を地域全体で支えていく体制づくりを目指していくことが重要です。単に手術を行う施設を集約化するのではなく、拠点となる病院までの移動、付き添うご家族の負担、術後のフォローアップ体制まで含めて包括的なネットワークを構築していく必要があります。
また、小学校~高校の児童・生徒を対象に行われている「学校心臓検診」は、日本が世界に先駆けて行ってきたシステムで、心臓突然死の予防と先天性心疾患の発見に大きく貢献してきました。しかし、問診票や心電図の判読、データ管理のデジタル化が進まず、全国的な標準化に課題がみられています。日本小児循環器学会としてはこの是正に向け、デジタル化を推進すべく関連する学会と共に提言をまとめました。加えて、先天性心疾患の子どもたちの多くが成人期を迎える中で、小児科から成人医療へどのようにつないでいくかという移行期医療も重要な課題です。子どもの頃に治療を受けた患者さんが、大人になってからも必要な医療を適切に受け続けられるよう、小児科医と成人診療を担う医師が連携し、長期的に見守っていく体制づくりが求められています。
日本小児循環器学会の学術集会は年1回の開催ですので、継続性を考慮してプログラムを構成しています。小児循環器をさらに20ほどのサブカテゴリーに分け、各領域に割り当てられた2人の担当委員がテーマなどを考えます。学会の各委員会から提案されたセッションも設けますが、今回は応募が多かったため、学会の評議員による総選挙を経て選抜を行いました。
国際的にも強い協力関係を継続するため、米国心臓学会(AHA)、欧州小児心臓学会(AEPC)、台湾小児循環器学会(TSPC)など海外学会とのジョイントセッションを予定しているほか、第9回高尾国際シンポジウムと第25回日本心臓血管発生研究会も併催します。特別講演には睡眠研究で知られる柳沢 正史(やなぎさわ まさし)先生(筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長)と、iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞された山中 伸弥(やまなか しんや)先生(京都大学 iPS細胞研究所 名誉所長)にご登壇いただくほか、国内外から第一線でご活躍されている専門家を多数お招きします。
参加される先生方には、国内外の最新の学術に触れていただき、ここで得た知見を日々の診療や研究、教育に生かしていただきたいと考えています。そのうえで、学会と社会のつながりをより深め、病気の子どもたちとご家族を支える輪を広げていくことで、多くの方の笑顔につながる場になればと思っています。未来都市をイメージして作られた新しい高輪ゲートウェイの会場で、皆さまにお会いできることを楽しみにしています。
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