この記事の最終更新は2016年07月27日です。
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは、手術で肛門や一部尿路の機能が失われるときに、腸や尿路の一部を体外に出してつくる便や尿の排泄口のことをいいます。手術前に初めて説明を聞く患者さんは、病気の告知や手術への不安に加え、手術後の生活にどのような変化があるのかわからず戸惑うことが多いといいます。皮膚・排泄ケア認定看護師として患者さんをサポートしている横浜市立大学附属市民総合医療センター看護部の宮田晶代看護師に、ストーマ造設を前にした患者さんへのオリエンテーション(事前説明)についてお話をうかがいました。
たとえば大腸がんの場合、担当医から話をされた患者さんは、自分ががんであること、がんで手術をしなければならないこと、ストーマ(人工肛門)を造設するかもしれないこと、こうしたさまざまなことを一度に聞くことでショックを受けていらっしゃるはずです。多くの方にとって、まずご自分ががんであるという事実が一番の重大事でしょう。そして、がんの治療をする上でストーマをつくるという選択があると知ったとき、できればしないでほしいと考える方がいらっしゃいます。
ストーマをつくるということは排泄経路を変更することなのですが、患者さんはなかなか具体的にイメージすることができないようです。手術後の生活に不安を覚えて、いろいろ知りたいとおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。そのような不安を抱くことがないように入院前から外来でオリエンテーションを行い、どのような手術を行い、排泄経路の変更とはどのようなことなのか、手術後の生活をできる限りイメージできるようなお話をしています。
横浜市立大学附属市民総合医療センターの消化器病センターの場合、診療科チームで患者さんの診療にあたっています。担当医が手術をすると判断して、その患者さんが人工肛門を造設する予定があることがわかった段階で、外来でのオリエンテーションが始まります。
外来でのオリエンテーションでは、まず外来の看護師が入院の説明などをしながら、人工肛門とはどのようなものなのかというお話をします。その説明をする段階で、患者さんがストーマを造設することに対してイメージすることが難しいとき、私たち皮膚・排泄ケア認定看護師に連絡が入ります。その場合は、ストーマを造設することに関してどのような思いを抱いているのか、不安を感じている場合は何を不安と感じているのかをうかがい、不安の解消のためにできることを一緒に考えるように心がけています。
今は単身独居の方も多くなり、社会資源の活用やさまざまな環境の調整が必要となる場合があります。患者さんに対しては、手術前から退院後の生活をイメージして、どのようなサポートが必要なのかを外来、病棟、継続担当、認定看護師が連携をとり支援を行います。
現在、病棟に私と同じ皮膚・排泄ケア認定看護師がいるので、入院後も病棟でストーマ造設に関するオリエンテーションは継続して行います。
宮田 晶代 さんの所属医療機関
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大腸がんの腹腔鏡手術が主な専門。そのほか、大腸がんの治療全般も専門。大腸がんの手術では低侵襲で安全な手術を目指し、合併症発生率も低い。ICG蛍光法を用いた血流評価やリンパ流評価によるオーダーメイドの手術療法の開発なども行っている。直腸がんついては、肛門温存手術の実績も多数。
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