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ノーベル賞受賞者の講演を小学生100人が聴講 大阪で市民公開講座、地域と医療が対話する時代へ

公開日

2026年10月01日

更新日

2026年10月01日

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2026年10月01日

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JCHO大阪病院・西田俊朗院長

ノーベル賞につながった免疫研究の話を、地元の小学生が直接聞く機会がある。2026年10月9日(金)、10日(土)に大阪国際会議場で開催される第11回JCHO地域医療総合医学会の市民公開講座だ。

登壇するのは2025年にノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口 志文(さかぐち しもん)先生、元プロ野球選手・野球解説者の掛布 雅之(かけふ まさゆき)氏、大阪大学総長の熊ノ郷 淳(くまのごう あつし)先生、元大阪府知事・元大阪市長・弁護士の橋下 徹(はしもと とおる)氏で、医学や科学にとどまらず、野球人生や組織改革といった幅広いプログラムが組まれている。それぞれ別の時間帯に行われる個別の講演で、地元の小学校6年生100人も参加するという。

なぜ硬いイメージのある“医学会”がこれほど幅広いテーマの講座を企画し、小学生まで招くのか。「一番伝えたいのは、熱中している大人の姿」と語る、今回の医学会で会長を務めるJCHO大阪病院・西田(にしだ) 俊朗(としろう)院長にお話を伺った。

小学生100人も来場 誰もが参加できる市民公開講座

JCHO・地域医療機能推進機構は北海道から九州まで57の病院をもつ独立行政法人で、全ての病院で救急医療や急性期医療を担い、また地域包括ケア、介護、健診業務、さらには地域医療連携や医療人材の育成も行っています。
そんなJCHOには毎年、医師や看護師、薬剤師など多職種がお互いの成果を発表する機会があります。それがJCHO地域医療総合医学会(以下、医学会)です。

今年は『あしたのしせい+』をテーマに、大阪市北区中之島の大阪国際会議場で10月9日、10日に開催されます。このテーマが目指すところは、病院と皆さんがもっとつながる社会です。

今回の医学会では、医療関係者向けの発表だけでなく、各界で素晴らしい歩みを重ねてこられた方々をお招きし、普段はなかなか聞けないお話をしていただく市民公開講座をご用意しました。この講座は地元の大阪市立玉川小学校の児童100人も参加する、どなたでも足を運びやすい場となっています(オンラインやFAXでの事前のお申込みが必要です)。

どのようなお話が聞けるのか、登壇される方々とそのテーマを少しご紹介します。

10月9日はノーベル生理学・医学賞受賞の坂口先生、ミスタータイガース掛布さんの講演

今回は4つの市民公開講座を設けています。
まず、10月9日(金)は10時から1時間、昨年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授・大阪大学特別栄誉教授の坂口 志文先生の講座があります。演題はまさにノーベル賞の受賞のきっかけとなった「制御性T細胞と新しい免疫医療」についてです。

坂口先生と一緒に三重県へ出かけた人の話を聞きました。坂口先生は、電車での移動中ずっと、研究の話を夢中でされ思わず降車駅を乗り過ごしてしまいそうになったそうです。その話を聞いて、また日頃の先生のお話を伺う程に、これほどまでに1つのことに長く向き合い、サイエンスに熱中できる人の姿や生き方を、日本の将来を担う小学生にぜひ聴いて、見ていただけたらと思います。

11時10分からは、阪神タイガースで活躍し「ミスタータイガース」と呼ばれる掛布 雅之さんの講座、「我が野球人生」です。
医学会で野球人生? と思う方もいらっしゃるかもしれません。我々おじさん世代は掛布さんの輝かしいスーパースターとしてのご活躍しか知りませんが、実は掛布さんは現役時代、けがとの戦いを続けていました。引退後はその経験を生かして後進の指導をされており、けがと向き合ったその野球人生は誰もが興味深く聞けるのではないかと思います。

10月10日は大阪大学総長熊ノ郷先生、元大阪府知事の橋下 徹さんの講演

10月10日の9時55分からは、大阪大学の総長を務める熊ノ郷 淳先生の講演です。先生は免疫セマフォリンという分子が免疫システムを制御する重要な役割を果たしていることを発見し、免疫システムの解明に大きな貢献をされています。大阪大学は免疫の調整に関わるタンパク質「IL‐6」のはたらきを発見した岸本 忠三(きしもと ただみつ)先生、自然免疫システムを解明した審良 静男(あきら しずお)先生、先ほどの坂口先生など、免疫の分野で世界の最先端の研究を続けてきました。今回の講座では免疫システムの話に加え、なぜ大阪大学で免疫の研究が盛んになったのか、といったお話もしていただく予定です。

11時5分からは、元大阪府知事・元大阪市長で弁護士の橋下 徹(はしもと とおる)さんの講演です。ご存じのように、橋下さんは知事や市長時代に大阪の行政改革を積極的に進められました。現在はテレビに出演するなどでご活躍のほか、弁護士として企業のコンサルティング業務にも携わっています。そのようなご経験から、今回は組織改革、組織運営の観点でパーパス(組織の存在意義)の設定、心理的安全性の確保など、今の時代に求められる組織論を語っていただきます。

医学だけではない演題が、地域医療についての対話につながる

今回の市民公開講座は、医学会としてはかなり異色なプログラムとなっています。しかし、医療は単に病気を診るものだけではなく、人生のあり方や社会の仕組みとも深く関わっています。だからこそ、テーマを医学だけに限定せず、掛布さんや橋下さんにご登壇をお願いしました。
掛布さんの熱い野球人生や、橋下さんの独自の視点による組織改革は、一見すると医療とは無関係に思えるかもしれません。しかし、こうした話題こそが生き方や健康と関係し、結果として医療にもつながります。普段は医療や健康に関心が薄い方にも興味を持っていただけるのではないでしょうか。

また、たとえば坂口先生の研究にかける情熱は、きっと講演を聞く小学生たちにも伝わるでしょう。先生が夢中になるサイエンスの面白さに触れることで、少しでも子どもたちにサイエンスという奥深い世界があることを知ってもらうきっかけになればと願っています。もちろん坂口先生だけではありません。今回ご登壇いただく皆さんは、それぞれ自分の生き方を貫き実績を残してこられた方々です。そんな方のお話が聞く人のこころに響き、新しい種を芽生えさせてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

さらに会場では、患者会の展示も予定しています。医療者だけが一方的に話す場ではなく、患者さんやご家族、地域の皆さん、行政の人、そして医療者が同じ場所に集まり、対等な立場で対話する機会を創りたいと考えたからです。

多くの方に会場へと足を運んでいただき、医療について考える時間を共有する。そうした体験が、皆さんと私たちがつながり、地域医療について一緒に対話を始めるための大切な第一歩になると信じています。

病気になってからではなく、健康なときから医療との接点を

現在、患者さんは病気になると複数の医療機関を受診されることが当たり前の時代になりました。医療機関の役割が細かく分かれるなかで、1人の患者さんを全体としてトータルに支えることが、少しずつ難しくなってきていると感じています。

一方で、皆さんにとって初めて本当の意味で医療を意識するのは、自分や家族が病気になったときだと思います。健康診断で異常を指摘されて、さてどこに相談すればよいのか、と初めて考える方も多いのではないでしょうか。

だからこそ、いざというときになって初めて医療と向き合うのではなく、健康なうちから病院や医療者と接点を持っていただきたいと思っています。医療がますます専門化し、機能ごとに分かれていく時代だからこそ、普段から地域の皆さんと医療者が顔を合わせ、互いに信頼関係を築いていくことが大切です。

今回の市民公開講座は、そうしたつながりをつくるきっかけの1つです。病気になったときだけ病院を訪れるのではなく、健康なときから医療について知り、考え、医療者と対話し、より健康な生活をする。そうした積み重ねを通し医療者も地域をよく理解し、本来の地域医療の目的が達せられるように思います。

この講座をきっかけに、地域の皆さんと私たち医療者が対話を始められたらとても嬉しく思います。

*市民公開講座の参加には事前の申し込みが必要です。医学会の公式サイト(https://www.jchs.or.jp/jcho2026/event/)で情報をご確認ください。
 

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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